若者主導での反政府抗議活動が続くケニアでは、デモ活動にAIが活用されており、ケニア政府はAIの使用に関連するリスクについて懸念を表明しています。

AI Use Worries Kenyan Officials As Digital Tools Help Fuel Anger Against Govt

https://weetracker.com/2024/07/05/ai-use-in-kenya-protests/



Kenya protesters us AI in anti-government battle | Semafor

https://www.semafor.com/article/07/04/2024/kenya-protesters-us-ai-in-anti-government-battle

ケニアでは、増税政策を多数含む(PDFファイル)2024年の財政法案が大きな論争を生み、ウィリアム・ルト大統領の辞任を求める大規模な抗議活動が展開されています。

抗議活動の最前線に立つのは、主にテクノロジーに精通したミレニアル世代やZ世代で、AIやデジタルツールを駆使して既成政党に対するデモ活動を実施しています。

抗議活動を支援するために、ケニアの政治家が関与する汚職事件を明らかにする「Corrupt Politicians GPT」や、財政法案の施行による増税がどのような影響をもたらすかを分析する「Finance Bill GPT」、ボイコットや抗議の対象となった政治家が保有する企業の情報や、議会への貢献度などを示す「13th Parliament」などのチャットボットが作成されています。これらのチャットボットは、有権者が政府に対する懸念を表明するために議員の電話番号なども共有するそうです。



活動家たちはまた、TikTokやX(旧Twitter)上で、財政法案に反対するための人員を集めていることが報告されているほか、これらのオンラインプラットフォームを活用して、抗議活動に伴う死傷者に対する医療費や葬儀費用をクラウドファンディングで調達しています。

実際に、2024年6月中旬以降に実施された抗議活動では少なくとも39人の活動家が殺害されており、活動家でジャーナリストのハニファ・ファルサフィ氏は記事作成時点で3040万ケニア・シリング(約3820万円)の募金を集めています。

加えて、活動家たちの間ではスマートフォンをトランシーバーとして扱うアプリ「Zello」を使用して、警察の動きなどの情報を共有しているほか、TikTokではさまざまな現地語で翻訳した財政法案への批判のメッセージを公開しています。





一方で、ケニアのムサリア・ムダバディ外務大臣は「インターネット空間の乱用は、国内及び世界情勢の不安定さをあおり続けるだけでなく、サイバー犯罪の助長につながります。実際、世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2024年版では、『世界最大の短期的なリスクは、誤情報や偽情報に起因する』と認めており、AIが悪意ある人物の手に渡った場合、世界の情報システムに虚偽の物語が氾濫する危険性があります」との懸念を表明しました。