AppleがWWDC24で発表したパーソナルAIの「Apple Intelligence」は、2024年夏からアメリカで試験的に利用できるようになると発表されましたが、リリースは遅れ続けているとBloombergが報じています。

Apple Event: Staggered AI Rollout and Same iPhone Design Means No ‘Super Cycle’ - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2024-09-08/apple-event-staggered-ai-rollout-and-same-iphone-design-means-no-super-cycle-m0tkgzqg



Apple's Image Playground and Genmoji features reportedly on track for iOS 18.2 beta - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2024/09/08/apple-intelligence-genmoji-release/

Apple Intelligence's imaging features delayed until iOS 18.2

https://appleinsider.com/articles/24/09/08/apple-intelligences-image-playground-genmoji-to-wait-until-ios-182

業界アナリストの中にはApple Intelligenceの登場によりiPhone 16の需要が急増し、年々需要が低下していたiPhoneの買い替え需要が加速することになるのではないかと期待する人もいます。しかし、Bloombergの記者であり、Apple関連のリーク情報でおなじみのマーク・ガーマン氏が、「Appleは待望のAI機能のさらなる発表延期を決定した」と報じました。

ガーマン氏によると、Apple Intelligenceはまだ完成しておらず、初期バージョンにはChatGPTのサポートなど多くの機能が欠けているそうです。また、Apple Intelligenceはイタリア・フランス・スペイン・スウェーデン・ドイツといったAppleにとって重要な市場で利用できないという問題も抱えています。

AppleがWWDC24で発表した「Apple Intelligence」や「iPhoneミラーリング」などは2024年内はEUでリリースされない - GIGAZINE



これに加えて、テクノロジー業界にとってAIは刺激的な新分野であるものの、消費者の大多数はAIに精通しておらず、Apple Intelligenceがなぜ必要なのかを理解していないだろうという指摘もあります。そのため、AppleがApple Intelligenceの利点を消費者に理解させるには、「それなりの時間が必要になる」とガーマン氏は予想しているわけです。

全てが順調に進んだとしてもApple Intelligenceの導入はゆっくりと段階的に行われることとなるため、iPhone 16が発売される時点ではApple IntelligenceはiPhoneでは利用できない模様。AppleはiOS 18.1でApple Intelligenceの一部機能をリリースする予定であり、これはAppleが公開しているiOS 18.1のベータ版からも明らかであるそうです。

iOS 18.1のベータ版ではApple Intelligenceの通知やウェブコンテンツを要約する機能、文章を改善する機能、画像から人物や物体を削除する機能、通話内容を自動で文字起こしする機能、メールアプリ内で重要なメールを優先する機能などが利用可能です。



一方で、Apple Intelligenceの画像生成機能である「Image Playground」や、入力されたテキストに従って絵文字を生成する「Genmoji」といった機能は、Appleが2024年12月にリリース予定のiOS 18.2までリリースされることはない模様。Apple IntelligenceおよびSiriでのChatGPTのサポートについても、「2024年後半まで行われない」とガーマン氏は指摘。ただし、ChatGPTのサポートについてAppleのティム・クックCEOは「2024年末までにiOSに統合される予定です」と発言しているため、iOS 18.2で利用できるようになるのではと9to5Macは予想しています。

Apple Intelligenceの機能リリースが段階的なものとなることに加えて、2025年にはAppleがiPhoneのラインナップに極薄のミドルレンジモデルを追加すると予想されているため、iPhoneの需要急増は2025年のiPhone 17リリース時に起こるのではとガーマン氏は予想していました。

2024年の「iPhone 16」はApple Intelligenceが最大のセールスポイントとなり、2025年の「iPhone 17」では極薄の新しいミドルレンジモデル「iPhone Air」が登場しラインナップが刷新されるとの報道 - GIGAZINE



ただし、2024年9月10日2時から開催予定のiPhone 16発表イベントの中で、Apple Intelligence関連の発表が大部分を占めることになることは間違いないだろうとガーマン氏は指摘しています。

なお、iPhone 16イベントで発表が予想されている内容は以下の記事にまとめられています。

Appleが9月10日に開催するiPhone 16イベントで予想される発表内容まとめ - GIGAZINE