衆議院選挙後の相場はどうなる?写真は2024年2月(撮影:梅谷秀司)

10月27日は注目の衆議院選挙の投開票日です。10月15日に公開されたNHKの内閣支持率調査では、石破内閣を支持すると答えた人は44%となり、9月に行われた岸田内閣の最後の調査から24ポイント上がりました。

しかし、岸田内閣の発足時の支持率49%と比べて5ポイント低いことなどから、今回の衆院選での自民党の苦戦が予想されます。

各報道機関による衆院選の投票先に関する調査の報告には、自民党が15年ぶりの単独過半数割れの可能性を示唆するものもあります。衆議院の定数は465人です。過半数はその半数を超える233人になります。現在の自民党の議席数は247人なので15人議席を減らすと、過半数を割り込んでしまう微妙な状況です。

衆議院選後の株価のジンクス

ところで一般には「衆議院選後の株価は堅調に推移する」という株価のジンクスが言われます。

衆議院選前は、その結果を見極めたいという投資家の姿勢から市場への投資を手控える姿勢が強まります。衆議院選後には不透明要因を超える安心感を背景に、衆院選前の見極め姿勢の反動で株価が堅調となるというものです。

実際に自民党が結成された後の1958年以降の衆議院選後の相場を確認しました(一覧表は次ページ)。

最下行の衆議院選後の1カ月から6カ月後の平均値に関して過去22回の結果からはプラスとなっており、基本的には衆議院選後の株価は堅調な傾向がわかります。


しかし、自民党の衆議院選結果と株価について、もう少し深掘りすると留意すべき点もみられます。

今回の衆議院選は「自民党が過半数を割り込む可能性」が大きなポイントとなっています。自民党が過半数を確保したときと、そうでないときで分類して、衆議院選後の騰落率を集計しました。


結果から自民党が過半数を確保した14回を平均すると、その後は上昇する傾向は見られました。その一方、過半数に満たなかった場合には、3カ月後(-2.38%)、6カ月後(-2.33%)と下落しています。

もし自民党が過半数確保できたら…

過半数の確保とは「通常の法案を可決するために必要な議席数を持っていること」を意味します。自民党が政策運営が行いやすくなるため、景気を刺激するための政策も実行しやすくなり、これが投資家の評価につながると見られます。

こうした結果から、衆院選後の「本当の」株価のジンクスは、衆院選後に相場が上がるというものではなく、「自民党が過半数確保できると株価が上がる」というものです。ですから、今回の衆議院選挙でも自民党が過半数確保できたら、その後に投資するというスタンスがいいのかもしれません。

(吉野 貴晶 : ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長)