舞台「新生!熱血ブラバン少女。」に出演する元HKT48森保まどか

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博多座25周年記念作品の舞台「新生!熱血ブラバン少女。」に出演する森保まどかさん。2024年4月6日(土)から21日(日)まで、福岡「博多座」、4月26日(金)から28日(日)まで大阪「新歌舞伎座」にて上演される。主演は吹奏楽部熱血コーチ役を演じる博多華丸さん、生徒役の高校生で吹奏楽部の部員を演じる彼女に、出演にあたっての意気込みを聞いた。

【写真】舞台「新生!熱血ブラバン少女。」に出演する元HKT48の森保まどかが意気込みを語った

■「華丸さんから『熱血して』と本当に何回も言われますね(笑)。“熱血”がこの舞台のキーワードです!」

――舞台「新生!熱血ブラバン少女。」に出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

出演が決まったのはけっこう前で、去年の夏ごろにこの話をいただいたんですけど、具体的な役柄は全然決まってなくて、マネージャーさんから、「森保、まだ制服いける?」とだけ言われて(笑)。そういう聞かれ方をされたので、何のことかと思って詳しく話を聞いたら今回の舞台のことでした。

舞台「くちびるに歌を」(2022年12月上演)では先生役を演じさせていただきました。先生役から、今回はまさかの生徒役と移り変わりがちょっと早くて心の準備が必要だなと思いながら、でも大変ありがたいお話だと思い、お願いしますと出演のお返事をさせていただきました。

――高校生役ですから衣装は制服ですよね。

おもいっきり制服ですので髪の毛もちょっと黒く染めました。生徒役みんなで固まって行動することが多くて、どんどん仲良くなっています。黒染めしてる子とか髪の毛を短く切ったりする子も多いので、みんなで似合ってるね、若々しく見えるね、かわいいね、みたいな話をしながら盛り上がってます。

――久しぶりに制服を着てみていかがでしたか。

朗読劇「シアター」(2023年9月上演)に出演した際の撮影で、制服を1日だけ着たりはしたのですが、約1カ月とこんなに長い間、制服を着ることもなかったからちょっとドキドキです。

――「ピアノで芸大受験を目指す!」という前情報もありますが、演じる手塚杏はどんな役柄なのでしょうか。

性格は一見勝ち気でプライドが高く、少し自分のカラーを強く持っているような子です。だけど親しい人の前ではすごく甘えん坊で等身大の高校生の感じもあって、すごくギャップがある子だなと思います。

私も含めてメインの生徒役の子は5人で、みんなわりと素直でまっすぐな性格の子が多いのですが、杏だけちょっと性格が違っていて個性を出しつつ、でもみんなでまとまって熱血しなきゃいけないシーンもあるので、そこのバランスをどう演じるかが今一番の課題です。

ピアノを幼少期からずっとやっていて、芸大受験を目指すぐらいの英才教育を受けている役柄なので、音楽に対して熱心に打ち込んでいて、音楽のことは誰よりもわかっているというプライドがある子が、吹奏楽のホルンという新しい楽器にチャレンジして、どう変化していくのかというところをぜひ見てほしいと思います。

――演じるうえで意識していることはありますか。

意識していることは、最初はとにかくフレッシュに若々しく、オーバーというぐらいのリアクションで稽古していました。そこに自分の役柄の色をつけていく、書き足していくフェーズに入っているので、今はその杏ちゃんの個性の出し方を重視してやっています。みんなでやるグループ芝居のところはこれぞ演劇という感じですごく若々しくエネルギッシュにやっていますし、自分の役柄を繊細に表現してるところもありますので、どちらの杏も楽しんでもらえると思います

――吹奏楽コーチ役の主演の博多華丸さんとの裏話はありますか。

華丸さんはとても優しい方です。稽古中はわりと寡黙で、自分が演じないときも1回も携帯を触らずに、お芝居をずっと見てくださっています。そして打ち上げの際にフィードバックをくれるのですが、打ち上げのときは全然寡黙ではなく、私たちに舞台のことを沢山お話していただき、とても勉強になります。

やっぱりあのシーンはそうですよねみたいな、そういう答え合わせをすぐ傍でできるのが贅沢だと思います。華丸さんの視点ではそう見えているのだと気づいたり、フィードバックを取り入れて次の日に稽古したら、「あそこよくなっていたじゃん」と褒めてくれたり、「今日のほうがいいね」って、一人ひとりをきちんと見てくださっているので、緊張感の中でもとてもうれしい空間でした。

――博多華丸さんからいただいた言葉の中で印象的だった言葉はありますか。

「君たちが主役なんだから」とずっと伝えてくれます。それがとても心強いですね。大人たちが引っ張るのではなく、学生役のメインの5人の熱さに引っ張られて、「大人たちがどうにかこうにかして動いていくという感じのストーリーなんだから」と、華丸さんは座長でもありますが、「主役は君たちだよ」というのを何度も言ってくれるので、私たちも堂々とやっていいんだ!と強く背中を押されました。

――博多華丸さんから激励されるとどんどんやる気になってきますね。

はい。「熱血して」と本当に何回も言われますね(笑)。“熱血”がこの舞台のキーワードです!

――浅野ゆう子さんからはアドバイスはありましたか。

稽古場に向かう途中で浅野ゆう子さんと一緒になる機会がありました。浅野さんもずっと芝居を見てくださっていて、いつも通しで見ていただいていると感じてはいたのですが、私がメインのシーンでずっと引っかかってた動きとかを的確にアドバイスしてくれて、ここはどういう気持ちで座ったかとか、そういうことを細かく教えてくださり、とても勉強になります。しかも沢山褒めてくださるので自信につながりました。

浅野ゆう子さんはとても明るくてフランクな方でした。TVドラマ「大奥」を見ていましたとお伝えしたらオフショットを見せてくれて盛り上がったり、空き時間に一緒に稽古場の探検に行ったりしていただき、とても時間を共有させていただきました。

――森保さんといえばピアノですが、ピアノを弾くシーンもあるんですか。

あります!ピアノを弾くよっていうことだけをお伝えさせていいただきます。

――そして、生徒役として吹奏楽の楽器、ホルンを演奏されますが、演奏するのは初めてですよね?

もちろんホルンは演奏したことはなくて。しかも台本上でも出てくるのですけど、ホルンは世界一難しい楽器でギネスに登録されてるんです。いやもう本当あまり言ってないのですけど、昨年12月頃から月に一、二回ぐらい楽器だけの練習が始まり、今年2月ぐらいから本格的にもっと短いスパンで楽器練習をするスケジュールだったんですが、ちょっと諦めかけてしまって。あまりにも難しくて音が出ないから制作さんや音楽指導の先生に楽器を変えることはできないないでしょうかと一回お願いしてみたんです。

12月の段階ではみんなで見た目に合った楽器を選ぼうという軽い雰囲気で、台本も演奏する楽器もまだ決まっていたわけではなかったので、絶対にホルンじゃなくてもよかったのですけど、2月の時点ではすでに台本が上がってきていて。私がホルンを吹くことに意味があるというシーンが完全にできちゃって、ちょっともう無理ですという感じになってしまって(笑)。だったらもうやるしかないと思って、頑張っています!

■「実はひとりの役にここまで向き合うということが、恥ずかしながら初めてだったのです」

――挫折も乗り越えて、今はかなりホルンを吹けるようになっているんですね。

1オクターブのスケールは出せるようになりました。とんでもない高難易度の曲でなければ、なんとか演奏できます。ホルンってマウスピースが小さいのにベルが大きいのです。どうしてこんなに小さい穴から音を出せると思ったのだろうと不思議に感じながら頑張っています。

――練習するうちにコツがつかめてきたわけですね。

そうですね。ピアノをやっていて本当によかったなと思いました。譜面が読めなかったり、リズム感というところで苦戦してる子がたくさんいましたので、音楽稽古のときにその子たちを教えるというわけではないですけど、サポートしたり引っ張っていくこともありましたので、自分の負担もあるのですが、少しは役に立てているのかなという自信にもつながっています。音楽を人に教えるということ、感覚を言葉で伝えることはとても難しかったのですが、頼りにしてくれたことがとてもうれしかったですし、あらためてピアノをやっていてよかったなと思います。

逆に演技の面など舞台周りで、私がわからないことは、舞台経験が豊富な子に教えてもらいながらの関係性で、お互いに得意分野で助け合いながら稽古してます。

――森保さんがホルンを吹く様子が本当に楽しみです。

そうですね。頑張って吹きます。また舞台の演出的にホルンを持って走ったり、運ぶシーンもあるのですが、大きくて重いので持ち運びも大変でした。

――ホルンの練習は大変そうでしたけど、博多華丸さんや浅野ゆう子さんたちと一緒に稽古することでモチベーションも上がって、楽しい雰囲気の中で演じられてるということですね。

ベテランの方々ばかりなのに、皆さんがとにかく優しいですし、生徒役のみんなを持ち上げていきたいという想いが伝わってきますので、私たちも頑張らないとって思っています。

――今のお話を聞いていると、森保さんは着実に女優としての道を歩み始めていますね。

実はひとりの役にここまで向き合うということが、恥ずかしながら初めてだったのです。演じる方の育ってきた背景なども考えながら役づくりするということが、こんなに頭を使うことなのかと気づかされましたが、悩みながらも楽しんでいます。

――前回の「くちびるに歌を」の先生役もかなり素晴らしいと思いましたが、今回の生徒役はさらに気持ちが入って演じる姿が見られそうですね。

今回は自分と役柄の境遇が似ているところがたくさんあるのですが、実際の年齢と離れている高校生役だから、もっともっと演じる杏ちゃんのことを知りたいと思わないと役柄に近づけないと思っています。

――森保さんがHKT48で活動しているときも高校生だったので、そのときの気持ちをちょっと思い出したりもするんじゃないですか。

HKT48のときの気持ちを思い起こしています。あー尖っていたなって(笑)。杏ちゃんも尖っている役なので、感情が理解できる部分もあります。

――そこは似てるなと思って演じられているんですね。逆に違うところはありますか。

年齢はもちろん違いますし、弁護士の娘役なのですが、着ている私服が全然違いますね。リボンが付いたピンクでぶりぶりの衣装なので、どんな雰囲気なのかは、ぜひ舞台本番まで楽しみにしていてください!

――話は変わりますが、台詞はいつもどうやって覚えていますか?

アイドルのときの歌詞を覚えるみたいな感じの感覚と近いかも知れないです。次はこういう単語だったなみたいな感じで、わりと数式的な感じで覚えてるかもしれないです。相手との会話なので、「ああ確かに」というAさんの台詞のあとに自分がこれを説明するんだよなって覚えています。

台詞の中で核となるキーワードを覚えて、ちょっと違うニュアンスでやってみたりもしたので、単語の順番が違ったりしたこともありますが、また覚え直してみたいな形で何回も繰り返しながら練習しました。また相手役の台詞も含めて声に出してボイスメモに録音して覚えることもしました。

――森保さんの演技の見どころを教えてください。

まず、私の登場シーンがインパクトあるので注目してほしいです。これが森保まどかが演じる杏ちゃんだとすぐにわかってもらえると思います。杏ちゃんの性格というか立ち振る舞いみたいなものが伝わるはずです。

5人の生徒役は喜怒哀楽がしっかりしている感受性豊かな役柄なのですが、怒ったり泣いたりという部分の負の感情を私が担っているのかなっていうことを最近の稽古で演者さんたちと話し合いました。みんなが明るくて楽しくてまっすぐというところを担っているとしたら、私はそうじゃないところも少し描かれている部分があるので、そういう繊細な表現にも注目してほしいです。

どちらかというと笑顔でニコニコ明るくて猪突猛進という方が自分的にはやりやすいのですが、ただそうではない部分も出てくるからこそ、いろいろな感情の波がその舞台を観ていただく方にも生まれると思いますので、その辺も楽しみにしてください。

――最後にファンの方に向けてメッセージをお願いします。

こんなに長い期間、制服を着る役はもう多分最初で最後なんじゃないかなと思うぐらい、生徒役を頑張って演じます。私が学生役の中で2番目に年長組なのですが、その分稽古でも頑張ってみんなを引っ張ってきたという自負もありますので、頑張ったんだな、熱血しているなって思いながら、温かい目で見てくださったらすごくうれしいです。華丸さん演じるコーチや浅野さん演じる校長先生たちと同じ目線で、大人の皆さんは楽しんでもらえると思います。

逆に学生の皆さんなどの若い年齢層の方は、今自分たちが抱えている青春ならではの悩みやコンプレックスに対する葛藤だったりも舞台上で繰り広げられているので、私たち学生役に感情移入して楽しんでもらえたらうれしいです。

とにかく、本当に人間模様の表現ががすごいです。一人ひとりの役の個性が深く描かれていて、波乱万丈あり、笑いや涙だけでなく、さまざまな感情の起伏を楽しめる舞台になっていると思いますので、ぜひぜひ熱血している方も、熱血を忘れかけてるなという方にも観に来てほしいです。みなさん楽しみにしてください!

撮影・取材・文=野木原晃一