POMは守田。守備に加え攻撃でも目立ち、替えの利かない存在になっているね。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 日本代表が北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第3戦で、サウジアラビア代表と敵地で対戦。2−0で勝利した。

 スコアだけを見れば快勝。でも、サウジアラビアは初戦に7−0で勝った中国や2戦目に5−0で下したバーレーンよりもレベルが高く、過去2戦のようにはいかなかった。

 14分という早い時間に鎌田の先制点でリードしたのもあり、日本は引き気味になった。システムは3バックで、両ウイングバックの堂安と三笘は守備に追われ、特に三笘はほとんどドリブルができなかった。

 前半のポイントは42分の鈴木のビッグセーブだろう。アブドゥルハミドに打たれたシュートが決まって1−1になっていたら、展開は違ったものになっていたはずだ。

 少なからず苦戦はしたと思う。ただ、日本は我慢強く、焦れずに戦っていた。これぞアウェーでの戦い方を実践できたんじゃないかな。韓国人の主審がフェアなジャッジで“中東の笛”がなかったのも良かった。

 後半は日本が優位になった。これは、両国の戦力の差が出たと言えるだろう。日本はサイドで消耗した堂安と三笘をシャドーに移し、伊東と前田をウイングバックに投入できる選手層の厚さがある。一方、サウジアラビアは国内リーグが世界的な選手を招き入れた影響で、代表選手でも試合に出られない状況らしい。大会直前のアクシデントでレギュラークラスの選手が不在だったのも痛手だったはず。
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 日本にとって脅威になったのはサレム・アルダウサリぐらいで、ビハインドでも積極的な攻撃が見られなかった。効果的なパワープレーもほぼなし。高さでも分が悪く、CKから小川にヘッドで決められた2失点目が典型例だ。

 今日の試合のPOMを選ぶとすれば、守田だろう。ボランチとしての守備のタスクに加え、攻撃でもラストパスが光っていた。好調のようだし、今の守田は替えが利かないね。

 上田も良かった。持ち前の身体の強さを活かしたボールキープや、際どいシュートがあった。得点を決められていれば、なお良かった。

 サウジ戦の勝利で3連勝を果たした日本は、圧倒的に有利になった。早めにワールドカップ出場を決められるかもしれない。

 次戦はホームでのオーストラリア戦だ。サウジアラビアにはない高さがあり、サイド攻撃も強力だ。現状ではサウジアラビアより厳しい相手になるかもしれない。きっちりと勝って、独走態勢を固めてほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、79歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。