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根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、よく目が霞む……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を特別公開する。

特定の植物性栄養素を摂取して
肝臓をサポートする

 身体の解毒プロセスは、加工食品、糖、デンプン(そう、これらの犯人は体内のあらゆるシステムの混乱に関与しているのだ)および環境有害物質の過剰摂取によって妨げられかねない。また、最適に機能するには、さまざまな食品、ファイトケミカル、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、水が必要だ。

 残念なことに、私たちの身体は有害廃棄物のゴミ捨て場と化してしまっている。産業革命以来、環境には8万4000種類の化学物質が導入されてきた。そのうち安全性が確認されているのは1%にも満たない。

 これらの化学物質は、炎症や酸化ストレスを引き起こし、ミトコンドリアにダメージを与え、腸の働きを乱し、ホルモンバランスを崩し、解毒システムに過剰な負荷をかけている。

 私たちは毎年約2.3キログラムもの食品添加物を身体に取り込んでいる(*1)うえ、農薬や除草剤を食品から、水銀を魚から、ヒ素や毒素を水から摂取している。

 さらに、アルコールと、タイレノール[アセトアミノフェン製剤の商標名](この薬は体内の主要解毒物質であるグルタチオンを減少させる)や他の薬物が少し加われば、身体の解毒プロセスは追いつかなくなり、毒物過多の状態に陥ってしまう。

 幸いなことに、食べ物には、老廃物を体外に排出するために身体が必要とする成分がほぼすべて含まれている。水分を十分に摂れば、腎臓と腸は老廃物が効果的に排出できるようになる。食物繊維は、結腸内で老廃物を素早く移動させる。

 肝臓は、食事に含まれる植物性栄養素のサポートを必要としている。肝臓の解毒経路を最も促進する食品群は、体内に存在する最も強力な抗酸化物質であるグルタチオンの生成を促進する硫黄化合物を含むアブラナ科の野菜(ブロッコリー、コラード、ケール、キャベツ、芽キャベツなど)だ。ニンニクとタマネギにも、解毒に必要な硫黄化合物が含まれている。

 肝臓が解毒に必要なすべての化学反応を促進するためには、動物性タンパク質、魚介類、ナッツ類、種子類、緑黄色野菜に含まれるB1、B2、B3、B6、B12、葉酸、マンガン、マグネシウム、亜鉛、セレンが十分な量で存在することも必要だ。ハーブやスパイスに含まれるさまざまなファイトケミカルも肝臓の解毒を助ける。たとえば、ウコンに含まれるクルクミンは解毒を助け、炎症を抑える(*2)。

 健康的に解毒を行うには、タンパク質由来のアミノ酸が十分にあることが不可欠だ。緑茶はスーパー解毒剤だ。日本人が寿司に含まれる高濃度の水銀を解毒できているようなのも、そのおかげかもしれない。なぜなら、緑茶は重金属をキレート(結合)するからだ。

 ローズマリー、ショウガ、コリアンダー、タンポポの若葉、パセリ、レモンの皮、クレソン、ゴボウ、アーティチョークなどもみな、定期的な摂取が求められるパワフルな解毒食品である。

 良質のタンパク質、植物性栄養素、ビタミンとミネラルの豊富な食品を、たくさんの食物繊維と新鮮でクリーンな水とともに摂れば、解毒システムが活性化し、有害物質の量を低く抑えることができる。

参考文献
*1 “Chemical Cuisine Ratings.” Center for Science in the Public Interest. https://www.cspinet.org/page/chemical-cuisine-ratings.
*2 Joe B, Vijaykumar M, Lokesh BR. “Biological Properties of Curcumin-Cellular and Molecular Mechanisms of Action.” Crit Rev Food Sci Nutr. 2004;44(2):97-111.

(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』からの抜粋です)