ゲーミングノートにこれ以上求めるものはない。Lenovo Legion Pro 7i 16レビュー
必要なもの、欲しいもの全部盛り。
Lenovo(レノボ)のゲーミングノートPC「Legion Pro 7i Gen 9」に触ってみました。
Lenovo Legion Pro 7i Gen 9
これは何?:レノボ最新の16インチゲーミングノートPC
価格:税込35万4840円(米市場は3,220ドル)〜
好きなところ:全体的な処理性能、使い心地のいいキーボード、ノート自体カッチリ頑丈、テンキーなどの尾ひれ羽ひれはあるけど、全体の質は落ちていない
好きじゃないところ:月並みなディスプレイ(明るさと処理速度はいい)、軽さと携帯性。業界No.1とは呼べない
夢のゲーミングノートPCに一番近い
Lenovo Legion Pro 7iは何をやらせてもそつなくこなす優等生でありながら、サプライズもあるノート。あらゆるツボを押さえています。
やや重くてかさばるけど、第9世代になって中身もますます充実してきました。CPUはハイエンドのIntel製チップ。GPUもRTX 4090まで選べます。
ディスプレイもなかなかです。値段の割に少しふつう過ぎる感じはするけど、家でゲームするときだけじゃなく、仕事でも使えそうだし、とにかくゲーミングノートでやりたいこと、必要なことがほぼ全部できて、やりすぎといってもいいほどです。
たとえばテンキー。ノートPCでテンキー使う人ってそんなに多くないと思うのだけど、それもついてます。ないのはSDカード用スロットぐらい。こんだけ全部盛りなのになぜ?と逆にビックリです。
「機能、パワー、バッテリー、携帯性のすべてを兼ね備えた夢のゲーミングノート」にいろんな意味ですごく近い製品ですね。
ちなみにレビューで使用したモデルはIntel Core i9-14400HX、Nvidia GeForce RTX 4080、GDDR6 VRAM(グラフィクスメモリ)12GBのパワーマシン。想像したほどデカくはなかったけど、画面の後ろが少しはみ出るので、バックパックのノートPCホルダーには入りません。
何時間ゲームしても過熱はありませんでした。ただ性能優先モードにするとファンの音がうるさくて、ボーイングの旅客機が窓の外で待機しているかのようでした。これは高い処理能力のものを選ぶほど顕著ですが、どの構成を選んでも耐えられないほどではないのが、Legion Pro 7iのいいところかと。
キーボードは◎。LCDの液晶も明るくて◎。リフレッシュレートは240Hzまで対応しているので、フレームレートを「プロ」レベルの最大値にすることが要求されるタイトルもプレイできます。
後ろから見ると派手すぎない印象だけど、カバーを開くと、そこに現れるのは輝くRGBバックライトのフルキーボード。光のエフェクトは自分で設定・カスタマイズして遊べますよ。
ライバルよりもお買い得
スペック的に近いので、 つい比べてしまうのはRazer Blade 16ですね。Razerは画面がOLEDで、リフレッシュレートはLegion Pro 7iと同じ240Hz、価格は少し高くてRTX 4080搭載・ストレージ1TBで4,000ドル(国内価格約54万円)もします。その点、Legion Pro 7iは1TBのSSDが2枚入って3,220ドル(国内価格35万4860円)。どちらもよく割引キャンペーンはやっているのでもっと安く入手可能かもしれませんが、希望小売価格で比べると断然Legionのほうがお得です。
16インチのゲーミングノートでは、もっと持ち運びやすいAlienware m16 R2も有力候補でしょうね。あちらは充分なリフレッシュレートでありながら2,000ドル(国内価格24万9980円)切る価格ですし。
もう少し大きい18インチで探している人は、Alienwareの18インチモデルとか、近日発売のRazer Blade 18待ちかもしれませんが、16インチのLegion Pro 7iの万能っぷりを見たあとでは、あんまり18インチに執着する必要性も感じないんじゃ…。PCをデスクに置きっぱなしで使う人は別ですけどねー。
もっとも、16インチのLegion Pro 7iも14インチのROG Zephyrus G14と比べちゃうとデカく感じますし、どこでも肌身離さず持ち歩きたいサイズ感ではなかったりしますけどね。
とはいえLegion Pro 7iは必須項目すべてが◎なので、ここまでそろってると、おすすめしないわけにはいきません。この価格帯ではおそらくベストと言っていいでしょう。なにしろ使用感が最高なので、細かいところには目をつぶってしまうのです。
Lenovo Legion Pro 7iのビルドクオリティ:温度も見た目もクール
閉じた状態ではほぼゲーミングノートとはわかりません。ゲーミングっぽさを感じるのは、6角形の排気口ぐらいです。ディーゼルエンジン的雰囲気を漂わせているんですが、それも近くで見ないとわからないし。あんまり目立ったの好きじゃない人は、排気口とRGBライティングがアウェイ要因になるかも。
でもすごく抑えてるし、付属のLenovo Vantageアプリを使ってRGBをOFFにすれば、喫茶店でも普通のノートPCで通っちゃいます。サーマルモード切り替えみたいに、ライティングもショートカットでOFFにできれば便利なのだけど(とか書いてる僕自身は、地味じゃないキーボードで人に見られてもまったく平気なタイプ)。
このLenovo Spectrumのオプションは、これまで僕が見てきたほかのゲーミングノートよりライティングモードの種類は豊富です。僕が好きなのはタスクの内容に合わせて光が変わる「Type lighting」や「Audio ripple」。
キーボードは本当によくできています。テンキーに面積とられた割には、充分大きくて、僕の中サイズの指でもガシガシ打てました。キーは重めで、キーストロークは1.5mm。ゲームも入力も許容範囲かと。アルミは少し凹んでるけど、指が沈み込むほどではありません。
ノートPC自体はカッチリした造りです。トラックパッドは特筆する点もなくて、何回かパームリジェクション(手のひらが当たるとタッチと誤認してしまうのを防ぐ機能)がうまく機能しないこともありましたが、それでもRazer Bladeほど悪くはなかったです。
決して重くはないけど、背中に背負っていると重さは感じます。重量は5.77パウンド(約2,617g)あるので、片手で持つのはムリ。膝に置いて使ってると、やや厚い感じもします。この寸法で薄さ0.86インチ(21.8mm)なら充分スリムなんだけど、後ろのシェルフが出っ張るので、奥行きは10.32インチ(262.1mm)。かばんに収めるのがひと苦労でした。この辺りはゲーミングノートと仕事用ノートの違いを感じます。
ゲーム中は、ファン回転速度を最大値にする限りにおいては熱暴走とかはありません。キーボードに関しては、「WASD」のキーの辺りで華氏98度(摂氏36.7℃)、サイドの画面に一番近い通気口で華氏115〜125度(摂氏46.1〜51.7℃)を観測しました。デスクが温まったけど、処理性能に影響はありませんでした。
総じて、Legionはどんな環境でも安定のパフォーマンスです。頼れる気がします。
Lenovo Legion Pro 7iのバッテリー持ち:万能だけど長持ちじゃない
「やりたいゲームができない」ことは、Legion Pro使用期間中、一度もありませんでした。60FPS以上の高設定という条件付きではありますが。RTX 4080なら当然予想の圏内ですが、インテルHXシリーズのCPUでも悪くありません。
GeekbenchとCinebenchのスコアは期待通り。Geekbench 6はシングルコアで2800、マルチコアで16860という結果。Cinebenchも同様でした。Core i9-14400HXはレンダリングも完ぺきにこなせます。 Geekbenchのテストでは、BMWの画像1枚のレンダリングにかかる時間を計測したのですが、Legionは約1分40秒でした。MacBook Pro 16のM3 Max搭載モデルに迫る好成績です。
これだけのスペックなので、プレイに支障を来たすゲームはごく少数です。『Horizon Zero Dawn』などのタイトルは最高の設定で簡単に100FPS超え、でしょう。試しに『Cyberpunk 2077』でベンチマークしてみたら、最高の設定で100FPS近くまで上がりました。レイトレーシング機能をONにしたら50ちょいまで落ち込んでしまったけど。ほかの『Suicide Squad Kill the Justice League』や『Warhammer 40K: Darktide』はノープロブレムです。設定を最高に押し上げてもフレームレートは90を余裕で超えてました。
もちろんLegionの処理性能を常時MAXにする必要はありません、これはゲームでも同じ。Lenovo Vantageには「GPU Working Mode」というオプションも付属しています。これは、i9のGPUを使うかRTX 4080を使うか、GPUのモードを切り替えられるというもの。バッテリーをなるべく長く使いたいならONにしておくといいでしょう。
毎日メインで使うPCにするには、サイズ、重さ、あとバッテリーがネックですね。普通に使うと4時間も持たなくて、省電モードにするか充電するよう催促がきます。省電モードに切り替えて、要らない機能をOFFにして、画面を暗くしても、ランチ休憩の前に一度は電源探さなきゃならない感じでした。
まあ、標準でついてくる330Wのバッテリーは急速充電対応なのがせめてもの救いです。40分ぐらいで100%充電できました。これは後ろについてる専用のポートで行ないます。USB-Cの充電も最大135Wまで対応していますが、そこまで早くはできないと思ったほうがよさそうです。
Lenovo Legion Pro 7iの画面:高速で明るいけど、やや新味に欠ける
Legion Proの16インチの画面はIPS LCD。解像度は2,560×1,600。このサイズとしては充分だけど、もっとも美しい画面のゲーミングPCとは呼べません。でも明るさはあります。Lenovoの公称では「ピーク輝度500ニト」ですが、実測してみたらフルスクリーンで520ニトという結果でした。Dolby Visionサポートだし、G-Sync互換だし、その他もろもろあってこの輝度なら立派なものです。
本年モデル最大のセールスポイントは「240Hzの画面」ですが、そもそもそのリフレッシュレートになるまで設定下げて本当にいいの?って話もありますよね。そこまでリフレッシュレートは高くなくていいからキレイな画面でプレイしたいって気持ちもあるわけで。でもまあ、画質にこだわってOLED選んじゃうと何百ドルも高くなっちゃうので、ここは我慢かな。予算内で買えるものであればなんだってありがたいです。
あ、ちなみにこの画面。90度いっぱい倒せます。ベゼルは極細ってほどでもないけど、このサイズのノートではこんなものかな。上部のWebカメラはFHD 1080p。うちのオフィスの蛍光灯だと少し粗く映っちゃうけど充分です。OFFボタンは横についてますが、シャッターは特になし。カバー開閉のノッチがそのままカメラになってる構造なので、そうなっちゃったのかもしれません。
Legion Pro 7iは気にいるポイントがいっぱい
Legion Pro 7iを試用中は、あまりにも使い勝手がいいので、意識的に粗探しに励んだりもしました。でもマジで不満らしい不満もなくて、無茶苦茶いいの。機能満載で、なんでもできちゃう。
もちろんゲーミングPCはみなそうだけど、Legion Pro 7iも妥協点はあります。単に弱点をうまくカバーしてるってだけで。たとえばバッテリー持ち。リフレッシュレート240Hzだけど月並みな画面。無用の長物(テンキーなど)。
ですが、Legion 7i並みのパワーを有するフルキーボードのノートPCを探し求めてる人はきっといるはずです。「Razer Bladeレベルの処理性能が欲しいのにRazerは予算オーバー」という人にとっては、Legion Pro 7iがちょうどいい着地点。「MacじゃないオールアラウンドなPCでベストなものが欲しい」という人にとってもね。これ以上のものはそう見つからないと思います。
目的別に選んでみた。現時点で手に入れるべきゲーミングノートはこれ