人間の子どもは「ごっこ遊び」や「何かのふり」を驚くほど早くから学ぶという研究結果
「何かのふりをする」というスキルは、子どもの頃にするごっこ遊びやおままごとに役立つだけでなく、パートナーの好きなものに自分も興味を持っているように振る舞ったり、仕事に熱意を持っているように上司へアピールしたりと、生涯を通じて役に立つ重要なスキルです。0歳〜4歳の子どもの発達を調べた新たな研究では、子どもは驚くほど早い時期から「ごっこ遊び」や「何かのふり」を身につけることがわかりました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0885201424000686
August: Babies pretending | News and features | University of Bristol
https://www.bristol.ac.uk/news/2024/august/babies-pretending.html
We Learn to Pretend Surprisingly Early in Our Lives, Study Shows : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/we-learn-to-pretend-surprisingly-early-in-our-lives-study-shows
イギリスのブリストル大学で心理学教授を務めるエレナ・ホイカ氏らの研究チームは、イギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダに住む合計902人の親を対象に、出生時〜生後47カ月(3歳11カ月)の子どもの行動についてアンケートを実施。「ごっこ遊び」や「何かのふり」といった行動を取ったかどうか、それはどのような行動だったのかについて聞き取りました。
その結果、子どもたちは早ければ生後4カ月で、何らかのごっこ遊びや何かのふりをすることを理解し始めることが判明。生後13カ月までには、約半数の子どもが何らかのふりをしていることがわかりました。
生後すぐの段階で行われる「何かのふり」の内訳には、自身の体が関与する「寝たふりをする」といったものが多かったとのこと。また、「指で歯を磨くふりをする」「空のコップから水を飲むふりをする」「何かの物体や道具のまねをする」など、物体や行動にまつわるジェスチャーも含まれていました。
そして1歳児になると、「バナナを電話に見立てて電話で話すふりをする」など、ある物体を別の物体に見立てるごっこ遊びをするようになると報告されています。このようなごっこ遊びをすることで、子どもたちは創造的な遊びのセンスを拡張できるとホイカ氏は考えています。
2歳児はより抽象的な思考を示すようになり、「ロケットのおもちゃを飛ばす」など、日常的な生活ではしないような動作をまねするようになります。また、この年齢になると全身を使って「木や動物、他の人、アニメなどのキャラクターのふりをする」ようになるそうです。この頃には言語スキルも発達しているため、精巧なストーリーラインを作って遊ぶこともあるそうです。
最後に、3歳児は「宇宙を飛ぶマンガのキャラクターになりきる」「空想上の友達と一緒に遊ぶ」など、非常に創造的なごっこ遊びをし始めます。ホイカ氏は、「私たちの発見は、ふりをすることがいかに複雑で、進化するプロセスなのかを浮き彫りにしています。それは人生の非常に早い段階から始まり、認知的・社会的スキルの発達を助けます。『ふり』は子どもたちの学習・創造性・友達作り・他者理解の重要な部分なのです」と述べました。
今回の研究はあくまで親からの申告に基づいて行われたものであり、必ずしも子どもの正確な状況を反映したものではない可能性があります。しかし、過去の研究では親によるレポートが実験室での観察と相関していることが示されているとのこと。
研究チームは子どもの発達段階における「ふり」を調べることで、親や幼児教育の教師たちが子どもたちの発達をより良く理解し、学習や創造性、友達作りを支援できるようになることを期待しています。ホイカ氏は、「さらに研究が進めば、この研究結果は幼児期の発達の違いを診断するツールとして使える可能性があります」とコメントしました。