アントキの猪木

写真拡大

 プロレス団体と独立リーグのプロ野球チームの間で金銭トラブルが勃発した。騒動の中心にいるのは、亡きアントニオ猪木の公認モノマネ芸人・アントキの猪木(51)。プロレス団体側は裁判も辞さない姿勢で……。

 ***

【写真を見る】「予算を引っ張てくる」と明言していたアントキの猪木のLINE

 茨城県笠間市に本拠地を置く独立リーグのプロ野球チーム「茨城アストロプラネッツ」。ファンとの交流を担う「アストロマン」なるマスコットを巡って問題は起きた。5年前から球団のPRアンバサダーを務めているのが、アントキの猪木(以下、猪木)。彼の紹介で、球団代表の山根将大氏(37)および「プロレスリングZERO1(以下、ゼロワン)」代表の神尊仁(こうそじん)氏(52)が出会ったのがコトの発端だった。

アントキの猪木

「契約書を交わさなかったことを後悔」

 神尊氏が言う。

「猪木とは20年ほど前からの付き合いです。久しく会ってなかったのですが、4年前に猪木から電話があり再会。何度目かの面会で山根さんを紹介されました」

 その後、猪木から神尊氏に「アストロマンをプロレスデビューさせられないか」と提案があり、神尊氏は「条件さえ整えばできる」と答えた。神尊氏は年間で試合出場すると少なくとも800万円の活動費、さらにコスチューム代などの追加費用がかかることを猪木・山根氏の前で説明。二人が承諾したので、デビューに向け準備を進めたという。

「球団の広報活動の一環だと捉えていたので、窓口は猪木ですが、あくまで球団が負担するものだと思っていた。今となっては、契約書を交わさなかったことが悔やまれます」(同)

 そんな約束はしていないと言われ、困惑の態。これに対し山根氏に話を聞くと、

「活動費用に関して、具体的な数字は一切聞かされてません。明確な目的も方法も決まらないままに、デビュー日が決まり、猪木さんと神尊さんの二人が突っ走ってしまった。厳密には最初に神尊さんと会った時点で、猪木さんはすでに球団のPRアンバサダーではありませんでした」

 と神尊氏の言を真っ向から否定するのだ。

責任持って…

 山根氏は知らぬ存ぜぬという態度だが、神尊氏は再三、猪木に費用の支払いについて問い合わせている。デビューを目前に控えた2022年3月には、神尊氏は猪木に、

〈アストロマンの予算って球団もしくはどこかからか取れそうでしょうか?〉

 とLINEを送っており、これに対し猪木は、

〈はい。責任持って引っ張ってきます。〉

 こう返答していたのだ。

「猪木はその都度、調子のいいことを言うばかりで、実際には1円も入ってきませんでした」(神尊氏)

 1年3カ月にわたってリングに上がったものの、経営難にあえぐ「ゼロワン」でアストロマンを抱えておくことはできず、昨年7月、“失踪”という形で引退させるしかなくなってしまったという。

「契約書がないですからね」

 今年3月、神尊氏は猪木に対しアストロマンにかかった広告宣伝費など、締めて1012万円の支払いを求める内容証明を送るも、猪木は、

〈「当事者」ではなく何らの責任も、無論支払いの義務も一切無い〉

 などと神尊氏に返信している。一連の騒動について質すべく、猪木を直撃すると、

「僕には関係ないことなので。契約書がないですからね」

 所属事務所に改めて尋ねたところ、

「(アストロマンにかかった費用は)神尊氏から球団代表に対して相談されていたものであって弊社所属タレントである『アントキの猪木』が責任を負う立場にあった事実は一切ありません」

 そう回答があった。

「ゼロワン」は近く、猪木と球団を相手取り「ゼロワン」が被った損害約1000万円の賠償を求め、民事提訴に踏み切る予定だという。

「週刊新潮」2024年7月11日号 掲載