採血で「気分が悪くなる人」と「平気な人」の違いは何? 内科医に聞いてみた結果
血液を調べることでさまざまな病気のリスクの発見につながる「血液検査」は、健康診断や人間ドックで毎年受けている人も多い検査の一つです。ところで、血液検査にあたって「採血」を行う際、「気分が悪くなった」経験はありませんか?
ネット上では「毎回、頭がクラっとする」「採血の後はふらふらするから、ベッドで休ませてもらってます…」という人と、「いつも平気だなぁ」「何本も血を採られてもピンピンしてる」という人に分かれるようです。採血で「気分が悪くなる人」と「平気な人」の違いは何なのか、eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに教えていただきました。
過度な緊張が原因で…
Q.そもそも「血液検査」とはどんな検査ですか。
市原さん「血液検査では、肝臓や腎臓といった臓器の異常を調べたり、血糖値やコレステロール、中性脂肪、尿酸などの数値を調べたりと、さまざまなことが分かります。健康診断で特に異常を指摘されず健康な人は、年に1回の健康診断での血液検査で十分です。
何か症状があるなど不調のときには、病院で血液検査を行い、不調の原因を調べます。例えば、糖尿病などで定期的に病院に受診している人は、1〜2カ月に1回は血液検査をすることが多いです。かかっている病気によって血液検査の頻度は変わります」
Q.採血をしている最中や終了後、気分が悪くなったり、頭がクラっとしたりする人がいますが、これはどうしてですか。
市原さん「採血の途中や直後に、一時的に血圧が低下することで、気分不良やめまい、失神などの不調が現れることがあります。これを『迷走神経反射』と呼びます。採血に対する恐怖心からの過度な緊張が原因なので、採血に対する苦手意識の強い人は、なるべくリラックスすることが大切です」
Q.一方で、何本も血液を採っても「全然平気」な人もいます。何が違うのでしょうか。
市原さん「迷走神経反射が起きない限り、気分が悪くなることはありません。迷走神経反射の頻度は1%未満なので、たいていの人は採血をしても平気ということになります。
なお、苦手意識があって迷走神経反射を起こす人でも、体調がいいときには起こさないこともあります。逆に、『体調がいい人は迷走神経反射が起こらない』ということはありません」
Q.なるべく気分が悪くならないために、採血の前後にできることはありますか。
市原さん「迷走神経反射を起こしたことがある人は、ベッドに横になって採血することが多いです。横になることで気分がリラックスしやすいこと、針が見えないので恐怖心が薄れること、もし失神しても安全なことが理由に挙げられます。気分が悪くなった経験のある人は、採血時に伝えましょう」