スタジアム上空を滑走するジップライン

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 楽しいだけではなく、地域創生の期待もかかる。JR長崎駅から徒歩約10分の場所に「長崎スタジアムシティ」が14日グランドオープンする。通信販売大手のジャパネットホールディングスが創業地である長崎を活性化する目的とした総事業費約1000億円のビッグプロジェクト。約7・5ヘクタール(東京ドーム1・5個分)の土地にサッカースタジアムを中心にアリーナ、ホテル、約80店舗が入るショッピングモール、オフィスを備えた大型複合施設で、スポーツと観光の一大拠点を目指す。

【写真】スタジアム上空で鳥になりきってます

 プロサッカークラブ「V・ファーレン長崎」の本拠地となる「ピーススタジアム」は約2万人が収容でき、ピッチとの距離は全方向最短約5メートルと日本一近い。また、日本初のサッカースタジアム上空を空遊するアトラクションのジップラインが登場。長さ258メートル、地上約60メートルの高さを最高速度約50キロの速さで滑走する。

 他にもプロバスケットボールクラブ「長崎ヴェルカ」の本拠地「ハピネスアリーナ」は約6000人収容で、コンサートやイベント会場としても活用される。

 スタジアム内には年間100種類以上を醸造するクラフトビールの醸造所が設置されているブルワリーレストラン「THE STADIUM BREWS NAGASAKI」がある。ビールは常時7、8種類のメニューで、レストラン内だけでなく、テイクアウトしてできたてのビールを飲みながら、サッカーの応援が可能。ビールだけ飲みにくるのも可能、試合のない日も営業。ビールが目的の一つとなれば、公共機関を利用する人が多くなり、交通渋滞の緩和になる狙いも含まれている。

 「長崎スタジアムシティホテル」はほとんどの客室からサッカースタジアムが展望でき、試合のない日はレーザー光線のショーを楽しめる。また、スタジアム側ではない客室からは美しさで有名な夜景を見ることが可能。サッカーやバスケットの試合がない日でも、飲食店やアトラクション、イベントなどで楽しめる。

 2018年に「長崎・幸町工場跡地活用事業 土地活用事業者募集」に応募したことでプロジェクトが実現した。長崎県も他の地方にも見られる若者をはじめとした人口の県外流出が問題となっているが、「長崎シティスタジアム」では1000人を超える雇用を創出。魅力ある街づくりをして、歯止めをかけたい意図もある。

 地方創生事業として全国から企業や自治体関係者が視察に訪れる。施設運営会社・リージョナルクリエーション長崎の岩下英樹社長は「民設民営で行ったスポーツを中心とした街づくりという地域創生のモデルが、日本全国に広がっていくことは実に望んでます」と波及効果ももくろんでいる。

 新たなモデル事業としても注目は高い。「箱はできたものの、最終的に事業として成り立たせずということであれば、次に続かないと思っています。莫大な利益を上げなくても、しっかり収益としてモデルを作っていく。そうすることで周りにマネをしてもらえるんじゃないかと」。長崎に誕生する新名所はあらゆる可能性を秘めている。

(よろず~ニュース・中江 寿)