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「電動化してないクルマの新車取材は最近では珍しいね」

編集長平井(以下HR):オゴー君、アイナ・ジ・エンドってなにかね。プロレスの技の名前か? スリーパーホールド的な。
編集部小河(以下OG):そこからですか……。楽器を持たない女性パンクバンド、BiSHの元メンバーです。
HR:びっしゅ? nWoみたいなものか? オゴー君、闘魂三銃士だよ、三銃士。橋本ーーーー!!
OG:何のことかわかりませんね……。今回、新型フォルクスワーゲンTクロスのCMに出演されていて、そのイメージソングも書き下ろしたそうです。というか、ヒライさん、さっきプレゼンでCM見ましたよね。
HR:もうちょっとプロレスの話させてくれよー。やっぱり、ヒライ的には三沢光晴でな……。
OG:長くなると読者が離脱しますので、ダメです(きっぱり)。Tクロスは2020年の導入から3年連続で輸入車SUV販売台数ナンバーワンになり、それが途切れた昨年も1位は同じフォルクスワーゲンのTロックでした。今回は、そのマイナーチェンジモデルに試乗します。
HR:(しぶしぶ)確かにサイズ感も価格も手頃でいいよね。エンジンは1リッターの3気筒だっけ?
OG:はい、ボディサイズは全長4140mm、全幅1760mm、全高1580mmで、エンジンは116psの1リッター3気筒ターボ1本です。
HR:お、電動化してないクルマの新車取材は最近では珍しいね。試乗車は18インチもあったけど、17インチを選んだよ。それのほうが素のモデルっぽくていいかなと。
OG:あれ、寝坊してギリギリに来たのに、試乗車選べたんですか?
HR:言うなよー。まあAUTOCAR JAPANっぽい、通のセレクトということで(笑)。
OG:はい。では試乗に行きましょう。

【画像】新人編集部員と新米編集長が試乗会に参加した新型フォルクスワーゲンTクロス 全124枚


新型Tクロスの試乗会に参加した新人編集部員(左)と新米編集長(右)。    花村英典

「レバーを動かして"発進!"の方がテンションあがります」

OG:(運転席で)おお……。これは売れますね……。
HR:ちょっと動かしただけなのに、わかるのかね。
OG:フォルクスワーゲンの新車ってほとんど乗ったことがないのですが、全般的に質感が高く、凄くいいですね。普通に欲しくなっちゃいます。
HR:今回は前後の外装デザインが変わったんだよね。マイチェンにありがちな後付け感がなくて、いいデザイン処理だと思う。
OG:アイコニックなテールランプの造形は、ここ最近の流行りなのでしょうか。イイネ!
HR:お、テンションあがってきたね! 他はどうかな?
OG:ホイールの形状とリアの落ち方がスポーティでいいですし、個人的にはギアセレクタがレバーなのがいいです。やっぱレバーをガチャッと動かして”発進!”の方がテンションあがります! サイドブレーキも同様です!
HR:ラインナップはベースグレードのアクティブが329万9000円で16インチ、取材車のスタイルが359万9000円で17インチ、ただし18インチのオプションあり、Rラインが389万5000円で18インチだって。毎日乗るなら、アクティブの16インチかスタイルの17インチかなぁ。でも30万円頑張ればスタイルになるのは、かなりいい価格設定だと思う。
OG:マイチェン前のオーナーは半数が女性だと説明がありましたが、女性向けと考えると、ステアリングの重さは少し手ごたえがしっかりしている部類です。ですが高速道路などでは、圧倒的にこちらの方が安心感あっていいと思います。
HR:エンジンの音質は、正直3気筒だから高級感はないけど、価格的にそこは求められてないかな。
OG:(アクセルを踏み込んで)街中を颯爽と走り抜けるには十分以上のパワーで、トルクもあり、頼りになります!


さすがは3年連続輸入車SUV販売ナンバー1。商品力はかなり高い。    花村英典

「道具的フォルクスワーゲンの新たな選択肢という感じがする」

HR:(運転を交代して)街中の段差では少し路面からの突き上げがあって、ちょっと足まわりが硬いと思わせるのは、フォルクスワーゲンっぽい部分かな。直前までID.4に乗っていたんだけど、似たような印象だった。
OG:ボクもID.4、取材でだいぶ乗りましたが、いいクルマですね。
HR:シートに座るとキーがオンになるとかギミック類は意外だったけど、ID.4もTクロスも、総じてドイツ車らしい真面目さと質実剛健さを感じてよかったなぁ。80%充電した時点で残りの航続距離は351kmだったから、これでもうちょっと走ってくれるといいなぁと。
OG:ドイツ車らしいという意味では、確かにこれは女性に勧めても安心できるクルマです。コンパクトで取りまわしもよく、ボディもしっかり。総じて、スタイリッシュで使い勝手も良く、ガシガシ使える。安心感たっぷりの頼れる相棒、という感じですね!
HR:おいおい、話を勝手にまとめるなって(笑)。でも女性を意識してフロントシートヒーターやスマホのワイヤレスチャージャーを標準化したのは、売れているモデルだからこその余裕というヤツかな。価格もこのご時世なのに最低限の値上げに収めて実質値下げとも言えるのは、意気込みを感じるなぁ。
OG:ヒライさん的にはやっぱりアクティブ推しですか。
HR:そうね。ポロやゴルフのベーシックモデルを選んできたように、道具的フォルクスワーゲンの新たな選択肢という感じがする。荷室が最大1281Lと広く、リアシートが前後スライドするのもいいよね。
OG:室内も静粛性がアップして、今、サンプルで流れているアイナ・ジ・エンドの曲も心地よく聞こえます。
HR:オゴー君、だったらスパルタンXを流してもいいかな。
OG:まさか……。
HR:もちろん、三沢光晴の入場曲だよ! 新たな必殺技、その名もティ〜〜クロス!!
OG:プロレスの話、忘れていませんでしたか……。


ドイツ車らしい真面目さと質実剛健さも感じられる新型Tクロス。    花村英典

SPEC:VOLKS WAGEN T-CROSS TSI STYLE

全長×全幅×全高:4140×1760×1580mm
ホイールベース:2550mm
駆動方式:2WD(FF)
車両重量:1260kg
最高出力:116ps/5500rpm
最大トルク:200Nm(20.4kg-m)/2000-3500rpm
エンジン:直列3気筒DOHCインタークーラー付きターボ
排気量:999cc
トランスミッション:7速DSG
タイヤ(F&R):205/55R17
車両本体価格:359万9000円