保健所に収容された柴犬 職員が保護団体に託した幸せ探し いつもご機嫌な賢いあなたにご縁がありますように
2024年5月、とある事情で行き場を失ったメスの柴犬が静岡の保健所に収容されました。後に付けられた名前は「小鞠(こまり)ちゃん」。クリッとした目がかわいらしいベッピンさんです。
保健所の職員さんは、地元の保護団体、スリール〜犬達の幸せ探し〜(以下、スリール)に保護を相談しました。スリールのメンバーは快く引き出すことにしましたが、一つ心配なことがありました。
それは「小鞠ちゃんが噛む子ではないか」ということ。
初対面の人にも尻尾をブンブンのお利口さん
メンバーは経験上、柴の保護犬は心に深い傷を負っている子が多く、知らない人間を前にして強い警戒心を抱いたり不信感を抱くなどし「噛む子が多い」と考えていました。職員さんに尋ねたところ、「今のところ噛むような素ぶりはなく、基本的には人間が大好きな良い子ですよ」とのこと。
懸念は全くの杞憂でした。メンバーに会うなり小鞠ちゃんはうれしくて尻尾をブンブン。笑顔を浮かべ、噛むような素ぶりを見せないばかりか、職員さんに抱っこされても怒ることはありません。
「すごいお利口さん。こんなに良い子なら、すぐに新しいお家も見つかるだろう」と、提携する預かりボランティアさんにお世話を託しつつ、新しいお家探しを始めることにしました。
他のワンコにはガウガウッ! 好戦的な気の強い一面も
預かりボランティアさんにもすぐに懐き、目が合えば「なでてください」とトコトコと寄ってきては体をすり寄せてくる小鞠ちゃん。なんの問題もない性格良好のワンコのように見えましたが、唯一の問題が見つかりました。それは「人間は好きだけど、他のワンコと接するのが超苦手」ということ。
小鞠ちゃんがエサを食べている際に、他のワンコが悪気なく近寄ってくると、いきなりガウッ。さらに他のワンコが小鞠ちゃんに喧嘩を仕掛けた際には、「やってやろうじゃないの!」とばかりにすぐ応戦してガウガウガウッ。
ケンカは一気にヒートアップし、相手に牙を剥き噛み付いていくほどで「自分を守ろうと立ち向かってしまう」一面もありました。
経験を重ねれば他のワンコとも触れ合えるようになるはず
しかし、預かりボランティアさんが小鞠ちゃんを叱ると、すぐにピタッと喧嘩を止める従順さもあります。他のワンコとのコミュニケーションは経験を重ねていくことで解消されるようにも映ります。
小鞠ちゃんはスリールの譲渡会などでは早くも人気者。来場者に甘え、みんなを笑顔にしくれています。
小鞠ちゃんの全てを受け入れてくれて、さらなる成長をともに歩んでくれる「ずっとの家族」が見つかりますように。
(まいどなニュース特約・松田 義人)