秋祭りの一番の見どころ「船渡御」 観音寺市・伊吹島 6日

 讃岐うどんに欠かせない「イリコ」の産地、香川県観音寺市の伊吹島で6日、秋祭りが開催されました。過疎・高齢化で規模を縮小しながらも、島内外の人たちが汗を流し伝統をつないでいます。

 人口406人、「イリコ」の島として知られる観音寺市の伊吹島。6月から9月までのカタクチイワシ漁を無事に終え、神様に豊漁を感謝する秋祭りが行われました。

 秋祭りは江戸時代から続く島の伝統行事です。これまでは、地区ごとに分かれて合わせて3台のちょうさ(太鼓台)を出していましたが、過疎・高齢化で担ぎ手が不足。2024年からちょうさを1台だけにして祭りを行うことに決めました。

 島の人だけでなく、親族や島外の人など助っ人たちが力を合わせ、急な坂道を下り港へ向かいます。この祭りで一番の見どころ、「船渡御(ふなとぎょ)」です。みこしが漁船に乗り、島の周りを巡ります。

 神様を楽しませるためにみこしの担ぎ手たちは顔に墨を塗り、にぎやかなひとときを過ごします。

 熱を帯びる秋の一日ですが、2024年の漁はさまざまな影響を受けました。

 暑さによる海水温の上昇で脂の少ない良質なカタクチイワシの取れる時期が変わった上、燃料費や電気代の値上がりで設備費用の負担も増加。2024年のイリコの生産量は約1413t、売上高は約13億で、過去30年で最高の売上を記録した2023年に比べて7億円ほど減少しました。

(伊吹漁業協同組合/松本伊三郎 代表理事組合長)
「そんなに悪いこともなかったんやけど、ええこともないいう感じ。『無事済んだかな』いう感じ、気持ち的には。イリコがなかったら過疎化が一段と進んで、多分人がおらんようになるんちゃうかな思う。過疎化が一段と進んだら太鼓(ちょうさ)も出せんような状態になる。それでも出せるうちは出さなあかんとは思う、年に一度のことやから。先輩たちが続けてきとるものやからなかなかやめるわけにもいかんし、続けていかないかんなと」

 漁で生計を立てる伊吹島の人にとって苦しい時期もありましたが、無事に終えられたことに感謝をしながら、祭りはクライマックスに向かいます。

(野口真菜リポート)
「最後にみんなでちょうさを担ぎ、祭りが幕を閉じます」

(参加者は―)
「また来年まで待ち遠しい」
「(人が)少ないながらに力を合わせて楽しめたらいいなと思っています」