ナインに上げられる山崎(撮影・佐々木彰尚)

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 「ヤクルト2−5広島」(3日、神宮球場)

 湿っぽいのは似合わないだろう。ヤクルト・高津臣吾監督は悩み、考え抜いた形で送り出した。「山崎晃大朗が最後のゲームでした。走攻守三拍子、非常に微妙な選手でした」。スタンドの爆笑を誘い、笑ってユニホームを脱ぐ門出を演出。山崎らしい最後を全員で作り出した。

 2日に引退試合を終えた青木の姿を山崎はスタンドから見つめ、その夜。高津監督に「スタメンで出たい」と直訴した。快諾を得ると、三回に右前打、九回には左前打を放ってマルチ安打締め。「ああやって泥くさいヒットは僕が打ってきた形」とうなずいた。

 膝の状態はギリギリだった。それでも山崎は言う。「明日ベッドから出られなくてもいいから」。最後まで立ちたいと願った神宮のグラウンド。高津プレゼンツの引退試合は最後まで笑顔で、縦に2度宙を舞った。