万博会場の大屋根リング(8月21日、大阪市此花区で、読売ヘリから) 

写真拡大

 政府は、来年4月に開幕する大阪・関西万博の目玉として、「火星の石」を展示することを決めた。

 南極で日本の観測隊が発見した世界最大級の火星由来の隕石(いんせき)で、初めて一般公開される。生命の起源を解明する重要な手がかりとなるもので、「いのち輝く」をテーマとする万博の象徴とする。

 展示する火星の石は、2000年11月に日本の観測隊が南極の昭和基地近くで採取した。ラグビーボールほどの大きさ(幅29センチ、奥行き22センチ、高さ16センチ)で、重さは13キロある。国立極地研究所(東京都立川市)で保管されている。

 極地研の分析で、隕石内部の希ガスの成分から火星から飛来したものと断定された。約1000万年前に火星を離れ、数万年前に地球に到達したとみられる。水と反応してできる鉱物が含まれており、火星に水が存在した証拠となる。政府は、20年に日本の探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰った砂の展示も検討している。

 1970年の大阪万博では、アポロ12号が持ち帰った「月の石」がアメリカ館で展示され、注目を集めた。政府は、今回の万博で月の石を再展示するよう、米国に働きかけている。

 関係者は「宇宙探査の舞台は月から火星に移りつつある。万博を最先端の宇宙の魅力を発信する場にしたい」と話している。