たまに見る「見物渋滞」ってどんなもの? どういう状況で発生する? 普通の渋滞との違いとは
ドライバー「自身の不注意」が作り出す渋滞
クルマを運転していると避けられないのが渋滞ですが、ときどき交通情報などで渋滞の原因として耳にするのが「見物(けんぶつ)渋滞」です。
一体どのような渋滞なのでしょうか。
NEXCO東日本のデータによると、渋滞の最も多い原因は「交通集中」によるもので、大型連休など交通量が多い時期や時間帯のほか、下り坂と登り坂が連続し谷状になった「サグ部」と言われる渋滞の発生しやすいポイントが存在します。
【画像】「えっ…!」これが高速で「うっかり違反となる行為」です!(25枚)
ほかにも、進行方向の先で発生した事故が原因となって発生する「事故渋滞」や工事の影響で生じる「工事渋滞」に遭遇することもあります。
一方で、交通量が多いわけでもなく、前方にクルマの流れを妨げる事象がないにも関わらず渋滞が発生することがありますが、その原因のひとつが見物渋滞です。
これは、その名の通りドライバーが何かを「見物」することが原因となって発生する渋滞のことで、きっかけとなるのは“普段見慣れない光景”です。
例えば、対向車線で大きな事故が発生している時に、事故の様子が気になって目を向けてしまうという人もいるでしょう。
この時、現場を見ようとして無意識にアクセルを緩めてしまったり、同様の行動を前方のクルマがとった場合、後続車が減速を強いられ車間が詰まったことによりブレーキを踏むことがあります。
本来であれば問題なく流れる程度の交通量であっても、それぞれのクルマのドライバーが交通事故を見物してしまい、少しずつスピードが落ちていくことで渋滞が発生してしまうのです。
見物渋滞の原因は対向車線の事故以外にも、さまざまなものがあります。
一般道では桜や紅葉、イルミネーション、花火大会などの季節限定の風景やイベント、高速道路上では立ち入った人や犬などの動物といった、通常見かけるはずのない物が存在する時に、そちらを気にして目を向けることが考えられます。
見物によるスピードの低下は、意図的にブレーキを踏んだ時だけでなく、見物に気を取られて無意識にアクセルを緩めてしまうことによって、後続のクルマに徐々に連鎖していくことがあります。
これはサグ部で発生する渋滞と同じように、最初のクルマのわずかな減速が原因で、後続のクルマの車間距離が徐々に詰まってしまい、やがてブレーキを踏む必要が出てきて、最終的には停止するほど速度が低下していくのです。
一方で見物渋滞では、通行する道路自体に事故や工事などが発生しているわけではないため、渋滞を抜けても原因がわからないことがあるかもしれません。
そのため、想定外に前のクルマが減速して車間距離が詰まってしまったり、場合によっては見物渋滞によって追突事故が発生することもあります。
こうしたことから、普段見ない光景を注視する脇見運転をしないことはもちろん、日頃から車間距離をしっかりと確保することが大切です。
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運転中に対向車線の事故や、普段と違う周囲の様子が気になってしまうことがありますが、意図せずスピードが落ちてしまい「見物渋滞」の原因となってしまうだけでなく、脇見運転によって自ら事故を起こしてしまう危険があります。
高速道路などでは道路標示板で「見物渋滞」「脇見渋滞」という渋滞情報が表示されることもあるため、表示を参考にしつつ注意しながら走行しましょう。