堀江貴文「英会話にWould、Couldなんて必要ない」
英語の習得でも「常識を一度外して、物事を見直す」ことが必要だと語る堀江氏
インターネットの普及によって「フラット化」し、「グローバル化」の波がどんどんと拡大していく世界で、「英語を避けて通る道なんてない」と断言する堀江貴文氏。
そんな堀江氏は、英語を習得する際に必要なのは、「You must unlearn what you have learned.」(これまで学んできたことを一度脇において)、という姿勢だといいます。
※本稿は、堀江氏の著書『いつまで英語から逃げてるの? 英語の多動力New Version: 君の未来を変える英語のはなし』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
英語を喋るのに「Would」「Could」なんて不要
英語は実践で学ぶべきものだ。座学では中学や高校、もし大学受験をした人なら、もう十分に基礎があるはず。今さらWouldとかCouldとかがピンと来ないからといって、勉強し直しているようでは、時間がいくらあっても足りない。
学ぶ姿勢は大切だ。でも、参考書を開いて、英語を覚えようとしたところで、何日それを記憶にとどめておけただろう? 今まで何度それを繰り返した? 参考書を見たって、いっこうに英語が喋れないのだから、また再開したところで、きっと喋れるようにはならないだろう。
なぜあなたは英語が喋れないのか。それは、英語を喋っていないからだ。日本にいて、参考書を開いて、英語と日本語の解説の文字を読んで、たまに付属のネイティブスピーカーのモデル音声を聞いて……それで喋れるようになるはずがない。
英文法の基礎を理解してから……。発音がうまくなってから……。日本人の多くは、外国人と喋る前にできる限りの準備をしようとする。目的があり、それを達成するために準備をすること自体は、すばらしい。でも、それを何日も何カ月も、もう何年もやっている人がいる。
僕がかつて英語を勉強したのは、東京大学を受験するためだった。そのときに身についた英語力だけで、今も日常英会話はまったく問題ない。ビジネスのほうでも、『WAGYUMAFIA』というフード事業では外国人シェフたちに英語で指示を出しているし、また投資家としてさまざまなスタートアップ企業のプレゼンに英語で突っ込みを入れている。
僕は実践で英語をブラッシュアップしてきた。1年のおよそ3分の1を海外で過ごしているため、現地の人と英語で喋ることだって僕にとっては日常の当たり前のことなのだ。
だから、外国人と喋るためだけに、何カ月も何年も準備する必要なんてない。WouldやCouldなんか使わなくても、もっと簡単な英語だけで十分に言いたいことは通じるはずだ。あなたはただ、脅えているだけではないのか。ただ、外国人を前にして恥をかくのが怖いだけなのではないのか。
大切なのは「高度な英語力」ではなく「行動力」
考えてみてほしい。日本に来た外国人たちが拙い日本語であなたに話しかけたときのことを。あなたは彼らを怖がらせるだろうか。言葉が拙いからといって、睨みつけたりするだろうか。そんなこと、あなたがするはずない。
自分のホームタウンであるにもかかわらず、ビクビクしているのは、むしろあなたのほうなのだから。もし逆にあなたが外国に行き、道に迷い、終電を逃し、ホテルに帰るに帰れないという事態に陥ったらどうするだろう? 言葉の違いなんてどうでもいいから、誰かに助けてほしいと思うはずだ。
本当に大切なのは、高度な英語力ではない。人間の中身だ。拙い英語でも伝えようとする行動力のほうだ。
「英語」というキーワードが常に念頭にあるあなたなら、道に迷っている訪日外国人を見て、話しかけなくてどうする。あなたの小さな不安なんて、吹けばすぐに飛んでいくレベルだ。
英語の基本が身についてからと、先延ばしにするのではなく、今すぐにでも外国人と接点を持とう。外国人とコミュニケーションを取ることが、英語だけではなく、あなたにとっての人生の勉強の1つなのだ。
POINT:準備なんか要らない。書を捨て、町に出よう。
会話を「Yes」や「No」だけで終わらせない
中学英語でいい。ブロークンな英語のままでいい。どんどんネイティブと話すために外に出て行こう。それが英語の多動力だ。そのためにより効果的に自分の英語力を進歩させられる心がけについてここでは話したい。
例えば、Do you usually write your name with Kanji?(あなたは普段、自分の名前を漢字で書くのですか?)と聞かれたら、あなたはなんと答えるだろうか。僕もかつては同じだったが、たいていの人がYes. と答えるだろう。それで相手が納得すれば、コミュニケーションは取れている。でも、口にしたのはYes.だけだ……。
このように、唐突にネイティブに質問されると、とにかくYesなのかNoなのか、自分の意思だけでも早めに伝えたくなる。でも英語を本気で身につけたいのであれば、この時点でフルセンテンスをしっかり返答することを意識するといい。
つまり、Yes, I usually write my name with Kanji.(はい、私は普段から自分の名前を漢字で書きます)と、Yesの後をきちんと言うのだ。
正直めんどくさい。でも、これを心がけることで、質問された場合に限らず、自分から英語を話すときの英文組み立て能力が高まる。
We Japanese usually write our name with Kanji.(私たち日本人はたいてい名前を漢字で書くんです)
先ほどの質問例をこのようにも応用できる。
Do you have any plans for tomorrow?(明日何か予定はありますか?)
↓
No, I don’t have any plans for tomorrow.(いいえ、明日は予定がありません)
質問に対してフルセンテンスで言い返すこと。それだけで代名詞の切り替えや、withやforといった前置詞の使い方を瞬時で自分のものにできる。
ほんの小さな心がけだが、英語というのはこうした心がけの繰り返しで身についていく。日本語が身についていった過程だって、きっと同じだったはずだ。
POINT:英語で質問されたらまるごとパクって自分のものにする。
映画でリスニング力は伸びない
英語学習をしている人の多くは映画で勉強しようとする。たいていリスニング力を鍛えようとするわけだが、これは大きな間違いだ。
ただ聞いているだけでリスニング力をレベルアップさせるには、何百時間も費やさなければならないと言われている。いくらなんでもそんなに時間をかけるのは効率が悪い。
だから、発想の転換をしよう。
Netflixなど動画配信サービスで映画を1本見れば、1つか2つ印象に残るシーンが必ずあるだろう。映画を見終わったあと、そのシーンの映像に戻り、英語字幕を引っ張り出し、メモしよう。そして、本人になりきって同じセリフを言う。ありきたりな作業だからすぐにできることだが、最初は恥ずかしいのだろう、あまり実行する人はいない。
でも、好きな映画や俳優であればあるほど、「好き」の気持ちから没頭できるはずだ。普通に映画を見て終わるよりも、1つでも英語力のために行動することで、格段に早く英語は上達する。英語本を10冊読むより、1本の映画のセリフにハマるほうが、はるかに使える英語の力が身につく。
なぜなら自分で言える英語は、他の誰かが早口にまくしたてても、聞き取れるからだ。とりわけ好きなキャラクターや俳優のセリフであれば、テンションも上がる。前にも書いたが、勉強は楽しまなければ、継続できない。
少年少女時代によくテレビのキャラクターをまねしたように、映画の中の好きな人物やキャラクターになりきり、1作品につき最低1つでいいから英語をものにしよう。
POINT:好きなものを英語の習得に効果的に使う方法を考える。
(堀江 貴文 : 実業家)