阿部巨人 スモールベースボールからの脱却か 23安打18得点の猛攻の裏にあった「指揮官の言葉」
阿部監督のメッセージが選手を動かした(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext
巨人が歴史的な打線のつながりでロッテに大勝した。
巨人は6月4日に行われたロッテ戦(東京ドーム)に18−2の大勝、NPB(日本野球機構)新記録となる1イニング12単打の記録を打ち立て、交流戦首位タイに浮上した。
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歴史的イニングの始まりは3回先頭、エリエ・ヘルナンデスのヒットから始まった。チーム合流後、快進撃を続ける助っ人が左前打を放ったことから、吉川尚輝、岡本和真、坂本勇人、立岡宗一郎、岸田行倫、泉口友汰、山崎伊織、丸佳浩とオール単打で連なった。この回打者15人11得点のビッグイニングでロッテを押し切った。
9者連続安打は伝説の1996年7月9日。札幌円山球場で行われた広島戦以来となる球団タイ記録となった。同年は首位と最大11.5ゲーム差からひっくり返した「メークドラマ」の年、この9連打が契機となったこともよく知られている。
中継(BS日テレ)の試合後インタビューで阿部慎之助監督も「よく打つなと思って見てました」と思わず笑顔。
一時は得点力不足にあえいでいたチームが蘇った。苦しむ野手の背中を押したのも指揮官の言葉だったとされる。
2年連続Bクラスからの浮上を目指し、一発頼みのチームからの変貌を目指し、開幕前から自己犠牲の精神を掲げ、犠打や進塁打などで手堅く進める方式を取ってきた。
しかし前月28日のソフトバンク戦では今季8度目となる完封負けを喫するなど、打線に重苦しさが漂っていたのも事実。
そこで5月29日のソフトバンク戦(東京ドーム)前のミーティングで指揮官はナインに対し、「ブリブリ振っていこう」「超積極的にいこう」と促したという。4日付けの『スポーツ報知』のインタビューの中では、ミーティングでの声がけを明かすとともに選手への指示の理由に「打席内で割り切りができていないように見えたから」と話している。
スモールベースボールを意識するあまり、やや萎縮してしまっていた選手たちを解き放つことに成功。すると29日の試合では延長12回に吉川のサヨナラ打が飛び出し勝利、週末の西武戦でも打線がつながり、勝ち越しに結び付けた。
5月は半分以上の16試合で2得点以下と得点力不足に悩んでいたチームが、「指揮官の言葉」を契機に翌日のゲームから6点、4点、3点、7点、そしてこのゲームの18得点と脅威の打線に生まれかわったのだ。
ニュー打線においては新助っ人のヘルナンデス、育成から這い上がってきたベテラン立岡の貢献も光る。
これで交流戦順位はソフトバンク、楽天に並んで首位タイに浮上、今後の戦いぶりも注目を集めそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]