「アイドル気取り」今井絵理子で参議院不要論再熱!勘違いポーズ写真に批判殺到2000件コメ…何のために国会議員しているの?

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 自民党の参議院議員、今井絵理子氏のXへのポストが物議をかもしている。投稿内容自体は極めて普通で、「第214回臨時国会が閉会しました。本日、衆議院が解散し10月15日公示、27日投開票の総選挙が行われます。皆さんの一票が未来をつくります。」と選挙を告知するものだった。しかしSNSでは怒りのコメントなどが2000件以上も殺到し、「今井絵理子氏」がトレンド入りするほどの騒動となった。一緒にアップした国会内で撮影したとみられる写真についても「グラビアか何かと勘違いしてない?」など批判が集まった。

 今井議員を巡ってはこれまでにさまざまな物議をかもしてきた。2016年の新潟県知事選挙の投票日当日に候補者である森民夫のハッシュタグを付けてSNSに投稿。これが公職選挙法に違反する可能性を指摘され当該の投稿を削除した。2017年には週刊新潮に橋本健神戸市議会議員(当時)との不倫疑惑を報じられた。

 2023年には松川るい氏といった自民党女性局メンバーら38人ににフランスを訪問し、その記念撮影をSNSに公開。その中の一枚にはエッフェル塔を背に松川氏ら3人が両手を頭の上で合わせる「エッフェル塔ポーズ」を笑顔でとっている写真があり大炎上した。「税金で観光旅行に行っているのか」「感覚がずれているのではないか」といった批判が相次いだ。今井氏はSNSで「海外研修に対して、『公金を使って無駄だ』という指摘もありますが、無駄な外遊ではありません」と反論。「この度の訪仏はとても実りあるものでした。これからも様々な国の方々との交流を積極的に行っていきたいと思います。また追って活動報告します!!」とつづった。しかしその後活動報告はなされていない。

 一体今回は何が起きているのか。ルポ作家の日野百草氏が取材した――。

党に気に入られれば6年間も解散なしに高給を得られる

「党に気に入られれば6年間も解散なしに高給を得られる立場、いまや参議院、とくに参院比例代表は志の低い議員からすれば、不安定な衆議院より『おいしい立場』なのかもしれません」

 かつて与党系参議院議員の秘書も経験している北関東の地方議会(無所属)関係者は「参議院は良識の府として必要」と前置きした上でこう嘆く。

「参議院不要論がまた蒸し返されかねません。参議院は決してタレントの個人的な自己アピールの場でも、転職先でもない」

SPEEDのメンバーとしても活躍してきた歌手でタレントの今井絵理子議員

 蒸し返される、としたのは自民党の参議院議員、SPEEDのメンバーとしても活躍してきた歌手でタレントの今井絵理子議員のことだ。

 ちなみに「タレント議員」とは芸能人だけのことを指すのではなく、知名度の高いスポーツ選手や文化人なども総じて「タレント議員」「タレント候補」とされる。明確な基準はなく、あくまで便宜上の呼称だが各出版社の辞典にも採録、広く定着している。

 そんな「タレント議員」、今井絵理子議員も現在2期目、すでに8年以上も議員を務めている。参院文教科学委員会理事、参院決算委員会委員の立場にもある。

〈第214回臨時国会が閉会しました。本日、衆議院が解散し10月15日公示、27日投開票の総選挙が行われます。皆さんの一票が未来をつくります。〉

 Xの公式アカウントからのこのポスト、文面だけ見るととくに当たり障りのない、その辺の自治体のお知らせのような文言だが、これに添えられた今井絵理子議員のグラビア撮影のようなポートレートが「炎上」した。

「タレントを比例で議員に担いだ意味もない」

「彼女自身が例のエッフェル軍団のフランス研修についての釈明も不十分ですし、ただでさえ自民党は旧統一教会やパーティー券の裏金で国民から厳しい目を向けられている、その中で『あれ』です。地方の自民党関係者も『選挙なのにまた余計なことをした』とうんざりしている人もいます」

 今井絵理子議員のポストはその10月9日から途絶えている(10月17日現在)。その行為の是非はともかく、彼女は参議院議員なので解散しようが2028年まで改選はない。

 それでも衆院選を戦う同志のためにSNSでアピール、仲間の選挙のために活動しなければならないはずが沈黙のままだ。

「そういうところですよ。批判されても自分が正しいと思うなら通せばいいじゃないですか。人気タレントを比例で議員に担いだ意味もない」

 この「タレントを比例で議員に担いだ意味」についての辛辣な意見は多い。「全員がそうとは言わないが」として関西の地方議員が語る。彼も参議院議員の秘書経験者、そして地元関西はこれまでもタレント議員が多いことで知られる。

不勉強な議員が「参議院不要論」を生む

「参議院の比例代表でタレント議員なんていまに始まったことではないですが、有名人だから投票しようとか、ファンだから応援しようという人は一定数いる、というか本当に多い。政治に興味のある一般人が考えている以上にそういう人ばかりと言ってもいいし、実際に効果はある。それなりに知られたタレントには絶対に一度は話が来ているはずです。『6年間、国会議員様になってみませんか?』と」

 タレントが「俺のところに議員にならないかって話がきた」はよく聞くネタだが、実際のところ本当だったりもする。

 別にタレントだから議員になるなとかそういう話でなく、政治未経験にもかかわらず、学ぶこともせずに比例当選、6年間数合わせの「国会議員様」で解散もなく居座り続けることが可能なシステムが冒頭の「参議院不要論」にはついてまわる。

「私も参議院は良識の府として必要と考えています。しかし参議院は任期6年で解散がない。じっくりと政治に取り組みたいから参議院という人とそうでない人の落差が大きい。タレント議員に後者が多いことは事実です。実際、いままで何もしないままに任期を終えるタレント議員ばかりじゃないですか。本人たちが一番よくわかっている」

 重ねるがそうでないタレント議員もいる。しかし世間の目は厳しい。

 筆者と旧知の芸能事務所で長年マネージャーを務めてきた元役員が語る。

「まず人気絶頂のタレントが政治家なんかにならない。本当に人気のタレントからすれば高額と言われる議員報酬だってたいしたことはない。むしろ政治家になんかなったら収入減だ。言い方は悪いかもしれないが売れなくなったり、世間で名前は知られてはいるが実際の仕事のお呼びが少ないタレントが議員になりたがったりする。まして知名度はあっても高齢で仕事のないタレントなら生活を考えて飛びつく」

タレント議員は比例票の積み上げのため欠かせない存在

 タレント議員は広告塔とも揶揄され、比例票の積み上げのため欠かせない存在となって久しい。

 そうした時代を昭和のころから見てきた革新系の元国会議員が語る。

「芸能人でもスポーツ選手でも政治に参加することは結構なことだ。しかし解散もなく6年も議員でいられることだけを目当てに議員になる者がいる。それでもいいからと比例名簿に登載する党がある。そして票を入れる投票者がいる。個人名という人気投票で有名人は有利だし、それで政党にも票が入る。お互いにメリットがある」

 まさに先の「参議院議員が転職先」そのものだが、繰り返すがタレント議員全員がそうではない。しかしそう思われてしまうような行動が目立つことも確かで、今回の今井絵理子議員もそういう「色眼鏡」で見られても仕方のない行動ばかり。これまでも公職選挙法違反疑惑、不倫報道などの騒ぎを起こしては「心から反省」ばかりだった。

何のために国民の代表である国会議員を務めているのか

 今井絵理子議員の任期は2028年7月25日まで。長い。

 彼女がどうこう以前に参議院の仕組みどころか存在そのものの是非が問われて久しいいま、まさに本稿の方々が異口同音に語る「良識の府」としての参議院と、その信用を取り戻す「政治家としての活動と実績をきちんと見てもらう」努力が求められている。

 そして今回の多くの有権者の今井絵理子議員に対する政治家としての指摘、「自己アピールは大切だが、それじゃない」は確かなように思うし、それに聞く耳を持たなければ、それこそ何のために国民の代表である国会議員を務めているのか、の誹りは免れないように思う。