プチ鹿島

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 「世の中の興味はほぼ人事」という説を唱えています。例えばプロ野球を見てください。監督人事の噂(うわさ)に始まり、ドラフト、トレード、スタメン予想に選手交代。これら全て「人事」というキーワードでまとめられる。ファンの誰もが口を挟んでワイワイと話が弾んでしまう。

 芸能だってそう。「紅白歌合戦」の出場歌手については長らく週刊誌やスポーツ紙の興味の的でした。あれも人事情報でした。人はなぜ人事が好きなのか。誰しも人間関係に囲まれているから合わせ鏡として見ているのかもしれません。生き方とか、しがらみとか、人によっては権力闘争とか。

 それでいうと政界の「政局」は本家本元です。政局は人事そのもの。よく「政局より政策を」と新聞は書きますが、私は人の動きも見ておかないといけないと考えます。政策だけ見ていると理解できないこともあるからだ。

 先日の自民党の総裁選には9人の候補者が出ておのおのの主張や政策を語っていました。しかし実際は党内の関係性やしがらみ、もっと言えば好きか嫌いかが大きな比重を得ていなかったか? 政策論争が決め手になったようには見えませんでした。この延長線上から打ち出される「政策」とは果たして何なのかを考えてしまう。

 実際に石破氏は首相になると、総裁選時に提唱していた主張や政策はほぼ後退していた。一方でここ数日は石破首相が裏金議員の何人かを衆院選で非公認へという話題が注目されていた。これは信念に基づく政策なのか権力闘争という政局なのか、それとも単なる選挙対策なのか? 言葉の裏に惑わされないために政局と政策を両方とも見るのは大事だと痛感します。裏と言えば裏金問題もオモテで審判されるのが今回の選挙でした。各自で判断をじっくり考える機会です。(時事芸人)