(写真・AC)

 Xにポストされた、とある高校の文化祭の取り組みが話題を呼んでいる。

《こんな終わってる文化祭の支払い方法初めて見た》

 こんな文章とともに、文化祭の概要が書かれた紙の写真が投稿されたのだが、そこには、支払い方法についての注意書きが――。

 よくみると「生徒模擬店での購入は、auペイのみでの支払いとなっております。」と太字で明記されている。これまで現金でのやり取りが一般的だった文化祭だが、この高校ではキャッシュレス決済が導入されたようだ。ただし、対象は生徒模擬店だけで、地域の模擬店は現金のみとなっている。

 このポストのコメント欄には、

《なんでauペイ限定なん!?電子決済の中だと使用率は低い方じゃね?》

《模擬店の売上過去最低になりそう》

《地域の模擬店のために結局現金も持ち歩くことになるの面倒そうですね、、》

 と、令和の文化祭の新システムに「不可解」と疑問の声があがることになった。

「この取り組みは、au PAYを運営するKDDIとauペイメントが、全国の高校を対象に、学園祭での支払い方法としてスマホ決済サービスを提供する『キャッシュレス学園祭』です。2023年から本格的にサービスを提供開始し、2024年6月時点で5府県14校での実施が決まるなど、認知度が上がっています」(週刊誌記者)

 現在、「PayPay」や「楽天ペイ」「d払い」などスマホ決済サービスの普及が加速している。MMD株式会社が2024年1月におこなった調査では、18〜69歳のスマホを所有している男女2万2732人のうち、72.8%がQR・バーコード決済を利用しているという。

 内訳(複数回答)を見ると、PayPay64.5%、楽天ペイ34.4%、d払い29.3%で、au PAYは21.0%で4位につけている。こうした状況下、全国の高校でも文化祭に導入され始めているわけだ。

「キャッシュレス学園祭」は、いったいどのような経緯で始まったのか、KDDIに話を聞いた。

――なぜこの取り組みをおこなうことになったのでしょうか。

「これまでの高校の文化祭は、現金でのやり取りが主流でしたが、とある高校からコロナ禍の時期に『文化祭で非接触決済をやってみたい』というご相談があり、実施したのが初めての試みでした。

 それ以降も、何校かの高校で非接触決済を実施していくなかで、この取り組み自体が生徒さんに対して金融教育につながるとの声をいただきまして、2023年の8月から全国の高校を対象に『キャッシュレス学園祭』を開催することとなりました」

――これまでにどのような反響があったのでしょうか。

「2023年は全国11校で開催し、今年はすでに全国40校での実施が決まっています。参加された生徒さんからは『キャッシュレス決済の仕組みや利便性について学ぶことができた』『リアルタイムで売り上げがわかって便利』などの声も上がりました。

 学校さんからは『生徒の現金利用によるトラブルの軽減にもつながった』との高評価をいただいています」

「新語・流行語大賞」に「◯◯ペイ」「キャッシュレス/ポイント還元」がノミネートされたのは2019年。いまでは、QRコードでお賽銭の神社も増えてきた。今後もスマホ決済は広がっていきそうだ。