ホワイトソックス時代のビシエド(写真:AP/アフロ)

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本拠地・バンテリンドームで行われた2024年10月6日の今季最終戦で、中日がDeNAに0−2で敗れ、球団史上初の3年連続最下位に終わった。

試合後のセレモニーで立浪和義監督の挨拶が終わると、球場がどよめいた。

今季限りで退団が決まったビシエドが一塁ベンチからサプライズ登場。立浪監督やコーチ陣と抱擁を交わすと、選手たちと場内を一周してファンに向けて手を振った。

ファン感謝イベント、球団納会にも参加

 中日に在籍して9年。これほどファンに愛された選手はいないだろう。

18年に打率.348、26本塁打、99打点で首位打者、最多安打(178本)のタイトルを獲得。その後も中軸として活躍し、低迷期のチームを支えた。

ビシエドが絶大な人気を誇った理由は、グラウンド上での活躍だけではない。日本での成功を目指し、コーチの助言に耳を傾けて練習熱心だった。

来日当初は不慣れな一塁の守備に苦戦したが、練習や実戦を重ねることで、ゴールデングラブを2度受賞した。日本で長年プレーし、名古屋の生活に家族ですっかり溶け込んだ。

外国人選手では珍しくファン感謝イベントや球団納会にも参加し、ナインに愛された。

「実力が未知数の助っ人を獲得するより計算ができる」

だが、立浪監督が22年に就任以降は、出場機会を減らして厳しい立場に。今季は15試合出場で打率.209、1本塁打、2打点。

ファーム暮らしが大半だったが腐らず、ウエスタンリーグで72試合出場し、打率.300、8本塁打、31打点をマークした。

中日に別れを告げることになったが、来季以降も現役続行の意向を示している。

他球団の関係者は

「1軍でまだまだできると思いますよ。実力が未知数の助っ人を獲得するより計算ができますし、チームに良い影響を与えられる選手です。貧打が深刻なチームは獲得を検討するのではないでしょうか」

と語る。

来季も日本でプレーする勇姿が見られるだろうか。(中町顕吾)