AppleのM4チップを搭載し、iPadシリーズとして初めてOLED(有機EL)ディスプレイを採用したiPad Proが、2024年5月15日にリリースされます。「iPod nanoを超えてApple製品史上最薄」とアピールされ、非常にスリムかつ軽量でありながら、前世代よりもパフォーマンスが大きく向上したというM4搭載iPad Proについて、海外のさまざまなメディアがすでにレビューを公開しているのでまとめてみました。

Apple iPad Pro (2024) review: the best tablet money can buy - The Verge

https://www.theverge.com/24155440/apple-ipad-pro-2024-review

M4 iPad Pro review: Well, now you’re just showing off | Ars Technica

https://arstechnica.com/gadgets/2024/05/m4-ipad-pro-review-well-now-youre-just-showing-off/

M4 iPad Pro review: The best tablet in the world gets better, but by how much?

https://www.xda-developers.com/m4-ipad-pro-review/

Apple iPad Pro (2024) Review in Progress: Future Tethered to the Past | PetaPixel

https://petapixel.com/2024/05/13/apple-ipad-pro-2024-review-in-progress-future-tethered-to-the-past/

IT系ニュースサイトのThe VergeはM4搭載iPad Proのいいところについて「ゴージャスな画面」「薄く軽く、持ちやすくなったところ」「横持ちが標準となったフロントカメラの位置」「超高速なパフォーマンス」を挙げ、悪いところについては「フルセットアップだと高価になるところ」「iPadOSがハードウェアに追い付いていないところ」を挙げています。

M4搭載iPad Proの大きな特徴の1つが、iPadシリーズとして初めてOLEDディスプレイを搭載したことです。Appleは十分なディスプレイ輝度を実現するため、2枚のOLEDを組み合わせる「タンデムOLEDテクノロジー」を採用したUltra Retina XDRディスプレイを開発しました。The Vergeは、このUltra Retina XDRディスプレイを「ばかげた名前ですが、とにかく美しく動作します。OLEDが各ピクセルを個別に制御するため、黒色はより豊かで、映像を再生すると上下の余白がベゼルと一体化し、写真がよりダイナミックに見えます」と評価しています。ただし、OLEDディスプレイは周囲のぎらつきや反射を拾ってしまうため、屋外で使用する時は通常よりも明るさを上げて使わなければならなかったそうです。



また、M4搭載iPad Proの13インチモデルは、これまでの12.9インチモデルよりも軽くて薄く、手に持って使いやすくなっているとThe Vergeは指摘。さらにフロントカメラがiPad Proの長辺中央に配置したことで、これまでよりもはるかに便利になったと述べています。



ただし、iPad Proをフル活用するためにはやはりMagic Keyboardとセットが望ましいとのこと。The Vergeは新しく発表されたM4搭載iPad Pro用のMagic KeyboardやApple Pencil Proを評価していますが、必需品としてiPad Proと合わせて買うとなると予算が膨らんでしまう部分がネックだとしています。また、AIの進歩によってiPad Proが単なるiPadではない優れたデバイスになると予想していますが、記事作成時点ではソフトウェア面が追い付いておらず、まだその魅力が発揮されていないだろうと評価しました。



ArsTechnicaも「映画鑑賞やコンテンツ編集用のポータブルスクリーンをお探しなら、これ以上に優れたものはありません。タブレットは画面がすべてだという格言がありますが、それが本当であれば、これは史上最高のタブレットです」と、M4搭載iPad Proをベタ褒めしています。

パフォーマンスについて、ArsTechnicaが独自にベンチマークテストを行ったところ、M2が搭載されていた前世代のiPad Proと比較してGPUパフォーマンスが約28%、NPUパフォーマンスが約20%向上していたとのこと。また、MacBook Airに搭載されているM3と比較しても、CPUで約20%、GPUで約13%、NPUで約85のパフォーマンス向上が見られたと報告しています。



Ars TechnicaはMagic Keyboardについて、従来のMagic Keyboardと比べるとトラックパッドが大きくなった上に触覚フィードバックが追加され、改善されたとしていますが、それでもMacBookほど快適ではないと評価しています。また、iPadOSについても、「スムーズに使える消費者向けプラットフォームと、生産性向上のためのプラットフォームとの中間に位置します」と述べ、中途半端な出来だという評価を下しました。



IT関連ニュースフォーラムであるXDA-Developersは、M4搭載iPad Proの1TBモデル・2TBモデルがオプションで選択できるNano-textureガラスを高く評価していますが、「iPad ProがOLEDディスプレイになったのは歓迎すべきことですが、iPhone XでiPhoneがLCDディスプレイからOLEDディスプレイに切り替わったときほど、その変化は顕著ではありません」とコメントしています。

しかし、M4チップの性能については、XDA-Developersは「(競合する)Snapdragon X Eliteはまだ現実世界で利用できず、M4は現時点で世界で最も強力かつ効率的なチップであると主張できます」と評価しています。特にM4によって消費電力パフォーマンスが向上しており、過去のiPad Proよりもバッテリー寿命が長くなっていると指摘しました。

また、M4搭載iPad Proの背面カメラについては、前モデルには搭載されていた超広角カメラがなくなったことに触れ、「世界の歴史の中で、iPad Proを屋外に持ち出して広大な風景写真を撮影した人がいるでしょうか?超広角カメラはiPadには常に無意味なものでした」と述べ、Appleの判断を肯定しています。



さらにXDA-Developersは、他メディアでは微妙だと評価されているiPadOSについて、近年はアップデートを重ねてきてそこまで悪いものではなくなってきていると述べ、特にiPadOSのファイルシステムやマルチタスク時のパフォーマンスは向上していると評価しています。最終的に、XDA-Developersは「M2搭載iPad Proを所有している場合、あるいはポータブルなコンピューティングパワーを必要とする生活を送っていない場合、もしくはiPadやiPad Airをすでに所持していてそのパフォーマンスに満足している場合は、M4搭載iPad Proを買う必要はありません」と論じています。

デジタルカメラ関連のニュースサイトであるPetaPixelは、Apple Pencil Proのエクスペリエンスを高く評価しています。PetaPixelの記者は「第1世代のApple Pencilは本物のペンで紙に書く体験とはかけ離れていると感じたので、すぐに使わなくなってしまった」そうですが、Apple Pencil Proの体験は完成されたものであるように感じたと述べています。



特にApple Pencil Proで追加された「スクイーズ」「バレルロール」「触覚フィードバック」といった機能は直感的かつ簡単で、数分間使っただけで従来のダブルタップよりも手になじんだとのこと。PetaPixelは「Apple Pencil ProがiPad Proにタッチすると遅延なく筆記が行われるため、実際の筆記体験と区別がつきません」と評価しました。

ただし、PetaPixelはiPadOSについては「やれることに制限がないと主張するのは不誠実です。できることはたくさんありますが、最終的には壁にぶつかります」と述べ、M4搭載iPad Proの欠点の1つに挙げています。その上で、PetaPixelは1カ月間すべての作業をすべてM4搭載iPad Proで行うことで、iPadOSができることの限界を推し量る予定だと述べました。



◆M4チップ搭載iPad Proについてレビューして欲しい点を教えて!

GIGAZINE編集部でもiPad Proを購入したので、近日中にレビュー記事を公開予定です。「こうするとどうなるかやってみて!」「こういうことできる?」「こんな時どうなる?」など実際に使うからこそ試して欲しいポイントを以下のリンク先から教えてください〜。他の誰かと内容が重なってもOK、むしろ多ければ多いほど「やはりこういう点が気になるのだな〜」というのがわかるので助かるのです。そして次のレビュー記事作成に反映されてお役立ち!

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