なんと自宅が黒焦げに――涼しい「ファン付きウェア」が大爆発! 「被害者が語る恐怖」

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「ファン付きウェアのバッテリーが充電中に爆発したんです。家の2階部分が黒焦げになり、家具や家電類がほとんど燃えた。大切にしていた貴金属類も黒くなるなど大きな被害が出ました」

リチウムイオン電池で駆動(くどう)するファンが内蔵されたウェア。真夏の工事現場などで働く作業員に欠かせない冷却アイテムだが、思わぬトラブルが発生している。埼玉県入間郡に住む現場作業員、A氏(30)の自宅が燃えたのは7月下旬だった。被害にあったA氏が振り返る。

中国のX社が販売する、ファン付きウェアをネットショップで購入したのは7月中旬です。値段は約1万円でした。使い始めた初日は何事もありませんでしたが、2日目に異変が起きます。突然ファンが動かなくなったんです。バッテリーが切れたのかと考え、帰宅して充電ケーブルにつないで買い物に出かけました。充電開始から1時間半ほど経った頃でしょうか。自宅にいた親から『家が燃えている』と電話があって……」

火の手はあっという間に部屋を焼き尽くし、下写真のような惨状となった。

「私の部屋だけでなく、2階のほぼすべてと階段が黒焦げになりました。3匹の飼い猫のうち1匹は一酸化炭素中毒で亡くなり、もう1匹は舌を出して目が白くなるなど瀕死の状態でした」(A氏)

出火原因は消防が調査中だが、リチウムイオン電池は過充電などから異常発熱して発火することがわかっている。商品を販売した中国メーカーのX社に尋(たず)ねると「消防に協力して原因を調査中のため、回答できません。当社の製品が原因であれば損害を補償します」との返答だった。

東京消防庁によると、リチウムイオン電池搭載の製品による火災はこの10年間で19件から167件に増加。ファン付きウェアを初めて販売した日本メーカー『空調服』に勤務する社員が語る。

「国産のファン付きウェアは、シールドがしっかり設計されています。電気用品安全法適合性検査に合格したマークがあるものしか、基本的に販売できません。弊社製品には過充電の安全回路が入っているため発火の事例はない。中国製の製品は、対応が甘かったのではないでしょうか。異臭、発熱、変形、異音などを感じたら、すぐに使用を中止してください」

ファン付きウェア購入前に、検査の合格マークがあるかなど、信頼できる製品か確認する必要がありそうだ。

『FRIDAY』2024年9月6・13日合併号より

取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)