平畠氏が選出した5月のJ1月間ベストイレブン。(C)SOCCER DIGEST

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 芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。5月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。

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 消化試合数に少しばらつきはあるものの、連戦を含め試合数が多くなった5月のJ1。そんななか、町田と鹿島が5勝1分と負けなしで、しっかりと勝点を重ねた。

 そんな5月のJ1ベストイレブン。GKは町田の谷晃生。6試合で2失点と素晴らしい活躍。手にボールが吸い付くようなキャッチングは安定感がある。日本代表にも選ばれ、まだまだ伸びしろ十分なゴールキーパーだ。

 右サイドバックは広島の新井直人。15節・京都戦のハットトリックはインパクト十分。3点目の直接フリーキックも見事だったが、1点目の左からのクロスを左足で決めたゴールも素晴らしかった。少しバウンドしているボールを、利き足ではない左足でしっかりと捉えたシュートこそ、新井の技術力の高さを証明。やはり今シーズンは右サイドが面白い!

 左サイドバックは町田の林幸多郎。派手さはないが基本技術が高く、左右両足で遜色なくボールを蹴ることができる。ポジショニングも素晴らしく、町田のディフェンスラインには欠かせない存在に。攻守両面で大きく貢献している。
 
 センターバックは鹿島の植田直通とG大阪の中谷進之介。右コーナーキックから2試合連続ゴールの植田。対人の強さ、セットプレーでの決定力。まさに鹿島のセンターバックである。

 昨シーズンは61失点と守備で苦しんだG大阪に、守備の安定感を与えたのがGKの一森純とセンターバックの中谷。ディフェンスラインを統率し、前線にも好配給。5月の6試合で2失点と素晴らしい仕事ぶり。中谷はG大阪の3位浮上に大きな貢献を果たした。

 中盤は3枚で、アンカーの位置には鹿島の知念慶。ボランチ起用には驚いたが、さらに驚いたのはスタッツ。インターセプト数、クリア数、タックル数など数々の守備的な項目で上位に名を連ねている。今後もボランチ知念に大いに注目したい。

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 インサイドハーフには、神戸の山口蛍と浦和の安居海渡。11節・名古屋戦のゴールはザ・山口蛍。ボックスの外あたりで足を振る体勢に入ると、決まりそうな雰囲気が出る。身体を横に倒しながらのボレーシュートではなく、身体を立てたまま直立した体勢で浮いたボールをミートする技術に秀でている。守備では絶妙にスペースを埋めて扇原貴宏をサポートし、球際の強度もすこぶる高い。山口は常に高いパフォーマンスを維持している。

 開幕当初は出番がほとんどなかったが、チーム内で序列を上げ、浦和の中盤に欠かせなくなっているのが安居。ミスが少なく、運動量豊富でプレーに安定感がある。圧巻だったのが、サミュエル・グスタフソン不在時にアンカー起用された時のプレーぶり。

 無尽蔵の運動量で守備では危険の芽を摘み、セカンドボールを回収し、攻撃時は多くのプレーで味方をサポート。試合終了まで攻守両面で多くのプレーに関わり続けた。サイドに個性的な選手が多い浦和だが、中央の安居の働きぶりが欠かせないものになっている。

 ワントップには東京ヴェルディの木村勇大。6試合で4ゴールとしっかり数字を残した。染野唯月との2トップは迫力十分で、2トップだけで攻撃を完遂させることができる。トータル8ゴールで得点ランキングでも4位。二桁ゴールも近い。
 
 左のウイング的なポジションにG大阪の宇佐美貴史。攻撃時は自身のセンスを惜しげもなく披露し、守備時は強い責任感から身を投げ出す。自由と責任感のバランスが取れていて、高いレベルに昇華している。ダービーでのゴール、FC東京戦での自陣に戻って俵積田晃太のドリブルを止めたプレー。勝利への渇望、ガンバを牽引する責任感。今シーズンの宇佐美のプレーには凄みがある。

 右の攻撃的なポジションに配置させてもらったが、トップ下で現在輝きを放ち、5月のMVPに選出したのは鹿島の名古新太郎。トップの鈴木優磨、右の師岡柊生、左の仲間隼人と有機的に絡み、鹿島の攻撃をスムーズかつ迫力あるものにしたのが、トップ下の名古だ。

 タイミング良く顔を出して味方をサポートするだけでなく、相手のディフェンスラインの裏へのランニングでも攻撃を牽引。キックの精度も高く、4ゴール・3アシスト。168センチと小柄な名古だが、鹿島の攻撃陣の中で大きな輝きを放っている。

取材・文●平畠啓史