Image: Artem Golub - Gizmodo US

Marshall(マーシャル)のギターアンプのクオリティを知っているだけに、この新しいヘッドホンにもいろいろ期待してしまいますな。

マーシャルから登場した「Major V」は、お手ごろな価格のオンイヤータイプのヘッドホン。一番の特徴として100時間以上のバッテリー寿命を謳っています。

最初は何かギミックがあるのでは?と疑いましたが、実際に3週間連続使用 (平均して1日2時間) した後でも、まだバッテリーが50%以上残っていました。Bluetooth Low Energyも搭載しており、将来のファームウェアアップデートでAuracastにも対応するそうです。

ただ、音質がね…。期待していたより普通だったことが、唯一残念なところでした。

▪️これは何?

マーシャルの最新ヘッドホン

▪️価格

日本国内価格:2万2980円

▪️長所

コンパクトで持ち運びに便利

Spotifyにすぐアクセスできる専用ボタン

驚くほど長いバッテリー寿命

将来を見据えた複数の機能

Auracast対応

▪️短所

IP規格外

音質は平均的

ノイズキャンセリングなし

シンプルなデザイン

Major Vのイヤーパッドはクッション層が非常に厚いため、付け心地はかなり快適です。筆者に耳にはぴったりとフィットしました。

ただ、耳を完全に包み込むようなオーバーイヤータイプではなく、常に耳の軟骨に押し付けられるため、人によっては不快に感じることがあるかもしれません。合皮素材は熱くなりやすいため、外で使うときは蒸れなど煩わしさもありますが、部屋の中ではそれほど気になりません。

Image: Artem Golub - Gizmodo US

折りたたむと非常に小さくなります。通勤用のトートバッグの小さなポケットにもすっぽり収まります。ただ、ヘッドホンを折りたたんだとき、金属ヒンジが突き出るのが少し気になりました。

重さはたったの186gで、筆者がテストしたヘッドホンの中でも最も軽い部類に入ります。

ちなみにSONY(ソニー)WH-1000XM5は、249gという軽さで高く評価されています。もちろんソニーの主力ヘッドホンと比べると、Major Vの見た目はそれほど高級感はありませんが、価格が1万円以上安いのは魅力的。デザインは非常にシンプルです。人目を引く華美なデザインよりも、頑丈でしっかりしたマーシャルらしい佇まいに仕上がっています。

防塵・防水機能を備えていないのは残念でした。ハードなシーンでも使われているマーシャルのギターアンプを想像すると、少なくとも IP56は備えているだろうと期待していましたが、IP定格ではないため、プールや海などでの使用は気をつける必要がありそうです。

Spotify専用のボタンがついたよ

Image: Artem Golub - Gizmodo US

タッチコントロールもいいんですけど、個人的にはやっぱり物理ボタンがあるとグッときます。Major Vには、2つのボタンがついています。この2つのボタンだけで、直感的に操作できるのはうれしいポイントです。

ボタンの1つは、曲の再生、音量、電源のオン/オフができます。1回押すと再生と一時停止が切り替わり、片側に傾けると音量を上げ下げができ、長押しすると電源のオン/オフになります。多くのヘッドホンでは音量の操作が難しかったりしますが、Major Vは直感的に操作できるのがいいですね。

Mボタン
Image: Artem Golub - Gizmodo US

もう1つの「Mボタン」は、Spotifyのために搭載されたボタンです。起動、イコライザーなどプリセットへのアクセス、音声アシスタントの有効化の3つのアクションのいずれかにカスタマイズできます。

筆者は、Mボタンを押すとSpotifyが起動するように設定しました。この機能、Spotifyユーザーなら絶対便利だと思います。1回押すだけで、プレイリストの中から曲が再生されます。ボタンをもう1度押すと、プレイリスト内の別の曲や、ユーザーのリスニングアクティビティ基づいて選ばれた曲に切り替わるのが気に入りました。外出中にプレイリストを切り替えるのは面倒だったりしますからね。

驚くほど長いバッテリー寿命

Major Vは、1回のフル充電で100時間以上使うことができます。

実際に毎日の使用状況とバッテリーの減り具合を心の中でメモしながら試してみたのですが、約3週間、約40時間経過した時点でも、バッテリーは63%でまだまだ元気です。

通話をする際にもたくさん使いました。通話は再生時間よりも早くバッテリーを消耗するので、音楽の再生だけならもっと持つかもしれません。

なお、フル充電は3時間で完了します。ほとんどのヘッドホンの使用可能時間は、1回の充電で40〜60時間ほどですが、Major Vはなんせ100時間以上のバッテリー寿命ですからね。非常に魅力的です。

Image: Artem Golub - Gizmodo US

ワイヤレス充電もできるんです。急速充電モードなら、15分の充電で15時間の再生が可能です。他のヘッドホンではあまり見ない機能ですが、バッテリー節約機能も備わっています。

標準や最大などバッテリー節約のモードを選択でき、標準ならヘッドホンの最大充電は、バッテリーの過熱を防ぐために90%に制限されます。中モードでは充電速度リミッターが追加され、ゆっくりと安定したペースで充電が行なわれるようにします。最大では、この2つのモードの機能に加え、温度測定が追加されます。これにより、バッテリーを無駄に消耗させずに寿命を延ばすことができるそうです。

音質はちょっと期待外れだったけど

Major Vは中音域が最も強調されていて、バランスの取れたサウンドが特徴です。アプリでベースを効かせたプリセットを有効にしても、低音域はそれほど強調されていません。高音域は低音域よりも目立ちますが、他の音域ともかなり混ざって聴こえます。そこまでそれぞれの帯域が分離していないのかもしれません。アプリ内のEQ設定などいろいろ替えながら試してみましたが、中音域削減と中音域ブーストのプリセットを除けば、音が変わった感じはあまりしませんでした。

Major Vは40mmのドライバーと20Hz〜20kHzの周波数範囲を特徴に掲げていますが、正直これはほとんどのヘッドホンの標準的スペックといえるでしょう。ノイズキャンセリング機能はありませんが、イヤーカップクッションが非常に厚いので、十分ノイズは遮断できていると感じます。音量を20%ほどにすると、周囲の会話は完全に聴こえなくなるほどです。

マーシャルというブランドにもっと期待していたため、Major Vの音質にはがっかりしました。サウンドにはクリアさと個性が欠けていたかなあと…。浅くてチープな音に感じてしまいました。

一方で、Bluetooth Low Energy接続に対応しているのは高評価です。まだ使えないようですが、将来のファームウェアアップデートでAuracastにも対応するようになるそうです。この価格帯のヘッドホンでこの機能が使えるのは、Major Vくらいではないでしょうか。

また、これまでバッテリー交換などの修理はできませんでしたが、Major Vは認定修理センターにてバッテリー交換もできるとのこと。イヤーカップだけ買い替えることも可能です。

総評:お手ごろ価格のエントリーモデル

やはりマーシャルということで、高い音質を期待していましたが、そちらはやや期待外れでした。中価格帯でノイズキャンセリング機能と防塵・防水機能がないのも残念です。

一方で信じられないほど長いバッテリー寿命や、将来的にAuracast がサポートされることなど、他のヘッドホンには見られない魅力も多々。Spotify専用のボタンも非常にうれしかったです。これがマーシャル製だと知らなかったら、もっと高いスコアを付けていたかもしれません。やっぱりどうしてもその名前に期待を持ってしまいます。

オーディオマニアの人には少し物足りないかもしれませんが、エントリーレベルのヘッドホンを探していて、音質よりもバッテリー寿命を優先する人にはおすすめだと思います。

Marshall ワイヤレスオンイヤーヘッドホン Major V
22,980円
Amazonで見る
PR