とにかくきれいに撮れる。iPhone 15 Pro Maxで1年間撮り続けて感じたこと
iPhone 15 Pro Maxを購入して1年間、使い倒しました。
乗り換え前の旧世代といちばん差を感じたのがカメラでした。ホントにすごい。でも、けっこうストイック。iPhoneってもっと簡単じゃないっけ?と思いました。
どういうことか、順を追ってお話ししましょう。
あまりにも壮絶なカメラ性能
まず、体感で廉価なミラーレスカメラと同程度のクオリティの写真が“出せます”。
(出せる、というのは相応の技術や知識は要る、という意味で、詳しくは後述しますが、iPhone 15 Pro Maxの難儀なところです)
変わったと感じるのは、保存されている「深度情報」。編集を少しがんばれば、カメラで撮ったかのような立体感を引き出せます。
細部まできっちり描きこまれているのにも驚かされました。これはお世辞ではなく、手持ちのカメラと同程度に解像しており、夜間やお店の中など、カメラ全般が苦手とする光が少ない状況でもそれは変わりません。ヤバすぎる。
iPhone 15シリーズ内で唯一、iPhone 15 Pro Maxにだけ搭載された光学5倍ズームもかなりの描写力です。
いくらか離れた場所にあるものもくっきり。空気が澄んだ季節に撮ったからというのはありますが、ここまでクリアなのには驚かされました。
自分は今まで取材の撮影にはカメラを使っていましたが、iPhone 15 Pro Maxを購入して以降はほぼ使っていません。
それくらい強烈な性能の“カメラ”です。高画素なイメージセンサーとAppleの画像処理技術のかけあわせで実現されており、拡大したときにそれはモロに感じられます。
(ちなみに、そのイメージセンサーはソニー製と言われており、iPhone 15 Pro Maxで撮った写真を細かく見てるとソニーのカメラと似た描画傾向を感じることがあります。プラシーボなところもありそうですが、実はApple×ソニーでiPhoneのカメラが実現されてた、は個人的にはすごく好き。iPhone 16シリーズでSamsung(サムスン)製になっちゃうかもなんですが…)
カメラ並にするにはひと手間いる
注意していただきたいのが、「ここまでの写真は、Apple Pro RAW(普通に撮るより1枚1枚のファイルサイズが大きくなる代わりに、より再現性が高いファイル形式)で撮ったうえで、Adobeの現像ソフト Lightroomで現像・調整している」という点です。
ざっと見せると、こういうことを1枚1枚やっています。
そんなことしなくてもきれいだというのに
iPhone 15 Pro Max標準のカメラアプリ・写真編集機能だけでは満足できるクオリティには至らなかった、というわけではないんです。
ただ撮っても十分きれいです。実際、購入当初はiPhone任せに撮っただけで感動しました。何世代か前からの機種変だとめちゃくちゃ差を感じられます(毎年の進化の積み重ねが一気にくる)。
今年、Proに機種変を考えている方は、期待していいです。
やればやっただけきれいになる。だからやっちゃう
「RAWで撮って現像」って実はカメラでもやるものです。アマチュアでもやる人がいて、街中で見かける広告などのプロが撮った写真はほぼすべて現像されたもの。プロにとっては当たり前、最高を目指すならやる、そんな感じかと思います。
iPhone 15 Pro Maxのカメラは本当に「プロ志向」なのです。手をかけることを厭わなければ、クオリティをさらに引き上げられる。最大値がとにかく高い。手間をかけたらかけたで、それに相応しい感動が確かにあるんです。
そして、それがProならではの価値(無印iPhone 15との差別化ポイント)になっているので、やってしまう。やめられない。
Apple Pro RAWで撮れない無印iPhoneだと、上掲のような処理をすると変な感じになりやすいです。事実上、Proだからできる、という感じです。
値段も「いいカメラくらい」
そんなiPhone 15 Pro Maxですが、未だに気になっているのはその価格です。
「iPhone」として見ると本気で高かった。20万円を超えるiPhoneを買ったのは人生で初めて、抵抗感もかなりありました(買うときは値段を見ずにポチりました。見たら買えないと思ったので)。
長尺で動画を回すとストレージは一瞬で埋まります。高性能なカメラを使い倒すなら、最低一段階は盛って512GBモデルにしたほうがいい…というのも、高価格に拍車をかけています。
22万円だとソニーのフルサイズミラーレス「α7 C」が買えてしまいます。価格も本格的なカメラと並んだのです。
値段を気にしすぎて、おかしくなってたかもしれない
性能は素晴らしいが、値段もすごい。「最近のProなiPhone」で難儀なのがこれです。
生かそうとすると、なんだかストイックな感じになっちゃう。確かにiPhone 15 Pro Maxではカメラ並の写真を出せますが、これまで見てきたように勝手に出てくるわけではなかった。高すぎる性能を使いきるのに、相応のテクニックが要るという。
なんというか、これでいろいろ狂わされた1年だったような気がします。がんばって性能の限界を引き出さなくても十分なのに。別に何も困らないのに。でも、がんばり続けてしまった。
でも、そうしたいからiPhone 15 Pro Maxが欲しかったわけではないんです。きれいな写真が撮れるiPhoneが欲しかった。目に止まったのがiPhone 15 Pro Maxだった、それだけだというのに。
もし今、ProなiPhoneを欲しいと思ってしまったら、開き直ったほうがいいかもしれません。値段について真面目に考えると、なんか屈折しやすい気がします。
買ってまちがいないタイプの製品ではありますしね。バッテリーは長持ち、チップも高性能で、ゲームだろうが動画編集アプリだろうが、なんでもサクサク動きます。写真を撮って、編集するのも楽しいんですよ。本当にきれいに仕上げられるので。不満らしい不満は、ない。
iPhone 15 Pro Maxには、1年間、夢中にさせられるだけの深みがありました。ただ、それが万人向けとは、ちょっと思えないだけなのです。