SEを早期退職後、交通警備員に。先輩や隊長から怒鳴られる日々――仰天ニュース傑作選
過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2021年12月13日 記事は取材時の状況) * * *
日本経済の影響もあり、「早期退職者」を募集する会社が目立つ一方、高年齢者雇用安定法の改正で「70歳定年」が叫ばれるようにもなっている。中年サラリーマンにとっては、いったい何歳まで今の会社に残れるのか不安は募るばかりだ。
年齢を重ねれば当然、肉体や精神にもガタがくる……。
ストレスによる体調不良から早期退職せざるをえなかった松岡達成さん(仮名・50代)。デスクワークから一転、交通警備員として働き始めた。その悪戦苦闘を紹介したい。
◆体調不良で早期退職、駐車場経営で稼ぐつもりが…
システムエンジニアとして働いていた松岡さんは、突如ストレスからくる不調に悩まされ、休業せざるをえなくなった。1年の休養を経て職場復帰したものの、体調は回復せず早期退職することになってしまったという。
「幸い私は88坪の土地を持っていたので、家を小さく建て替え、余った土地を賃貸駐車場にして生計を得る計画を立てました」
退職しても順調に収入は得られるだろうと考えていた松岡さん。しかし思いもよらない誤算が生じてしまう。
◆選択肢は警備員か清掃員
「賃貸駐車場を作って定常的な利益を得るには、2年余りが必要ということが分かったんです。その間は当然無収入ですので、働かなければなりません」
早速ハローワークに行くと、50代の求人の多くは警備員か清掃員だった。
「背に腹はかえられません。私は警備会社に応募し契約社員の交通警備員として採用されたんです」
大型ショッピングセンターに配属された松岡さん。交通警備員の仕事は予想以上に過酷だったそうで……。
◆予想以上に過酷な仕事
「配属先は交通隊で、そこの上司のことを隊長と呼びます。つまり、その日から私は隊員となったわけです。新入隊員はまず、1週間の研修を受けるのですが、その期間が特に大変でした」
配属先での交通誘導は、とにかく「大きな声」を出さなければならない。松岡さんは1日で喉がガラガラになったと話す。そして、先輩や隊長から怒鳴られる日々が続いた。
「言い訳じみたことを言うと『生意気なことを言うんじゃねぇ、俺の言った通りやりゃあいいんだよ』と言われる始末。無線を持たされるのですが、その無線越しに『おい新人、真面目にやれ! クビにするぞ!』と罵声を浴びます」
◆現在は安定「ラッキーだった」
松岡さんはなんとか耐えた。そして、3か月ほどが経った頃、ようやく一人前扱いで話してくれるようになったという。隊長とも普通の会話ができるようになったそうだ。
「隊長からは『俺の現場なんて可愛いもんなんだよ』って言われました。どうやら私が配属された現場は気の荒い人も少なくて、ラッキーだったみたいです」
交通警備員の仕事は外で行うため、突然の雨で全身ずぶ濡れになっても仕事を止めることはできない。夏の熱さ、冬の寒さに苦しんだと松岡さんは振り返る。
現在、松岡さんは賃貸駐車場の収入で安定した生活を送っている。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
日本経済の影響もあり、「早期退職者」を募集する会社が目立つ一方、高年齢者雇用安定法の改正で「70歳定年」が叫ばれるようにもなっている。中年サラリーマンにとっては、いったい何歳まで今の会社に残れるのか不安は募るばかりだ。
年齢を重ねれば当然、肉体や精神にもガタがくる……。
◆体調不良で早期退職、駐車場経営で稼ぐつもりが…
システムエンジニアとして働いていた松岡さんは、突如ストレスからくる不調に悩まされ、休業せざるをえなくなった。1年の休養を経て職場復帰したものの、体調は回復せず早期退職することになってしまったという。
「幸い私は88坪の土地を持っていたので、家を小さく建て替え、余った土地を賃貸駐車場にして生計を得る計画を立てました」
退職しても順調に収入は得られるだろうと考えていた松岡さん。しかし思いもよらない誤算が生じてしまう。
◆選択肢は警備員か清掃員
「賃貸駐車場を作って定常的な利益を得るには、2年余りが必要ということが分かったんです。その間は当然無収入ですので、働かなければなりません」
早速ハローワークに行くと、50代の求人の多くは警備員か清掃員だった。
「背に腹はかえられません。私は警備会社に応募し契約社員の交通警備員として採用されたんです」
大型ショッピングセンターに配属された松岡さん。交通警備員の仕事は予想以上に過酷だったそうで……。
◆予想以上に過酷な仕事
「配属先は交通隊で、そこの上司のことを隊長と呼びます。つまり、その日から私は隊員となったわけです。新入隊員はまず、1週間の研修を受けるのですが、その期間が特に大変でした」
配属先での交通誘導は、とにかく「大きな声」を出さなければならない。松岡さんは1日で喉がガラガラになったと話す。そして、先輩や隊長から怒鳴られる日々が続いた。
「言い訳じみたことを言うと『生意気なことを言うんじゃねぇ、俺の言った通りやりゃあいいんだよ』と言われる始末。無線を持たされるのですが、その無線越しに『おい新人、真面目にやれ! クビにするぞ!』と罵声を浴びます」
◆現在は安定「ラッキーだった」
松岡さんはなんとか耐えた。そして、3か月ほどが経った頃、ようやく一人前扱いで話してくれるようになったという。隊長とも普通の会話ができるようになったそうだ。
「隊長からは『俺の現場なんて可愛いもんなんだよ』って言われました。どうやら私が配属された現場は気の荒い人も少なくて、ラッキーだったみたいです」
交通警備員の仕事は外で行うため、突然の雨で全身ずぶ濡れになっても仕事を止めることはできない。夏の熱さ、冬の寒さに苦しんだと松岡さんは振り返る。
現在、松岡さんは賃貸駐車場の収入で安定した生活を送っている。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。