オープニング作品としてワールドプレミアを飾る『十一人の賊軍』
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 10月28日から11月6日にかけて開催される第37回東京国際映画祭のオープニング作品が、山田孝之と仲野太賀がダブル主演し、白石和彌が監督を務める映画『十一人の賊軍』(11月1日公開)に決定した。また、クロージング作品は、今年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されたフレンチコメディー『マルチェロ・ミオ』が飾る。

 オープニング作品となる『十一人の賊軍』は、東映黄金期の礎を築いた脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した幻のプロットを、企画・プロデュース紀伊宗之、白石監督、脚本・池上純哉という映画『孤狼の血』チームが映画化した時代劇。江戸幕府から明治政府へと政権が移り変わる激動の時代を舞台に、戊辰戦争の最中、新発田(しばた)藩で繰り広げられた歴史的事件、奥羽越列藩同盟軍(=旧幕府軍)への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた11人の罪人たちが<決死隊>として、憎き藩のために命を懸けて砦を守る任に就く姿を描く。

 白石監督は、これについて「とても興奮しています。『十一人の賊軍』にとって最高のスタートを飾ることが出来ました。ありがとうございます。是非とも映画祭のスクリーンで最初の目撃者になってください。会場で皆さんにお会い出来ること楽しみにしています」とコメント。すでに北米やドイツ語圏での配給が決まっており、まさに世界に打って出る新たなジャパニーズ・エンターテインメント大作として、国際映画祭の開幕でワールドプレミアを飾るのに相応しい熱い作品となっている。

 クロージング作品の『マルチェロ・ミオ』は、今年の東京国際映画祭の審査委員の1人でもあるフランスの女優キアラ・マストロヤンニが、イタリアの映画俳優で実の父であるマルチェロ・マストロヤンニのようになってしまうという設定の異色コメディーで、同じく実の母であるフランス人女優カトリーヌ・ドヌーヴとの共演も話題となった作品。キアラとドヌーヴが共演した『愛のあしあと』(2011)でもメガホンを取ったクリストフ・オノレが監督を務めた。

 映画祭のプログラミング・ディレクターを務める市山尚三は、オープニング作品の『十一人の賊軍』について「かつて東映が得意としていた集団時代劇の伝統を引き継ぎ、アクション演出、美術セットなど、あらゆる点において今の日本映画の最高峰のプロダクションバリューを有する作品です。歴史の中で切り捨てられていった人々にスポットを当てたという意味でも重要だと思います。この作品を東京国際映画祭から世界に発信することを嬉しく思います」とコメント。

 また、クロージング作品の『マルチェロ・ミオ』については、「マルチェロ・マストロヤンニへのオマージュであると同時に、主演のキアラ・マストロヤンニを始め、多くのフランスの俳優たちが実名で登場し、スターたちの実像とフィクションの境界を曖昧にさせる実験性を持ったユニークな作品です。マルチェロ・マストロヤンニ生誕100年の今年の映画祭を締めくくるに相応しい作品です」としている。(高橋理久)

第37回東京国際映画祭は10月28日〜11月6日 日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区を会場に開催