模試1位でも「東大不合格」解き方でわかる"要因"
(漫画:©︎三田紀房/コルク)
記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。
その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。
そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載。連載を再構成し、加筆修正を加えた『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』は、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。連載第144回は模試の成績がよくても、東大に落ちてしまう背景をお話しします。
東大A判定でも模試1位でも不合格はある
「東大は、模試で1位になる受験生でも、落ちることがある」
こう言ったら、みなさんはどう思うでしょうか?
東京大学は、日本でいちばん難しい大学だと言われています。多くの東大受験生が受ける模試でいい判定を取っていれば、合格できそうな気がしますよね。模試で1位を取る人であれば、なおさら合格の可能性は高そうだ、というか合格はほぼ確実だとも感じられます。
でも、実際に模試でA判定を取った受験生でも、1位を取った受験生でも、不合格になる場合があるのです。
漫画『ドラゴン桜』の中では、なぜそんなことが起きるのかについて解説しているシーンがあります。まずはご覧ください。
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(漫画:©︎三田紀房/コルク)
(漫画:©︎三田紀房/コルク)
いかがでしょうか?このエピソードは、「いかに頭がいい人でも、試験戦略がないと不合格になってしまう」ということを示しています。
たいていの試験は、満点を取らなければ合格できないわけではありません。それは東大入試でも同じことが言えます。東大入試は6割程度で合格ラインなので、逆に言えば残りの4割は落としてもOKということになります。
そして合格するためには、頭がいいことは前提として、「いかに点数を稼ぐか」を戦略的に考える、頭の柔軟さが必要になります。
難しい問題があったら「この問題は難しいから後回しにしよう」と考えたり、時間をかけすぎてしまっている問題があったら「まずいな、ちょっと一度飛ばして、次の問題を解いてから戻ってこよう」と考えるのです。
満点でなくていいということは、問題によっては部分点を狙いにいくだけで、時間をかけすぎなくてもいいのです。試験時間の中で、さまざまな材料を判断基準にして、「どこで点数を取るか」「どこで点数を落とすか」を考えていく必要があるわけですね。
ペンの音を聞いて試験の難易度予想も
この判断基準は、人によってさまざまです。僕は以前、東大理3に合格した友達から衝撃的な話を聞いたことがあります。それは、「試験時間中、どれくらい周りの人がサラサラとペンを動かしているのか、ペンの音を聞いて、その年の難易度を予想していた」という話でした。
試験中に耳を澄まして、ペンが止まっている人が多そうな科目は難しいので平均点が下がる可能性があり、ペンを動かしている人が多そうな科目は簡単なので平均点が上がる可能性がある。
平均点が下がりそうな気配があれば、手堅く点を取ることに集中して、点数が取れそうな1問に時間をかけていいと判断し、逆に平均点が上がりそうな気配があれば、どんどん問題を解くべきだと判断して1問に時間をかけないようにする。このように戦略を立てて、試験問題を解いていたそうです。
ただ問題を解けるようになるだけではダメなのです。試験時間をどう使うか考えることで、合格不合格は大きく変わってきます。
今年も受験シーズンが近付いてきましたが、今のうちから試験戦略をしっかりと立てて、問題を解くことに慣れていただければと思います。
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(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)