「耳コピ」でオリジナル曲を作成…90年代後半以降の携帯電話の着信音事情とは
スマホの利用が当たり前になった現代では、音楽を聴いたり動画を見たりするのも簡単にできるようになった。技術の進化には驚かされる一方で、90年代後半を懐かしむときもある。
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当時のPHSや携帯から流れる着信音は、今のようなリアルな音楽ではなく単音でしかなかった。ただ機種によっては自分で入力をして着信音を作成できるものもあった。コンビニや書店には着メロ本が並んでいて、店員の目を盗んで立ち読みで曲を打ち込んだ人もいるのではないだろうか。
90年代後半の着メロ事情に詳しいAさんに話を聞くと、自身の記憶を辿ってオリジナル作品を作成していたとのこと。自分の好きな曲を思い出し、一音一音確認しながら曲に仕上げていったそうだ。当時大学生だったAさんは、通学途中の着メロを作ることが多かったらしく、電車内で音量を最小にして音を再生させながら作成していた。
しかしPHSや携帯の機種が進化し着信音が単音から和音に対応するようになると、耳コピーで曲を再現するのが難しくなる。流石のAさんも、このあたりから自分で曲を再現するのは断念したそうだ。
そして1999年に入ると世界初の着メロシステムが構築され、着メロ本を見ながらキー入力で着メロを作る時代が終わり、着メロはダウンロードして使うようになった。さらに着メロの進化は止まらず、曲だけでなく歌も再生できる「着うた」サービスへと広がっていく。
メールや電話の相手ごとに使用する着メロを設定し、誰からの連絡なのかがすぐにわかるようにしていたという人も少なくないだろう。例えば、反りが合わない上司からの連絡にはダースベイダーのテーマを設定していたなんて人もいるはずだ。
しかし着メロや着うたの利用は、その後スマホが登場することにより減少していく。CDなどの音源からスマホにインストールできるようになり、わざわざ着メロを利用しなくてよくなったというのも理由のひとつだろう。
またLINEなどのメッセージアプリを使用する人が増え、電話やメールを使用しなくなったというのも影響しているかもしれない。不便でありつつも楽しかった着メロ作曲が技術の進歩によりなくなってしまったのは、若干の寂しさを覚える。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)