宝くじで「10億円」当選! でも実際に“手では持てない”って本当?「1000万円」なら片手で持てる? 元銀行員の筆者の経験もあわせ解説
お金の重さは?
1万円札の重さは約1gです。つまり100万円は100gとなります。100万円の札束を持つ機会はあまりないかと思いますが、意外と軽くスマートフォンの半分程度の重さです。
感じ方には個人差があるとは思いますが、実は100万円程度では「ズシッ」とした重みは感じないものなのです。銀行では100万円を10束まとめた1000万円の束を扱うこともありましたが、1 kg程度なので女性の筆者でも片手で軽々と金庫に運べる重さでした。
それでは本題の10億円の重さを計算していきましょう。1億円は10 kg、10億円は100kgにもなります。10 kgはお米と同じくらいの重さなので、両手で抱えれば持てそうですが、10億円ともなると一般の人が人力で持つのはかなり厳しいといえるでしょう。
人はいくらまでお金を持てるのか
1万円の札束はいくらまでなら人力で持てるのでしょうか。大人が安全に持ち上げられる重さの目安は体重の40%といわれています。厚生労働省によると30代の男性の平均体重は70.0 kg、女性の平均は54.3 kgですので、男性の場合は28 kg、女性は21.7 kgまで安全に持ち上げられる計算になります。
具体的にいうと、男性は2Lのペットボトルを14本、女性は10本~11本に相当する量です。2Lペットボトルは6本入りでケース販売していることが多いので、2ケースを一気に持つイメージです。
これを札束で計算すると、男性は2億8000万円、女性は2億1700万円であれば安全に持ち運べるということになります。また1億円をパックして並べると横38cm、縦32cm、高さ10cmになり、A3サイズの用紙よりもわずかに小さいサイズになります。パック状態での2億円はおよそ20 cmの高さになるので、頑張れば抱えられそうな大きさですね。
銀行員にとって大変なのは実は紙幣よりも「硬貨」?
「紙幣は思ったよりも軽いんだ」と思った人も多いのではないでしょうか。1000万円の束でも1 kg程度なので、銀行員にとって紙幣の重さはあまり「たいしたこと」ではありません。
実は金庫係の銀行員を悩ませるのは「硬貨」です。スーパーやコンビニのレジで目にしたことがある人もいるかもしれませんが、硬貨はビニールで包んで棒状にして保管します。この棒状の硬貨を種類ごとにケースに入れておき、必要があれば窓口に運んでくるのです。
例えば、10円玉は1枚4.5gですが、棒状にすると1本あたり50枚包まれていて225gになります。筆者の銀行では10円玉用のケースには80本入れていたので、1ケースあたり4万円で約1.8kg、ケース本体の重さも加えて2kg以上になります。
開店準備の際はケースごと窓口に運んでいたので、1円から500円まで複数のケースを運んで、準備が終わったらまた戻す作業はとても大変でした。
まとめ
「ちりも積もれば山となる」ということわざにもある通り、わずか1gの1万円札も10億円ともなれば100kgになります。
ちなみに筆者がかつて勤めていた金融機関は地方の支店でしたので、宝くじの当せん額である10億円相当の現金を目にしたことも運んだこともありません。お金の重さを、身をもって体験してみたいという人は、博物館などで「1億円を持ち上げる」イベントが催されていることがありますので、足を運んでみるのもいいでしょう。
出典
日本銀行 一億円パック
厚生労働省 あんぜんプロジェクト 腰痛防止対策! 建設資材重さの「見える化」
厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査報告 第2部身体状況調査の結果
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級