新しい技術やビジネスモデルを創出し、日本に活気をもたらした産業界の人材に贈られる「第5回日本イノベーター大賞」(主催・日経BP社、選考委員長・小宮山宏東大総長)が2日発表され、北海道旭川市にある旭山動物園の小菅正夫園長が大賞に選ばれた。

 旭山動物園は日本最北に位置する動物園で、96年度には年間入園者が26万人に落ち込み閉園の危機にあったが、動物の自然な生態が見られる「行動展示」という手法が話題を呼んで05年度には入園者数が200万人を突破、波及効果で旭川市には564万人が訪れるなど、同園は北海道を代表する観光地として定着した。

 選考委員会では受賞理由を「動物園の枠組みを超え、サービス業、地方経済の活性化に影響を及ぼしたことが大きなポイントとなった」としている。

 優秀賞には、生理作用が全くないとされていた体内物質の薬理作用を使った画期的な新薬を開発し、年内にも米ナスダック市場に株式を公開させる米スキャンポ・ファーマシューティカルズ共同創業者兼CEOの上野隆司氏と、手足の力を増強するロボットスーツ「HAL」を開発した筑波大学大学院システム情報工学研究科教授の山海嘉之氏の2氏が選ばれた。

 表彰式は29日夕、東京都港区の高輪プリンスホテルで行われる。【了】

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