鳥を生きたまま食い殺す外来種ネズミを「爆撃」で根絶するプロジェクトが始動、「最後の1匹まで駆逐する」と保護活動家
インド洋に浮かぶマリオン島で、人間が持ち込んだネズミが海鳥を捕食するのを食い止めるため、空から殺鼠(さっそ)剤を大量に投下してネズミを根絶する計画を、動物保護団体が発表しました。
プロジェクトについて - Mouse-Free Marion
https://mousefreemarion.org/ja/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
https://www.livescience.com/animals/birds/mice-on-remote-island-that-eat-albatrosses-alive-sentenced-to-death-by-bombing-scientists-decree
S.Africa plan to 'bomb' mice that eat albatrosses alive
https://phys.org/news/2024-08-safrica-mice-albatrosses-alive.html
南アフリカ政府と野鳥保護団体・BirdLife South Africaの共同プロジェクトである「The Mouse-Free Marion Project(マウスフリー・マリオン・プロジェクト)」によると、マリオン島には19世紀初頭に人間が持ち込んだとみられるネズミが生息しており、食料が不足する冬になると海鳥を攻撃するようになったとのこと。
海鳥は陸生の捕食生物がいない環境で進化したので、文字通り「いいカモ」になっており、世界の全個体数の4分の1がインド洋の島に営巣するワタリアホウドリを含む多くの貴重な種の鳥が犠牲になっています。
これまで、ネズミは主に卵やひな鳥を標的にしていましたが、ネズミの攻撃は年々エスカレートしており、ついに成鳥まで捕食するようになったとのこと。
プロジェクトリーダーのマーク・アンダーソン氏はBirdLife South Africaの会合で、「2023年にはネズミがワタリアホウドリの成鳥を餌にしているのが初めて発見されました。ネズミは海鳥によじ登ってゆっくりとむさぼるので、時には鳥が死ぬまでに何日もかかります。ネズミのせいで毎年何十万羽もの海鳥が命を落としているのです」と訴えました。
エスカレートする被害を食い止めるため、マウスフリー・マリオン・プロジェクトは、2027年の冬に殺鼠剤入りのペレット660トンをマリオン島に投下すべく、2900万ドル(約42億円)の資金調達を開始し、既に目標の4分の1を調達しています。
殺鼠剤の投下はヘリコプターで実施され、長さ25km、幅17kmの島全体にまんべんなく毒餌がまかれることになっています。毒餌は無脊椎動物には無害なものが選ばれるほか、海鳥たちは海で餌をとるため、ネズミ以外の生き物への影響はないとされています。
マリオン島には、1948年にネズミを減らす目的で5匹の猫が持ち込まれましたが、2000匹まで増えた猫がネズミを駆除するどころか毎年45万羽もの鳥を殺してしまったため、今度は猫駆除プロジェクトで1991年に最後の1匹が駆除されたという、陰惨な歴史があります。
アンダーソン氏は「ネズミを最後の1匹まで駆除しなければなりません。オスとメスが残っていれば、繁殖して元通りになってしまいますから」と話しました。
なお、プロジェクトは個人からの寄付も募っています。
任意の金額を寄付する - Mouse-Free Marion