日立製作所は、9月4日、5日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで、日立グループ最大規模のイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN」を開催している。

東京国際フォーラムで開催されている「Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN」

26回目となる今年のイベントでは、「未来を語ろう。ともに進もう。GOODな社会をめざして。」をメッセージとし、様々な業界の現場を支えるフロントラインワーカーをデータとテクノロジーで支える取り組みや、生成AI時代のニーズに応えるソリューション、Society 5.0の実現に向けた市民参加型の社会づくりなど、新たな価値創造に向けた日立の取り組みを幅広く紹介する内容になっている。

また、開催初日には、日立が目指す現場のイノベーションについて、日立製作所の小島啓二社長兼CEOが基調講演に登壇。さらに、顧客やパートナー、有識者による各種セッションなど、100以上のプログラムを用意した。

本レポートでは、展示会場の様子を伝える。

Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPANの展示会場は、東京国際フォーラムの地下1階を使用。昨年の3倍の広さに拡張している。

「脱炭素・資源循環」、「安心安全でレジリエントな社会インフラ」、「生産性向上・フロントラインワーカーの革新」、「一人ひとりが快適で活躍できる社会」、「デジタルによるイノベーション創出」の5つのテーマで、日立のビジョンや将来像、ソリューションを展示。日立が描く未来の現場のイノベーションを映像で紹介する「未来シアター」のほか、各種体験型コンテンツを用意しているのが特徴だ。

会場を入ると「未来シアター」がある

「未来シアター」では、日立が描く未来の現場のイノベーションを約7分の映像で紹介

「デジタルによるイノベーション創出」のエリア

フロントラインワーカーの作業判断を支援するAIアシスタント技術の紹介コーナー。壁面だけでなく、床にも画像が表示されるブースづくりとなっている

屋内定期検査における作業をAIが確認。カメラの映像をもとにAIと会話しながら作業を進める。手順が間違った場合にはすぐにAIが指摘する

作業着にセンサーをつけて作業をすることで、カメラの死角に入った場合なども動きを理解し、作業に正しくない動きなどを指摘する

AI Assistantとの会話の様子。現場作業をAIがサポートし、1人で作業できるため省人化にもつながる

AIが音を聞きわけて、トラブルの原因を発見。熟練者でしか聞きわけられないような音も理解し、作業をサポートする

フロントラインワーカーの業務を革新するAIロボット研究の展示。人の動作を模倣することで、動作を生成AIが学習し、ロボットが自律動作する。換気用が厳しい現場での作業などにも利用できる

手前のアームを動かすと、先にあるロボットのアームが動く。二人羽織のようだ。アーム部は9つの関節があり、人よりも多いため、柔らかな動きができる

量子コンピュータの冷却器の模型を展示。日立ではシリコン量子コンピュータに取り組んでいる

日立デザイン細胞開発プラットフォーム。細胞医薬品の創薬と製造のコストを大幅に低減する

サーキュラーエコノミーに向けた取り組み。クリーナーの本体には再生プラスチックを利用している

「脱炭素・資源循環」のエリア

2050年にカーボンニュートラルを目指す日立のエネルギーシステムを模型展示

国内送配電事業者および鉄道事業者向けフルデジタル変電所システムの展示

現場キュービクル(MU)と呼ばれる装置を展示

フルデジタル変電所システムは、光デジタル通信の活用によって、ネットワーク装置から現場ユニットまでを光ケーブルで送ることが可能になる

HVDC変換所向けデジタルソリューションにより、設計や建設の改革を支援

VRを活用してHVDC変換所のなかを歩くことができる

VRに表示されている映像の様子。壁を突き抜けたりといったことも可能だ

新型原子炉のコーナーでは、小型軽水炉「BWRX-300」の模型を展示。初期投資リスク低減、長期的な安定電源、放射能有害度低減を実現するという

VRゴーグルを使用して、BWRX-300内部のバーチャルツアーが体験できた

現場拡張型メタバース。現場を丸ごとデジタルツイン化して、プラントに関連するデータを現場の位置やモノに紐づけて一元管理する

「安心安全でレジリエントな社会インフラ」のエリア

EV・バッテリー活用によるカーボンニュートラル&サーキュラーエコノミーへの取り組みを一堂に展示

Hybrid-PCS。通常はEVの充電に利用しているが、停電時には200V/10kVAで供給し、エレベータや給排水ポンプ、ビル空調などに利用できる

リチウムイオン電池のリユースの提案も行っている。EVからバッテリーを回収して、再利用するプラットフォームを構築。データを活用して、ライフサイクルマネジメントも行う

3次元データ計測システムのSEAMSを展示。日立グループでは、地中可視化サービスや、点検業務支援システムのGeoMationなどにより、地上や地下のインフラ設備をデジタルで見える化する

ショートプレゼンテーションステージでは、サプライチェーンを支える日立の各種ソリューションを紹介

「生産性向上・フロントラインワーカーの革新」のエリア

3Dビジョンを活用したバラ積みピッキングのデモストレーション。人手でバラばら積みされた荷物を正確に持ち上げる

次世代ロジスティクスの展示。小型無人搬送ロボット「Racrew」を活用するとともに、マルチアクセスピッキングを実現する設備制御最適化エンジン「LogiRiSM」で制御する

天井のプロジェクターからピッキングする棚をプロジェクションマッピングで色と文字で表示。「N3」は、次(NEXT)に3個ピッキングするという指示だ

高精度無軌道AGV/AMRの開発を支援する「ICHIDAS Laser」

金融DX/GXのコーナー。4つのDX/GXソリューションを展示していた

日立のエレベータ「アーバンエース HF」。プロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインした

エレベータ内に後付けで設置できる情報メディアディスプレイ。広告モデルで提供するため設置費用は無料だという

ビルIoTソリューション「BuilMirai(ビルミライ)」は、中小規模ビル向けソリューションを今回のイベントで初公開した。

BuilMiraiの新サービスのひとつが、アプリを利用したマンションのセキュリティ解除。Bluetooth接続により、カバンにスマホが入った状態のまま、手ぶらで開錠し、エレベータも呼ぶことができる

来訪者や宅配事業者を事前登録して、ゲストのスムーズな入館や、置き配への対応が可能になる

BuilMiraiのもうひとつの新機能がスマートモニタリング。複数のカメラ映像を遠隔から確認できる。サブスクリプションモデルで提供する。11月以降には、ビル設備管理ソリューションも提供する

生成AIを活用して機械が話す「Talkative Products」。インクジェットプリンタが「現在、私の状態は異常です」と話しかけ、対処方法も指示する。給水ポンプなどにも対応している

鉄道メタバースを活用した車両情報共有支援システム。鉄道のメンテナンス情報を共有し、現場での作業を支援することもできる

鉄道メタバースとMicrosoft Teamsを連携させ、メンション機能を利用して情報を共有する仕組みを開発中だという

「一人ひとりが快適で活躍できる社会」のエリア

ヘルスケアおよびバイオ医薬の展示コーナー

日立の描く未来社会のありたい姿を紹介する「みんなで作る未来社会〜Society 5.0の実現に向けて〜」。日立は、大阪・関西万博の「フューチャーライフ万博・未来の都市」に協賛しており、それと連動させたものになっている

地域創生の取り組みとして、自治体や商業、鉄道データを活用したソリューションを紹介

AIアバターサイネージのMediaSpace。会話をするだけで、自分にあった香りの提案をしてくれる

無人コミュニケーション店舗のCO-URIBA。顔認証で入店し、手に取った商品を自動で認識し、退店時にディスプレイで確認すれば買い物が完了する

9月3日に発表したデジタルアイデンティティ共通プラットフォーム「SAKULaLa」も展示

SAKULaLaは、生体認証によって決済やポイントを付与することができる。手ぶらで買い物体験ができるプラットフォームだ

SAKULaLaは、東武ストアや上新電機、ファミリーマート、東京スカイツリー、東武東上線TJライナーなど、全国100カ所以上に順次導入する予定だ

会場のロビーには大阪・関西万博関連プログラムとして巨大ガチャを用意

巨大ガチャを回すと非売品のグッズがもらえる