西武・西口文也新監督、チーム再建へ目指すべきは「落合野球」? 元コーチが指摘「攻撃力は急によくならない」
プロ野球西武は2024年10月9日、西口文也2軍監督(52)が来シーズンの監督に就任することを発表した。
西武は今シーズン、序盤から成績不振に陥り、松井稼頭央監督(48)が5月下旬に休養に入った。その後、渡辺久信GM(59)が監督代行を務めるも、成績が上向くことなく、球団史上ワーストとなるシーズン91敗を喫し、3年ぶりの最下位となった。
「低迷要因はチーム編成が上手くいかなかったこと」
西口監督は94年ドラフト会議で西武から4位で指名され入団。先発の柱としてチームをけん引した。プロ通算21年で182勝を記録し、最多勝、最多奪三振など多くのタイトルを獲得した。
現役時代、西武一筋でプレーした西口監督。今シーズン最下位のチームをどのようにして立て直すのか。
J-CASTニュース編集部は、西武の元コーチで、指導者として西口監督とともに戦った経験を持つ、オイシックス新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏(58)に話を聞いた。
橋上氏は今シーズン、西武が序盤から低迷した要因を、次のように分析した。
「要因は複合的にいろいろあるが、チーム編成が上手くいかなかったと思います。ここ最近でいえば、18年、19年に連覇したときの攻撃陣がFAで軒並みいなくなった。チームを抜けていく選手が出るのはしかたがないこと。これまで球団は次のメンバーをしっかり育成して、それまでとそん色なく、比較的戦力ダウンすることなくやってきた。しかし、今はチームを出ていく選手を想定した控えの選手の育成や、編成がほとんどできていなかった」
今シーズンは攻撃陣の不振が目立ち、得点力不足が浮き彫りになった。チーム打率、得点はいずれもリーグワーストで、来シーズンに向けての大きな課題となる。
「打てないことはあと数年我慢するしかない」
このようなチーム事情を踏まえ、橋上氏はチーム再建のカギについて持論を展開した。
「西口監督はピッチャー出身なので、現状のピッチャーでも十分なピッチングスタッフが組めると思います。そこをもう一度整備し直してやることが第1だと思います。どうしても攻撃力に目が行ってしまいがちだが、攻撃力はメンバーが代わらない限りは、急にはよくはならない。そうなると、1番現実可能なことは、今ある投手力の整備。それが再建に向けての1番の近道だと思います」
そして、セ・リーグの11年シーズンを例に挙げ、こう続けた。
「打てないことはあと数年、我慢するしかない。落合(博満)さんが中日の監督時代、チーム打率がリーグ最下位でも、チーム防御率がトップでリーグ優勝をしたことがあった(2011年)。そういうところを視野に入れながらやっていくのが、1番現実的だと思います」
11年シーズンの中日は、打線の不振を投手力でカバーし、リーグ優勝を飾った。チーム打率(.228)、得点(419点)ともにリーグ最下位だったが、チーム防御率2.46はリーグトップだった。
「西武には最多勝争いをするくらいのピッチャーがいる」
橋上氏は、投手出身の西口監督に、投手陣のメンタル面の「整備」を期待した。
「投手陣はおそらく『打撃陣が点を取ってくれないから』という気持ちになっているでしょうから、そこのメンタル的なところをもう1度、きれいにしてあげて、あとは守備。バッテリーを中心として、しっかりと守り勝つこと。それを前面に出してやるのが現実的でしょう。その中で少しずつ攻撃力を兼ね備えていくなり、外国人選手を補強したりしてプラスアルファを出していくことだと思います」
西武の他に、巨人、ヤクルト、楽天でコーチを歴任し、現在オイシックス新潟アルビレックスBCで監督を務める橋上氏。指導者として自身の経験から、西武が来シーズン目指すべき野球について、こう言及した。
「最多勝争いをするくらいのピッチャーがいるし、みな若い。投手王国になりうるだけの投手は揃っている。今いるピッチャーが全員残るということを想定すれば、投手力を前面に出してチーム編成なり、戦い方を考えていったほうがいい。打てないからといって、攻撃陣に目が行きがちだが、そこはいきなり改善できない。現実的にみれば、いまある投手力を再整備して、意識をもう1度高めて、最少失点で守り勝つというというように考えていく方がいいと思います」
チームの再建を託された元エース。どこまでチームを押し上げることができるのか。来シーズンの戦いに注目が集まる。