圏央道「横浜延伸」いつになったら開通するの? 工事は進んでるの? 悲願の「首都高湾岸線」直結がいまだに完成しない理由とは

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巨大な「栄JCT」は完成間近だけど…

 首都圏をぐるりと環状に結ぶ「圏央道」がいよいよ、横浜市内まで延伸し「ほぼ全通」となります。
 
 横浜市内へ延伸すれば、どれだけ便利になるのでしょうか。また、どこまで工事が進んだのでしょうか。

圏央道の栄IC・JCT。戸塚方面と藤沢方面、釜利谷方面が接続する(画像:国土交通省)。

 圏央道は、都心50km圏をむすび、放射状にのびる東北道、関越道、中央道、東名高速などを相互につなぐ役目を果たします。

【画像】超便利!? 圏央道「横浜延伸区間」ルートと工事状況を地図で見る!(30枚以上)

 郊外の市町を連絡するだけでなく、各高速道路間の移動を、都心を経由せずにバイパスする役割もあります。

 徐々に開通していき、気づけばほとんど完成を果たした圏央道ですが、未開通区間は残り2か所の状況です。ひとつは成田空港周辺の18.5kmで、もうひとつは、藤沢から横浜市内へ伸びる区間です。

 この「横浜延伸」区間ですが、具体的には藤沢から東へ伸びて、大船駅北側の栄IC・JCTを経由して、最終的に横浜横須賀道路の釜利谷JCTまで到達します。

 現在、圏央道は藤沢から国道1号へ合流しますが、そこから東京方面はいかんせん一般道路なので、交差点の信号待ちで時間を取られ、渋滞も発生します。とくにひどいのが戸塚周辺で、かろうじて4車線ですが旧態依然とした狭い道路で、混雑が激しくなっています。

 圏央道が横浜横須賀道路までつながれば、首都高湾岸線方面へ直結し、一般道路とは無縁の広域ネットワークで移動することができるようになります。

 ちなみに、圏央道の横浜延伸区間は、栄JCTから北西へ”支線”のように伸び、戸塚区原宿の国道1号へ接続します。このルートは、広大な生活道路地帯だったエリアに、国道1号から臨海部をむすぶ、貴重な「信号無しルート」を供給することになり、移動利便性が大幅に向上することが期待されます。

 延伸区間は、大部分が地下トンネルです。藤沢を出るとすぐに地下へもぐり、栄IC・JCTで地上に出ますが、すぐにまた地下へもぐり、釜利谷までほぼ全線地下です。

 そのため工事現場で「圏央道の工事が進んでいる」とわかるのは、栄IC・JCTくらいと言えるでしょう。現場では、橋梁124基がニョキニョキと立ち、複雑に絡み合うランプの橋桁が、縦横無尽に田園地帯の上空を走っている、圧巻の風景が見られます。

で、結局どこまで進んだの? もうすぐ開通できそうなの?

 さて、気になる進捗ですが、先述のとおり、地上部である栄IC・JCTはかなり完成に近づいています。やはりキーになるのは地下区間のシールドトンネルのようです。

 もともと、延伸区間の開通年度は2025年度でした。しかし、2019年にシールドマシンが地下掘削中、予期せぬ支障物に干渉し、工事が約1年7か月中断。

 さらに2020年、東京都調布市内で行われていた外環道のトンネル工事で、地上に陥没が発生。北行きシールドマシンは完全にストップ。再発防止のため、2021年12月に「シールドトンネル工事の安全安心な施工に関するガイドライン」が策定され、施工管理や沿線への配慮についてより厳格に定められることとなりました。

 これをうけ、圏央道の現場でも施工計画が見直されました。その結果、2022年に開通予定はいったん「白紙」となったのです。

 2024年6月現在、いまも開通予定は明らかになっていません。

 NEXCO東日本が担当する「横浜環状南線」工区(戸塚〜栄〜釜利谷)では、詳細な工事進捗が刻一刻と更新されています。

 2024年6月3日時点で、桂台トンネルのシールドマシン「もぐるん」は、釜利谷JCTから折り返し地点(回転立坑)を過ぎ、下り線を501m進んだところにいます。のべ2.6kmのうち、7割が終わりました。公田笠間トンネルのシールドマシン「ほりまる」は、栄JCTから回転立坑を折り返したところ。のべ3.4kmの半分が終わりました。

 国土交通省が担当する「横浜湘南道路」工区(藤沢〜栄)では、2024年1月現在、シールドマシン1号機は藤沢の折り返し地点で、今も停止中。長い中断を起こした損傷の修復がまだ終わっていません。2号機は、1号機を追いかけるように、2023年6月に栄から掘削開始し、約1.6km掘り進んだところです。

 2号機が残り1.5kmほど進めば、1号機の発進地点まで到達。片道約5.4kmのトンネルの「2本のうち1本」の掘削が終わることとなります。

 開通予定が明らかになるのは、損傷停止している1号機がいつ復活し、いつ掘削再開して栄方面へ折り返していけるかにかかってくるでしょう。