「“背の低い”ミニバン」なぜ消えた? 今は「“背の高い”ミニバン」が定番に! ユーザーは「ミニバン」に何を求めるのか?

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かつては定番だった「背の低いミニバン」なぜ絶滅?

 ミニバンの特徴として、背が高くスクエアなボディに3列シートを備えているところが挙げられますが、かつては背が低いワゴンボディのミニバンも存在していました。
 
 しかし、最近では背の低いミニバンは姿を消しています。
 
 一体なぜでしょうか。

背の低いミニバンはなぜ姿を消してしまったのか?(写真はホンダ「ジェイド」)

 1990年代にトヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」が登場して以来、日本でミニバンというジャンルが確立されました。

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 近年でも2022年にはトヨタ「ノア/ヴォクシー」、ホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」がフルモデルチェンジし、2023年にはトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」やレクサス「LM」、ホンダ「オデッセイ」が登場。

 背の高いスクエアボディで3列シートを有するミニバンが人気を博しています。

 しかし、かつてはトヨタ「イプサム」や「ウィッシュ」、ホンダ「ストリーム」、日産「ラフェスタ」といった、低い全高のワゴンボディに3列シートを搭載するミニバンも存在しており、定番モデルの1つとして地位を確立していました。

 なぜ、これらの低いミニバンは姿を消したのでしょうか。

 その背景として、ユーザーがミニバンに求めるものが多角化したことが挙げられます。

 ミニバンがブームとなった1990年代、それまでセダンやステーションワゴンなどに乗ってきたドライバーにとって、ミニバンは運転感覚や走行性能、デザインなどがネックとなり、販売を伸ばすことができませんでした。

 そんななかホンダがステーションワゴンライクなデザインに3列シートを積んだオデッセイをデビューさせたことをきっかけに、セダンやステーションワゴンに乗っていたドライバーにも受け入れやすいハンドリングと、スペースユーティリティが好評を得て、背の低いミニバンがヒットしたのです。

 しかし背の高いミニバンも年々走行性能やデザインなどが良くなったことから、2010年頃からワンボックス型のミニバンが主役に躍り出ます。

 実際に最近のユーザーはミニバンに対して、居住空間が大きいことや、乗り心地の良さを求める声も多く見られます。

 つまり、ミニバンに走行性能やスタイリッシュさも重視する風潮から、実用性・生活性を強く求めるようになった需要の変化が、大きな要因の1つです。

 また某国産メーカーの担当者は、利便性の高い背が高いミニバンが普及したなかで、背の低いミニバンは中途半端な存在となり、需要が見込めないため今後新たに出てくる可能性は低いことも述べていました。

 このように、日本では背の低いミニバンが新たに登場する可能性は低いですが、ミニバン自体は時代に合わせて変化し続けています。

 なお需要の変化によっては、これまでにないミニバンの新ジャンルが登場するかもしれません。