【石破新首相の素顔】好物のカレーに「わーい」と歓喜、リベラル論客とも交流「議論はするが敵視しない」
自民党の総裁に選出された石破茂氏(67)が新首相となった。政策だけでなく、宰相の人柄も注目される中、核シェルターの普及活動で石破氏と接点のあるジャーナリストの深月ユリア氏が、その「素顔」をつづった。
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自民党28代総裁・総理大臣に就任した石破茂氏。「防衛オタク」「軍事オタク」とも知られていて、元防衛大臣でもある貫禄から何となく「怖い」というイメージを持つ人がいるかもしれない。筆者は石破氏と2年余りの付き合いだが、そんなイメージと真逆な一面を知っている。
石破氏との付き合いは、筆者が代表を務めている日本国内でシェルター(核シェルター)を普及しようという任意団体「命を守るシェルター協会」の顧問(無報酬)になってくれないか石破氏に依頼したのがきっかけであった。
石破茂は20年以上前から国会で国策としてシェルター整備の必要性を訴えてきた。というのも、日本におけるシェルターの普及率はわずか0.02%で、そのほとんどが冷戦時に富裕層が購入したものである。シェルターの価格は数百万~数千万円なので一般人が気軽に購入できる値段とはいえないだろう。岸田政権が増額した防衛予算にもシェルターに充てる予算は定められていない。
かねて、「政府は国民を守るべき」「防衛費を増額しても市民が死んでしまったら、この国は終わる」と訴えてきた石破氏は同団体の顧問をその日のうちに引き受けてくれた。筆者の亡き祖母は戦時中のウクライナ出身だが、初めて石破氏に面会した際にそれを伝えたところ、石破氏が敬意を表してくれたのが印象的だった。それから石破氏を同団体の主催するシンポジウムに講師として招致したり、取材したり、という付き合いがはじまった。
何より驚いたのは、元防衛大臣で次期総裁最有力候補といわれてきた石破氏がシンポジウム会場にSPや秘書の同伴なく1人で来場することだ。石破茂氏の庶民的なフランクな一面で、それが国民人気が高い一因なのかもしれない。
そして、「怖い」イメージとは裏腹に、筆者は何度も人情味があり、ユーモラスで純粋な石破氏の顔を見てきた。
週刊誌の取材時に、石破事務所に石破氏が大好きだというカレー(中村屋のもの)を土産に持参したら石破氏は「わーい、カレーだぁ」と子供のように無邪気に喜んだ。
また、ある時、芸能界の性被害とガザの戦争をテーマのシンポジウムに石破氏を招致した。石破氏以外の出演者はジャーナリストの鈴木エイト氏、東京新聞記者の望月衣塑子氏、芸能界で性被害を受けて「me too」運動を始めた女優の石川優実氏など、いずれもリベラル系だったり、自民党が嫌いな出演者たちだった。
石破氏は入場早々、「アウェイな感じですね」と冗談を言って、会場は大爆笑の渦に包まれるのだった。積極的にリベラル系のメディアにも出演している石破茂だが、同氏がメディアでも主張してきた「議論はするが敵視をしない」「思いやりのある政治を実現したい」というスタンスなのだろう。
石破氏出演のシンポジウムで何度か参加した人の声として、「たいていの政治家は偉くなると態度に表すが、石破さんはフランクで人類を平等にみている」「周りに忖度せず意思を貫いているのが分かる」「庶民的な目線で話してくれる」「話がぶっちゃけていて、人を信じ、倫理観がちゃんとしているんだと思う」という声があった。
石破新総理が造る新たな日本がどのように変わるのか期待したい。
(ジャーナリスト・深月ユリア)