角田裕毅は初の中国GPを「ユニークなサーキット」と分析 3戦連続のポイント獲得に向けて「鈴鹿よりも期待できる」
F1サーカスは5年ぶりの開催となる中国・上海にやってきた。F1ブームが到来し、中国人初のF1ドライバー周冠宇(ジョウ・グアンユー/ステーク)が初めての母国グランプリを迎えるだけに、国内の期待値も高まっている。
2週間前に地元・日本で入賞を果たした角田裕毅(RB)にとっても、上海を走るのは初めての経験になる。この3戦で連続してQ3進出、2戦連続のポイント獲得と好調なだけに、自信を持っているようだ。
角田裕毅は初めての中国GPに大きな期待を寄せている photo by BOOZY
「かなりユニークなサーキットで、特にターン1〜2はかなり長い右コーナーから左に切り返すという特殊なコーナーですね。なので決勝では、タイヤマネジメントがカギになってくると思います。
間違いなく僕らのクルマは悪くないので、うまくまとめ上げられればと思います。ここ数戦はリズムもよくて調子がいいですから、楽観的ではあります。鈴鹿よりもここ(上海)のほうがマシン的にはいいパフォーマンスを発揮してくれるのではないかと期待しています」
僚友ダニエル・リカルドも、今回は新造モノコックに交換して、マシンに対する不信感を払拭する。すでに鈴鹿の予選で満足のいく走りができていただけに、技術的な理由というよりは精神的な理由のほうが大きい。
「今年は僕が苦戦していることもあって、ずっと『シャシーを交換するべきだ』と言ってきた。だけど、もともとここで新造モノコックを投入する計画だったことも確かなんだ。
僕としてはシーズン5戦目という早い段階で交換したかったから、新しいモノコックが完成したら真っ先に手を上げて、それを使わせてもらうつもりだった。すぐに感触を試したかったし、裕毅は自分のマシンに満足していたからね。
これで(問題がないか確認すべきだと感じた)チェックリストに載っていたリクエストをすべてこなすことができた。だから安心しているよ」(リカルド)
角田は初の上海だが、リカルドは2018年に優勝も経験した得意意識のあるサーキットだ。スプリント週末でフリー走行が1回しかないなかで、角田にとってもリカルドの経験は役に立つ。
【今シーズン初のスプリント週末は大忙し?】両ドライバーともに入賞圏を狙えるという前向きな姿勢なのは、マシン総合力が問われる鈴鹿で予選10位・11位を獲得したということと、それに加えて、鈴鹿に持ち込んだフロアのアップデートが中低速コーナーの多い上海ではさらに効果を発揮するという期待感もある。
レッドブルパワートレインズにパワーユニットを供給するホンダの現場オペレーションを統括する立場であり、RB側の責任者を務める折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネジャーは、RBチーム内の雰囲気をこう語る。
「連続でポイントを獲れているので、チーム内もすごくいい雰囲気です。前回投入したフロアのアップデートも低速コーナーで効果を発揮するということで、鈴鹿よりも今回のほうが期待できるんじゃないかという会話もありました。いい結果が出せるんじゃないかという雰囲気になっていますね」
この週末は今シーズン初のスプリントが行なわれ、フリー走行は金曜60分の1回しかない。その難しさに加えて、今年はスケジュールが変更された影響もある。
昨年まで、金曜午後の予選以降はセットアップを変更することができなかった。しかし今年は、金曜午後にスプリント予選が行なわれたのち、土曜午前のスプリントレースはそのままのセットアップで臨むことになるが、土曜午後の予選は日曜の決勝に向けたセットアップ変更が許される。
つまり、土曜午前のスプリントレースから土曜午後の予選までの3時間半は、慌ただしくデータ解析とセットアップの煮詰め直しをしなければならない。
金曜フリー走行後はスプリント予選に向けてセットアップの見直し作業、金曜夜はスプリント予選のアタックランデータを解析し、予選・決勝に向けた準備。そして土曜午前のスプリントレース後には最終的なセットアップ変更作業──。
今年の中国GPは、チームにとってかなり忙しい週末になりそうだ。
【RBはダブル入賞を視野に入れるほど自信あり】折原トラックサイドゼネラルマネジャーは語る。
「土曜午前のスプリントでロングランのデータは収集できるわけですが、金曜午前のFP1とは路面コンディションもけっこう違ってくると思うので、それに対してスプリントで得られたデータを予選・決勝に向けて反映していくというところが大変だと思います。車体側のセットアップも変えてくると思うので、そこに対して我々も合わせ込んでいかなければなりませんしね」
しかし、大変だからこそ、そこでライバルに対して差を生み出せるチャンスもある。
「その間でどれだけアジャストして向上できるか、というのが大きいと思います。特に中国は久しぶりの開催なので、イニシャルのデータを外すこともあると思うので、それを予選に向けてどうアジャストしていけるかが問われると思います」
そういった面も含めて、RBはダブル入賞を視野に入れるほど自信を持っている。
路面が昨年のうちに再舗装されていたり、バンプ対策がなされていたり、サーキットはかなり特殊な状況にあるようだ。こうした情報も事前にはなく、現地入りしてからの対応を各チームは迫られている。そんななかで行なわれる中国GPは、チーム力が問われそうだ。