【お天気気象転結】山形県酒田市・大雨被災地を取材…水稲被害も甚大に
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「佳子・純子のお天気気象転結」。気象予報士の伊藤佳子記者・鈴木純子アナウンサーが、毎日にちょっと役立つお天気情報をお届けしている。この記事では全文をご紹介。
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▼8月9日配信号 担当
伊藤佳子
先月25日、大雨の特別警報が2回発表され、記録的な大雨が降った山形県。
県内では少なくとも24の河川の37か所で氾濫や堤防の決壊が発生、3人の方が亡くなり、1400棟以上が浸水被害に見舞われました。
発災1週間後に私が取材した大沢地区の北青沢は、荒瀬川の氾濫と大規模な山崩れで、複数の家の1階部分が土砂に埋まり、トラックや農機具も埋まっている状態でした。
流木が刺さったままの家もあります。
この時は停電、断水が続いていました。
現在停電は解消されましたが、水が通るのは今月末の予定です。
給水所が設けられ、湧き水を使っているという住民もいましたが、田んぼは水浸しになり、収穫ができるかどうか……。
被害を受けなかった田んぼは青々としています。
しかし地元のJA庄内みどりによると、管轄する1万3000haの半分以上が浸水・冠水・土砂流入の被害にあったとのこと。土砂・流木が流れ込んだ田んぼは農機具も入らないので、秋の収穫はできないし、取り除く作業も必要なので来年の作付けもかなり難しいそうです。
稲の上まで冠水した田んぼも、病気が発生しないよう消毒作業をしなくてはならないとか。
川から田んぼに水を送るポンプや用水路もかなりの被害を出しているそうです
大雨で農機具が全部だめになった農家さんもかなりいて、私が取材した高齢の農家さんも「機械、動かねかったら田んぼやめる」と。高齢者の中には離農を考える人もいます。
借金して農機具を買って、またがんばろうというのは難しいですよね。
JAではさらに生産者が減ることを心配しているそうです。
▲JA庄内みどり
私は同じ話を2年前、やはり豪雨災害に見舞われた新潟県関川村役場で聞きました。
気候が変わって、毎年のように豪雨災害が起こり、生産者の高齢化が進む中、日本の農業はこの先どう継続していくのでしょうか?
家が土砂に埋まっているすぐ横の川で、洗濯をしていた男性は「もう仮住まいの家を契約した。コインランドリーに持ってく前にここで泥落としてる。やれることをやっていくしかない」と冷静に話してくれました。
1日も早い復旧をお祈りいたします。
気象予報士 防災士 都庁・気象庁 担当記者 伊藤佳子