オリックス・宗佑磨(左)と西野真弘【写真:荒川祐史、小林靖】

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オリックス・小田裕也の現役引退に、同期入団の宗と西野「寂しいです」

 サングラスの奥にしまい込んだ瞳は、じんわりと潤っていた。16日の大阪・舞洲。オリックスで10年間プレーした小田裕也外野手がスーツ姿で現役引退をナインに伝えていた。前日に連絡を受けていたとはいえ、宗佑磨内野手の胸中は穏やかではなかった。

「寂しいですね。同期だし。退団や移籍していった選手はいましたけど。引退は同期の中で初めてです。そういう(現役引退の)感じは一切、見せなかったです。いつも通り、ずっと練習をしていたので」

 宗は2014年ドラフト2位でオリックスに入団。18歳で“同期の小田さん”に出会ってから10年が経った。「裕也さんはズバッと物事を言ってくれる先輩です。僕らが話しをしていたら『それってこうでしょ?』って一言で教えてくれる。それが的を得ている。的確なアドバイスをくれる素敵な先輩。落ち着いていて、いつも冷静。慌てているところを1回も見たことがないです」。“兄貴”の決断が、じんわりと染みてきた。

 2021年から3連覇を果たし、ともに美酒を浴びた。京セラドームの一塁側ベンチの最奥に、いつも背番号50がいた。「居てくれるだけでめちゃくちゃ助かります。(現役)最後の方は代走や守備固めが多くなりましたけど、裕也さんがランナーにいたら(ヒット)1本でかえってきてくれる安心感がありました。まだできるでしょ……」。所々で言葉が詰まった。

「寂しい顔をして野球をするのは、みんなが許してくれない」

 2014年ドラフト7位の西野真弘内野手も、言葉のチョイスに頭をフル回転させた。「まず1番にビックリでした。『まだ早いだろう……』という気持ちもありつつ。でも、苦渋の決断だったと思うから。本人にしかわからない思いもある。だからこそ、なおさら寂しいですね」。16日のソフトバンク戦では小田の登場曲であるWANIMAの「CHARM」を流した。

 試合前、衝撃の光景が飛び込んできた。スーツをビシッと着た小田がベンチに現れ「受け入れるしかなくなりましたね……」と目をつぶった。「正直にね。ずっと1番近くでプレーしてきた人だから、寂しいですよ」。西野の言葉に嘘はない。

「僕を1番近くで支えてくれていた。1つ歳は上ですけど、同期でもあり、先輩でもあり、生意気を言えば友達でもあり……。本当にパートナーがいなくなった感じです。(引退を)聞いた時は何も考えられなかった。ぼーっとしてしまったというか、ショックを隠しきれなかったです」

 T-岡田、安達も現役引退を発表。野手では34歳の西野が最年長となる。「1番上になったのは、まだ考えられない。まだいろんな整理がついていないですけど、僕は必死にやるしかない。寂しい顔をして野球をするのは、みんなが許してくれないと思う」。シーンとした京セラドームの地下駐車場に、鼻をすする音だけが響いた。(真柴健 / Ken Mashiba)