5日の北中米W杯アジア最終予選で中国代表と対戦する日本代表が4日、試合会場の埼玉スタジアム2002で公式会見を行った。森保一監督とMF遠藤航(リバプール)が出席した。

以下、森保一監督、遠藤航の会見要旨

●MF遠藤航

「いよいよ最終予選が始まるということで非常に楽しみにしている。選手としては今できる環境で最大限、最高の準備をみんなでしてきているので、明日の初戦、チーム一丸となってしっかり勝てるように頑張っていきたい」

●森保一監督

「明日から北中米W杯に向けてのアジア最終予選が始まるが、まずはアジア予選、確実に突破できるように一戦一戦最善の準備をして全力を尽くしたい。高い、大きな目標を持ちつつも、目の前の一戦一戦に最高の準備をして戦っていきたい。勝利を目指して今日できること、試合前にできることをやっていきたい。サポーターの皆さん、応援してくださっている国民の皆さん、応援と共闘をしていただければ幸いです」

―前回の最終予選初戦はチームとして悔しい結果になったが、その経験を踏まえてどのようなアプローチをしていきたいか。

遠藤「前回大会の最終予選の結果は経験した選手たちはみんな覚えているし、アジア杯の悔しさも含め、簡単ではないということはみんな身に染みてわかっているところ。とにかく先は長い戦いになるが、一戦必勝、まずはこの次の中国戦に最大限の力を発揮することが大事。前回大会どうこうというネガティブなことをあまり意識しすぎず、ポジティブにみんないい準備をしているので、エネルギーをシンプルに試合で出していければおのずと結果はついてくる。厳しい戦いになるのはみんなわかっているが、自分たちに力があるという自信を持って、楽しみながらしっかりと勝利を掴み取れればと思う」

―三笘、伊東がアジア杯以来の招集となったが、どのような起用を考えているか。

森保監督「そこは試合を見て楽しんでいただければ。ただ2人とも日本代表にとって大きな武器だということは間違いなく言える。出場した時間の中で最大限、自分の武器を発揮してもらい、まずは得点に絡んでもらうことを期待している。2人とも献身的に攻撃も守備もチームのためにハードワークできる選手。厳しい戦いの中、全員攻守でハードワークして戦うところでチームを引っ張ってもらえるよう期待している」

―前回の敗戦を教訓にして共有できる準備をしてきたと話していたが、どのようなことが重要だったか。

森保監督「まずは中国は非常に力を持ったチームなので、相手の分析から来る我々がどう攻撃をしたらいいか、守備をどうしたらいいかを全体的に共有し、チーム戦術を共有する、個々の役割をできるだけ明確にしていくことを試合に向けてやっていかないといけない。相手のことをもちろんリスペクトして戦わなければいけないが、我々が一人一人コンディションを上げていき、しっかりと最大限のパフォーマンスをできるように準備していかなければいけないと思っている」

―中国のどういった点を一番警戒しているか。

遠藤「相手は日本のことをよく分析している監督で、前回と同じ戦い方で来るかというよりは、中国代表の選手の良さを出しながらサッカーをしてくる印象を受けている。おそらく自分たちがボールを持つ時間は長くなると予想しているので、リスクマネジメントとカウンター対策をやっていかないといけない。あとは質の高い選手がいて、セットプレーも良い準備をしている印象を受けているので、そこの対応は引き続き一つ一つ、ゴールキックも含め、しっかりとした準備をしていかないといけないと思う」

―今年の夏、イングランドに移籍する日本人が急激に増えたが、その理由は何だと思うか。日本サッカー界にどのようなメリットがあるか。

遠藤「おそらくイングランドに移籍した日本人選手たちの評価が少しずつ上がってきていると思うので、日本人選手への興味がいま世界中からすごく向いていると思う。僕もリバプールのスタッフといろんな日本人の話をしている。移籍の話ではなく、いい選手だねと形で。日本人選手に世界中から興味を持たれている印象があるし、それはすごく日本サッカーにとってはいいことだと思う。またプレミアリーグではなく、チャンピオンシップに移籍する選手もいるが、日本サッカーが発展していくためには若いうちから海外のサッカーを経験できるのは素晴らしい機会。その経験で揉まれて代表に来たり、海外で力をつけるのは素晴らしいことだと思う」

森保監督「メリットとしては世界の競争力の中で激しく厳しく、自分のポジションを掴み取っていく、日本の価値観を持ちながら世界の価値観を知って、そこで選手として成長していくところだと思う。サッカー、生活含めて成長するために選手たちはチャレンジしていると思うし、個の強さ、たくましさをさらに海外でのチャレンジで身につけていくことができることをメリットとして思っている。選手たちの目標はもちろん国内にもJリーグという素晴らしい場がある中、世界の価値観、世界の競争力の中で自分たちが成長したいというところがあると思う。ヨーロッパのトップリーグ、5大リーグ、さらにプレミアリーグという世界の中でもトップトップの選手が集まるリーグを目指す中で、イングランド2部で次へのステップアップも考えて、チャンピオンシップに移籍するケースが多いのかなと考えている」

―長谷部誠コーチが2日間指導しているが、どのような印象を受けているか。また選手にかけた言葉は。

森保監督「(言い間違いで)えー、遠藤……。遠藤コーチじゃないですね(笑)。長谷部コーチにこの2日間、チーム活動に帯同してもらっている中、彼の存在感は大きいなということを感じている。誰もが彼がこれまでやってきた経験をわかっている上で、我々スタッフにも選手にも自然体で接してくれて、まずは彼自身がチームの一員になるということをチャレンジしてくれていると思う。自分が持っているものをプレーも一緒にしてくれているし、スタッフにも選手にも話しかけてくれることで、より試合に向けての良い準備と、日本サッカーのレベルアップのために今できることを最大限やってくれていると思う。選手にかけた言葉では自己紹介をしてもらったが、『日本サッカーは世界一を目指して戦っている」その中で自分がやってきたことをチームのために還元すること、チームのために全力を尽くしたい』ということを話してくれた」

遠藤「選手の立場はみんなウェルカム。あれだけの経験、キャリアのある選手だった方がこうして協会に入ってくれるのは、僕は長谷部さんのことをわかっているけど、特に一緒にやっていない若い選手は多くの刺激を受けながら代表活動をしていると思う。先ほどイングランドの話もしたが、海外に活躍してきた選手たちがこうしてまた日本サッカー界に貢献することも日本サッカーにとってすごく重要なことだと思う。そういった決断を長谷部さんがしてくれたのは間違いなく日本サッカーにとってポジティブだと思う。長谷部さんのいろんな経験を聞きながら最終予選に挑めるのは間違いなくメリットしかない。それは最終予選だけでなく、W杯もそうだし、ドイツのキャリアのことも含めていろいろと吸収しながら、ピッチ上に還元したり、選手のキャリアに還元していくことをやっていければ素晴らしいと思う」

―3年前の最終予選初戦からいろいろなものを経て今に至るが、3年前のチームと比べてどこに手応えがあるか。どこに成長を感じているか。

遠藤「その時、僕は日本サッカーがこれからチームとして成長していくためには、個の成長が必要だということを話していたと覚えているが、そこが一番チームの成長が見える部分だと思う。個人個人が切磋琢磨していきながら、海外で成長を重ねて、ステップアップした選手もいれば、同じ地で高いパフォーマンスを見せ続けている選手もいる。今のチームの最大の強みがそこにあるのは間違いない。日本人のフォア・ザ・チームの精神、チームでプレーするという部分は間違いなく全員が持っているので、まずは個の成長が強みになっていると思う」

森保監督「キャプテンが全部言ってくれました(笑)。まずはチームが強くなるために、そして日本のサッカーが強くなるためには個の成長というのは絶対的に欠かせない。その中で選手たちがこの代表にいるメンバーだけでなく、国内外でプレーしている選手たちが大きなチャレンジをしてくれて、個の成長をしてもらっているので、チーム力も上がってきていると思う。3年前と今の違いは間違いなく個の成長というところにあると思う。選手たちが世界と戦っている中で、我々スタッフも成長させてもらっていると思うし、その中で選手とやり取りしながら日本のサッカーの積み上げをしてこられているという過去との違いがある。過去から現在、そして未来に向けて、日本サッカーに携わっている方々が常に日本代表の勝利と、日本サッカーの発展というところ、特に日本サッカーの発展を描きながら携わってくださっていると思う。過去から日々、そして毎シーズン毎シーズン、日本サッカーはレベルアップしていると思っている」

(取材・文 竹内達也)