マタニティーブルーは「悲しくなる」だけじゃない…?

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 7月19日、お笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービーさんが、第1子妊娠中の様子についてYouTubeに動画を投稿。妊娠中の「イライラ」について明かしました。現在産休に入っているバービーさんは、近況について話す中で「マタニティーブルーってすごい悲しくなるって聞いてたんだけど、私めっちゃイライラしてるんだよね」「(最近のことだけでなく)昔のこと思い出してイライラして寝れなくなっちゃう」と、イライラにさいなまれていることを話しました。

 これについて、「めっちゃ分かる」「私もイライラ止まらなかった」「びっくりするくらいイライラしますよね」と共感の声が上がる一方で、「マタニティーブルーって悲しくなるだけじゃないんだ…?」「想像と違いました」といった疑問の声も聞かれます。マタニティーブルーは「悲しみ」だけじゃなく、「イライラ」も引き起こすものなのでしょうか。神谷町WGレディースクリニック(東京都港区)院長で産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

実際の定義は「出産後の症状」だが…

Q.「マタニティーブルー」とは何ですか。

尾西さん「マタニティーブルーは、医学的には『マタニティーブルーズ』と呼ばれ、出産後に起こる症状を指すものです。出産後の女性の30〜50%が経験するとされています。日本産婦人科医会では『産後数日から2週間程度のうちに起こるちょっとした精神症状のこと』を指すとしており、症状について『多くは、ふいに涙が止まらなくなったり、イライラしたり、落ち込んだりする』と説明しています。

症状は、急激な女性ホルモン(エストロゲン)の低下といった内分泌環境の変化や、子育てによるストレスに伴って現れるものと考えられています。こうした症状が産後少ししてから出現し、長引く場合は『産後うつ病』といわれ、精神的な治療が必要になることもあります。

今回、バービーさんは妊娠中の症状とのことで、この定義とは少し異なりますが、急増する女性ホルモンの影響で、妊娠中も同じような症状が起こる場合があります」

Q.一般的に、マタニティーブルーは「悲しくなる」「涙もろくなる」といったイメージをもたれているようですが、「イライラ」が増えることもあるのですか。

尾西さん「はい。マタニティーブルーは、『涙もろくなる』といった気分が落ち込む症状のほかに、『イライラする』といった症状もみられます。いわゆる『PMS(月経前症候群)』を想像していただくと分かりやすいかと思います。

妊娠中においても、PMSの時期に増加するものと同様のホルモンが増加するため、同じような症状が出てもおかしくありません」

Q.マタニティーブルーの症状は、どのくらいの時期に落ち着くことが多いのでしょうか。

尾西さん「マタニティーブルーは産後2週間程度でおさまってくることが多いのですが、先述のように1カ月以上長引く場合は『産後うつ病』の可能性もあり、より重症な状況なので、早めに産婦人科で相談してみましょう。

『もともと、うつ傾向がある』などの性質だけでなく、ワンオペ育児や周囲のサポートが得られないことや、仕事のストレスなどの環境も影響を及ぼすため、妊娠中から産後数カ月間は特に、周囲のサポートが大切です」