Nothing (2a) Plusは、すばらしい低価格帯スマホ。1点を除いて…
動作良い、画面も写真もキレイ、デザインも可愛いのに…!
Nothingから、廉価スマホの最新版・Nothing (2a) Plusが発売されました(日本ではまだ)。先代Nothing Phone (2a)はコスパの高さで好評ですが、399ドル(約5万7000円)はどうなんでしょうか? 米GizmodoのDua Rashid記者がしばらく使ってレビューしてますので、以下どうぞ!
Nothing Phone (2a) が3月にリリースされたばかりなので、その後継となるNothing Phone (2a) Plusが7月に発表されたのはちょっとしたサプライズでした。短期間にもかかわらずアップデートもしっかりしていて、Media Tekプロセッサーやカメラの進化などもあります。お値段は50ドルアップしましたが、それでも399ドル(約5万7000円)と、引き続き低価格帯にいてくれてます。
ただし買うためにはいくつかハードルがあります。まずベータプログラムに登録して、順番が来るのを待たなきゃいけません(訳注:米国の場合)。ここで脱落してしまう人もいるかもしれませんが、待つ価値は十分にあります。唯一問題があるとしたら、指紋スキャナーの精度には不満が残るかもしれません。
Nothing (2a) Plus
これは何?:Nothingの最新お手頃スマホ。
価格:399ドル(約5万7000円)。
好きなところ:操作がシンプルで直感的、デザインが特徴的で頑丈な作り、背面ライトがユニーク、ディスプレイが精細で色も良い、プロセッサ効率高い、RAMは拡張可能、バッテリーも長持ち。
好きじゃないところ:指紋リーダーが機能しない、(米国では)買うのが面倒、カメラでズームインするには1200万画素に下げないといけない。
主張のあるデザイン、待ってた
Nothing (2a) Plusは好き嫌いが分かれるデザインですが、私は気に入りました。最近のスマホってどれもほとんど同じで、2000年代のガラケーの、主張するデザインが懐かしくなってます。
筐体は透明で、内部のパーツまではっきり見えています。ネジやリボンケーブル、NFCのコイルも確認できます。ふたつのカメラレンズが背面に横に並んでるのも、ブタの鼻みたいで可愛いです。そしてレンズを囲むように配された線状のライト、グリフインターフェースが、Nothing (2a) Plusのデザインのポイントだと思います。
Moto Razr+のファンキーな色が楽しかったように、Nothingが普通じゃないアプローチを取ってるのがうれしいです。しかも400ドルなのに遊んでるのが良いと思うし、作りもしっかりしていて、全然安っぽく見えないです。ボタン類(右側の電源ボタンと、左側の音量ボタン)もクリック感があり、気持ちいいです。
それに190gとごく軽くて、188gのPixel 8aとわずかな差です。ただし防塵防水性能はIP54と、Pixel 8aのIP67に比べると心もとないです。
グリフは機能より見た目
Nothing (2a) Plusでは、ユーザーの設定に基づいて背面の3つのグリフライトが光ります。大事な連絡先をピックアップして、それぞれにグリフのパターンを割り当て、光り方で誰からの電話かわかるようにしたりもできます。Essential Notificationオプションを設定すると、大事な通知に関してはグリフのパターンが点灯したままになって、見逃しを予防できます。
Music Visualization機能をオンにすると、その名の通り、音楽に合わせてグリフライトを光らせることができます。いろんなアプリの中で、グリフを進捗度のバーとして使うこともできます。たとえば音量インディケーターを有効にすると、音量を上げたときに光の線が伸びる、といった感じです。Uber Eatsみたいなアプリと連携させて、オーダーしたものの進行状況を光のバーの伸び具合で見られます。
Nothing (2a) Plusはグリフがなくても全く問題ありませんが、グリフがあるからこそ特別な1台になります。ユニークなスマホが圧倒的に不足するこの時代にあって、Nothing (2a) Plusのグリフは本当に楽しめました。機能的には全然重要じゃないんですが、体験全体を底上げしてくれました。
指紋リーダーには困惑
Nothing (2a) Plusの指紋リーダーは、私の右親指が気に入らなかったみたいで、読み取りに完全に失敗してました。一旦指紋データを削除して登録し直そうとしたんですが、それでも解決できませんでした。アンロックしようとするたびに5回くらい指紋を試し、結局認識してもらえず、しかたなくパスコードを入力してました。
でもなぜか、左の親指はちゃんと認識されてました。ソフトウェアアップデートに望みをかけていましたが、効果なしでした。この問題についてNothingにコメントを求めていますが、記事執筆時点でまだ回答はありません。
でも一旦アンロックしてからの操作は、ナビゲーションがiOSと似てるのですぐに慣れました。ホームに戻るには上スワイプ、右から左スワイプで戻る、上スワイプからの右スワイプでバックグラウンドで開いているアプリを確認、などなど。むしろNothing (2a) Plusのほうがスワイプに対して触覚フィードバックがあるので気持ち良いです。Androidを使い慣れてる人は、通常のAndroidの3ボタンナビゲーションに切り替えるのも可能です。
電源ボタンはカスタマイズ可能で、ダブルクリックからいくつかのアクションを呼び出すように設定できます。私はカメラアプリの立ち上げを割り当てました。Moto Razr+と違い、マルチタスキング機能はNothing (2a) Plusではもっとシンプルでした。Moto Razr+だと画面を2回スワイプで、ミスタップが起こりやすいんですが、Nothing (2a) Plusではウィンドウを長押しして画面の上のほうにドラッグします。すると小さなボックスが出てくるので、その後は画面のボックス以外の部分で別のタスクができます。
ただスクリーンショットを撮るジェスチャーは、あんまり直感的じゃないです。画面の上半分に3本指をあてて、一瞬後に下スワイプ、です。ムダに複雑だし、撮り損ないもあれば、意図せず撮れてしまうこともありそうです。
バッテリー持ちがすごい
Nothing (2a) Plusの6.7インチのAMOLEDディスプレイは、リッチで鮮やかな色を見せてくれます。解像度は2,412 x 1,084で十分にクリア、輝度は1,300ニトで明るいライティングの下でも使えます。このレビュー執筆中かなりの時間、大きく明るい窓の近くで過ごしてましたが、そのときの画面輝度は20%で大丈夫でした。カメラレビュー用の写真は、編集部に向かう途中のマディソン・スクエア・ガーデンで撮りましたが、明るい日光の下でビューファインダーを見るのも問題ありませんでした。
画面リフレッシュレートは30〜120Hzで、設定で「ダイナミック」「ハイ」「スタンダード」から選べます。私はたいていの場合「ダイナミック」に設定してました。「ハイ」だとバッテリーをガンガン消費し、「スタンダード」だと画面の動きが多少カクカクするかもしれません。
Nothing (2a) PlusのRAMは12GB、ストレージは256GB、OSはAndroid 14、プロセッサーはMedia Tek 7350 Proで最大クロック周波数3GHzです。12GBのRAMは私の使い方では十分でしたが、最大8GB追加可能なのがさらに安心です。プロセッサーもしっかり動いていて、アプリをいろいろ使っていても引っかかったり遅れたりはしませんでした。
Geekbench 6.0でのベンチマークスコアは、シングルコアが1198、マルチコアが2624でした。Nothing (2a) Plusより数万円高いSamsung Galaxy S23FEはシングルコア1690にマルチコア4025なので、まあまあ差があると言っていいでしょう。ただMedia Tekのチップでは、Geekbenchの結果が低く出るのが普通です。普通に使っている限り、事務的な使い方でもエンタメでも、Nothing (2a) Plusのパフォーマンスに不満が出ることはなさそうです。
最近のスマホだとバッテリー容量は4000mAh前後以下が多いですが、Nothing (2a) Plusは5000mAhあります。私は3時間のYouTube動画を480pで、画面輝度20%で見てみましたが、フル充電の状態で見始めて、終わった時点でも71%残っていました。なので充電ゼロになるまでは、ざっくり10時間といったところです。屋内や夜では画面輝度はもっと低くしてることも多いので、実際11時間かそれ以上持つかもしれません。
ナイトモードが素晴らしい
マディソン・スクエア・ガーデンでNothing (2a) Plusのふたつの5000万画素カメラを使ってみたところ、その撮れ具合に驚きました。色はグレーにも、ムダに明るくもならず、十分鮮やかな写真が撮れるし、夜でもきれいに撮れました。私は5000万画素で(1200万画素でも撮れます)ナイトモードをオンにして撮ったんですが、全ノイズをしっかり消してくれます。夜の撮影でも、かなりズームインしない限りぼやけませんでした。写真のひとつには多少レンズグレアがありましたが、それでも全く使えない写真にはなりませんでした。
Motion Photoモードを試すのがすごく楽しみだったんですが、それは私が「Motion Photo」とはモーションショット、つまり動く被写体の軌跡を捉える写真だと勘違いしたからでした。実際のこの機能は、iOSのライブフォトみたいなものです。
カメラアプリではNaturalモードとVividモードを選べるんですが、実際ほとんど違いがありません。Vividモードが鮮やか過ぎないのは良いことでもあると思いますが、もう少しNaturalとの違いがあったほうがベターだったと思います。米Gizmodoのフォトグラファー・Artemは、Vividモードだと雲が少し青く見えると言ってましたが、違いはそれくらいです。
Nothing (2a) Plusのカメラで唯一イラっとしたのは、5000万画素で撮っているとズームインできないことです。1200万画素に落とさないと、10倍(240mm)にズームイン、または0.6倍(14mm)にズームアウトもできません。5000万画素だと最大が1倍です。1200万画素にしない限りズームインできないのに「5000万画素」を謳うのはダメじゃないでしょうか。
買うべき?
Nothing (2a) Plusは、いろいろな面で高すぎるほどのパフォーマンスです。RAMはそれ自体十分な12MBで、さらに追加もできるし、バッテリーは5000mAhと、一般的な4000mAhより大きいです。デザインは透明筐体だけで十分ユニークですが、光るグリフにさらなる主張を感じます。Androidの標準の操作に加え、iOS風ジェスチャーも使えます。カメラは暗い場所でも素晴らしく、多くのお手頃スマホとは一線を画します。
ただ、ここまで良いことづくめでも、指紋スキャナーの問題は見過ごせません。これさえなければ素晴らしいスマホだったのに、どうやっても指紋に反応しないってことで、全体の評価も下げざるをえません。
画面アンロックには左手親指しか使わない人、または数字入力でいい人には、この問題は無視できると思います。ただそういう人はかなり限られると思われるので、総合するとNothing (2a) Plus、積極的にお勧めはできないんです。