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 ここ数年で増えている「家族葬」。大きな要因として挙げられるのが費用面です。では、家族葬にすることで費用はどの程度抑えられるのか?また一方で、「お金をかけてでもやりたい」人が増加している“こだわりの葬儀”もあるようです。お葬式の最新事情を取材しました。

急増する「家族葬」費用は一般葬の半額程度

 最近、急増している家族葬。インターネットで検索すると多くの葬儀会社で取り扱っています。一体、どんなお葬式なのか、堺市にある家族葬専門の式場「ファミリー葬 堺店」に行ってみると…

 (ファミリー葬堺店・吉岡祐矢さん)「実際の会場の雰囲気だったり、広さ、祭壇のお花の量、棺があったりとか実際のお葬式の内容を詳しく案内しています」

 こちらの式場では年間、約180件の家族葬が行われています。取材した日は葬儀の内容や費用の相談会が開催されていました。

 (吉岡祐矢さん)「(Q一般葬と家族葬は何が違う?)大きく違うのは規模が小規模なのが家族葬。集まる人数が少なくなるので香典を受け取らなかったり、来られる方に対するおもてなしで手いっぱいになるのではなくて故人様と最期ゆっくりお別れできたという方が多いです」

 参列者は一般葬の場合、100人〜200人。家族葬は30人以下で行うことが多いそうです。背景にあるのは核家族化や高齢化などで、こじんまりした葬儀を希望する人が増えていて、お葬式に関する全国調査(※2024年 株式会社鎌倉新書 いい葬儀調べ)によりますと、一般葬が30.1%に対し家族葬は50%と、葬儀を行った人の半数が家族葬だったと回答しました。では、気になる費用は…

 (吉岡祐矢さん)「地域によってもだいぶ違いますが、一般葬ですと150万円〜200万円のお葬式代金が多かったんですが、家族葬だと60万円〜70万円くらい」

 この会社で家族葬をする場合は、生前に約3万円を支払っておくことで、式場で行う葬儀の費用が割引され、60万円〜70万円に抑えることができるといいます(※参列者10人〜20人の場合 葬儀の規模により異なる)。加えてお坊さんらを呼ぶ場合、お布施として15万円〜30万円。火葬料も数万円ほど必要です。総額だと家族葬でも90万円ほどになりますが、それでも一般葬の半額程度になるそうです。

 この日は84歳の女性が自身のお葬式の相談に来ていました。

 (相談に来た人)「夫を13年前に亡くした。少しあとで後悔することがいっぱいあったんです。いくらくらいか(費用が)イメージできなかったんですよ。(Q一番大事にしたいことは?)子どもに負担かけたくない。金銭的にも精神的にも」

 家族葬が増える中、お葬式のトレンドを専門家に聞きました。

 (終活アドバイザー・廣木智代さん)「(Q昔と比べてどんな変化がある?)都会に行けば行くほど簡素化になっている気がしますね。お葬式を自分で考える人が増えてきた。希望を述べられる方とか、そういったことをエンディングノートに書いている人が増えてきたかなと思います」

"キレイな姿で見送られたい" 顔を隠すヘッドドレスが新たな需要

 こうした“自分らしさ”を求める人たちで新たなビジネスも。

 華やかな花飾りが特徴の「ヘッドドレス」。価格は1万1000円〜(税込み)です。顔がうっすら隠れるようになっています。

 (匠(ヘッドドレスなど販売) 武田真也さん)「お子さんやお孫さんがご遺体に慣れてないときにヘッドドレスを羽織ることによって、こちらの方に目線をずらして、キレイに最期は旅立っていける」

 生前に準備する女性が多く、キレイな姿で見送られたいことや参列者への配慮もあって、去年と比べ注文が倍になっているそうです。

"私も死ぬときこれがいい” ユニークな棺桶で自分らしさを表現

 一方で棺桶で“自分らしさ”を表現する人も。東京都江東区の「GRAVE TOKYO」を訪れると…

 (棺桶デザイナー・布施美佳子さん)「こちらすべて棺桶になっています」

 花柄やフリルなどが施されていて、とても棺桶とは思えない奇抜なデザイン。依頼者から趣味や好みを聞いて作る世界にひとつだけの棺桶です。デザインを手がけるのは布施美佳子さん。

 (布施美佳子さん)「棺桶は人生の最後にみんなから見てもらえる"部屋"でもあるわけです。『彼女らしいね』『彼らしいね』『あなたらしいね』って思ってもらえるようなデザインであることに意味があると思っています」

 1基35万円〜(一般的な棺桶は数万円〜)とかなり高価ですが、販売開始から1年あまりで12基が売れたそうです。

 (布施美佳子さん)「ファッションに敏感なお客さまたちがうちの棺を見て、『かわいい。何これ、入りたい』『私も死ぬときこれがいい』って。まずはこういう選択肢があることを知っていただいて、望まれる方にはご提供できるような環境を作っていきたいと思っています」

まるで雑誌のモデルみたい!?楽しく遺影を撮影

 さらに、自分らしい姿で撮影できる遺影の専門スタジオ「AMARANTHA−I」(大阪市中央区)が9月14日にオープンしました。

 これまでの遺影撮影とはちょっと違い、スタジオにはカメラマンだけではなく専門のスタイリストやヘアメイクが撮影に関わります。遺影なのにイベントのように楽しみながら撮影するのがスタジオのコンセプト。価格は衣装代やメイク料、約30枚の写真データなどもついて10万7800円(税込み)です。

 (遺影専門フォトスタジオ・岡本訓子さん)「(Qなぜこのサービスを始めた?)もともと実家が神社でして、ビジネスとしてのお葬式に小さい頃から携わっていて、ファッション性の高い遺影のサービスができたらどうかなと思って」

 今回は、MBS山中真アナウンサーもファッショナブルに!?

 (岡本訓子さん)「きょうは山中さんにちょっと韓流っぽい感じになっていただこうと思いまして」

 さっそくスタイリストが選んだ衣装に着替え入念なメイク。1時間半後、完成した姿に…

 (山中アナ)「お〜全然違う!」

 撮影中はスタッフが全力で盛り上げてくれます。うれしいやら、恥ずかしいやら。

 (撮影中のスタッフ)「女性ファンがキャーキャー言っちゃうやつです」
 (山中アナ)「恥ずかしい」

 撮影が終わり…

 (岡本訓子さん)「お疲れ様でした。いかがですか?」
 (山中アナ)「思っていた遺影の撮影と全く違いました。なんかもう本当に雑誌の撮影かなという感じで」
 (岡本訓子さん)「めちゃめちゃかっこよかったです」
 (山中アナ)「一生分というぐらい褒めていただいたので、やっぱり気分はいいですよね」

 自分らしさを演出する、そんなお葬式もトレンドのようです。