エンバカデロ・テクノロジーズ(Embarcadero Technologies, Inc.)は現地時間9月12日、Delphi/C++統合開発環境(IDE)「RAD Studio」「Delphi」「C++Builder」の最新バージョン「12.2 Athens」のリリースを発表した。

○待望の生成AI導入やWeb開発向けの新しいテンプレートライブラリ、新Delphiコンパイラなど多くの機能を強化

「RAD Studio」はWindows環境で、Delphi及びC++を活用しWindows、Android、iOS、macOS、Linux 向けのマルチデバイスアプリケーションを開発できるIDE。「Delphi」「C++Builder」の機能を含みエディションに応じて「Interbase」「RAD Server」などのアプリ開発ツールが付属する。

RAD Studio 12.2 Athens(公式Webサイト)

最新バージョン「12.2 Athens」では、待望の生成AIによるコーディングサポート「Smart CodeInsight」、新しいC++ツールチェーンに対応したランタイムパッケージの使用と生成、64-bitバージョンのDelphi Windowsコンパイラ、Web開発向けの「WebStencils」テンプレートライブラリなど多くの新機能が実装された。生成AI機能「Smart CodeInsight」はOpenAI、Googleの「Gemini」、Anthropicの「Claude」とオフラインで使える「Ollama」に対応し、デフォルトでは無効となっているのでオプションで有効化することで利用できる。コーディングサポートは、「汎用AIチャットペイン」とコードを選択しメニューより実行する2つの方法で利用可能。

生成AIの利用。[ツール][オプション]から[IDE]、[Smart CodeInsight]で設定(同社資料より)

エディタのメニューで生成AIを活用(同社資料より)

64-bitバージョンの新しいDelphi Windowsコンパイラは、64-bitバイナリバージョンのDelphi Win32及びWin64コンパイラで、大規模なコードのビルドに対応。機能によりEnterprise版とArchitects版のみの提供となる。「WebStencils」は、WebBroker、DataSnap、RAD Serverを活用したサーバーサイドスクリプトで統合・処理を行う機能を提供。「RAD Studio」で作成したサーバサイドアプリケーションから提供されるデータを取得し、HTML、CSS、JavaScriptライブラリを活用した効率的なWebサイト構築が可能になる。

それ以外にもデバッガの品質改善、「Delphi LSP」エンジン、「Delphi RTL」「VCL」「FireMonkey」などで多くの機能改善が行われている。追加された新機能についての詳細は「RAD Studio 12.2 Athens リリース」から、修正・改善された機能については、「RAD Studio 12.2 で修正された新機能とユーザーから報告された問題」で確認できる。