KBO初勝利の白川(SSGランダースのインスタグラムより)

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韓国プロ野球(KBO)リーグのSSGランダースに所属する白川恵翔投手(23)が2024年6月1日にソウル・高尺スカイドームで行われたキウムヒーローズ戦に先発し、5回を投げ3安打、4四球、6奪三振、無失点でKBO初勝利を挙げた。

白川は独立リーグの四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスから、5月下旬に6週間の期限付きでSSGランダースに移籍。地元メディアによると、日本人投手がKBOリーグのマウンドに立つのは11年の門倉健投手(サムスンライオンズ)以来13年ぶりだという。

「日本でプロに行けない選手でも韓国で活躍できる」

韓国メディア「朝鮮日報」(日本語WEB版)は9日に、韓国プロ野球の特集記事を公開。記事の中で、白川の例を挙げながら、今後、韓国プロ球団が日本の独立リーグから選手を獲得していく可能性に言及した。

白川のケースにみるように、日本の独立リーグから韓国プロリーグ進出は将来的に主流となっていくのだろうか。

J-CASTニュースは、23年まで独立リーグのベースボール・チャレンジ・リーグ(BCリーグ)に加盟し、24年から日本野球機構(NPB)のイースタン・リーグに参加しているオイシックス新潟アルビレックスBCの橋上秀樹監督(58)に話を聞いた。

21年シーズンから新潟を率いる橋上氏は、今後、白川のようなケースが「増えていくと思います」とし、その理由について語った。

「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を見ても分かるように、日本のピッチャーのレベルの高さは周知の事実です。日本でプロに行けない選手でも韓国で活躍できるということを白川選手が証明しました。韓国のプロ球団の編成が日本の独立リーグを視察にくる機会が増えると思います」

給与面において、独立リーグの選手と韓国プロ球団は互いにメリットがあるという。その構造を橋上氏はこう説明した。

「独立リーグの選手にとって韓国では高い給料になる」

「独立リーグの選手にとっては高い給料になる。韓国の球団としては、日本の独立リーグの選手を外国人選手と考えた場合、ものすごく安い給料で来てくれる。両方にとってメリットがあり、独立リーガーにとってはものすごく魅力的だと思います」

前述の朝鮮日報によると、白川の給与は6週間で180万円。1年に換算すると、約1530万円だという。大リーグを経験している韓国の外国人助っ人の中には1億円を超える高年俸の選手も珍しくなく、それと比べると白川の給与は破格の安さだ。

橋上氏は、日本の独立リーグの選手と韓国や台湾のプロ球団との今後の関係性について、次のように持論を展開した。

「日本のピッチャーは、世界的に見てもかなりレベルが高いのは分かっていること。日本のプロ選手でなく、その次のランクでやっているピッチャーでも韓国や台湾のリーグに行けば戦力になるという見方は高まると思います。今後、白川選手のようなケースは増えていくと思いますし、選手の方から『行きたい』という声が出ると思います」

そして、こう続けた。

「韓国や台湾で活躍すれば、最終的な目的である日本のプロ球団に入りやすくなるでしょう。ただ、韓国、台湾でそれなりの給料をもらえるのであれば、そこを最終的な目標地点に定めてもいいと思います。野球選手はそれほど長い間プレーすることができないので、ある程度活躍できるところで、野球人生を全うするのもありだと思います」

複数の地元メディアによると、今回ケガで離脱した外国人投手の代替選手として契約した白川は、離脱した投手の回復が長引くか、白川が抜群の活躍を見せることで契約が延長される可能性もあるという。一方で、短期間で契約終了となる可能性も少なくないという。