国連がAIに関する初の世界決議を全会一致で採択、個人情報の保護・AIのリスク監視など
2024年3月21日、国連総会がAIに関する初の世界決議を全会一致で採択しました。この決議は個人情報保護の促進、プライバシーポリシーの強化、AIのリスク監視を通じて人権を擁護するというもので、アメリカが提案して121カ国が賛同しました。
General Assembly adopts landmark resolution on artificial intelligence | UN News
Consensus Adoption of U.S.-Led Resolution on Artificial Intelligence by the United Nations General Assembly - United States Department of State
https://www.state.gov/consensus-adoption-of-u-s-led-resolution-on-artificial-intelligence-by-the-united-nations-general-assembly/
UN adopts first global artificial intelligence resolution | Reuters
https://www.reuters.com/technology/cybersecurity/un-adopts-first-global-artificial-intelligence-resolution-2024-03-21/
国連総会はすべての加盟国と関係者に対し、「国際人権法に従って運用することが不可能なAIシステム、あるいは人権の享受に不当なリスクをもたらすAIシステムの使用を控えるか中止する」ように求め、「人々がオフラインで持つ権利は、AIシステムのライフサイクル全体を含め、オンラインでも保護されなければならない」と報告書で論じました。
また、国連総会はすべての国や民間部門、市民社会、研究機関、メディアに対し、「安心安全かつ信頼できるAIの利用に関連する規制とガバナンスのアプローチと枠組みを開発し、支援すべき」としています。
今回採択された決議には法的な拘束力はありませんが、AIガバナンスに関する国際的な合意形成において重要な一歩となりえます。Microsoftのブラッド・スミス副会長兼社長は国連総会の決議を受けて「私たちは国連による包括的なAI決議案の採択を全面的に支持します。今回の合意はAIの倫理的かつ持続可能な開発のための国際的な道筋を確立するもので、AI技術がすべての人のニーズに応えることを確かなものとする重要な一歩となります」とコメントしました。
We fully support the @UN's adoption of the comprehensive AI resolution. The consensus reached today marks a critical step towards establishing international guardrails for the ethical and sustainable development of AI, ensuring this technology serves the needs of everyone.— Brad Smith (@BradSmi) March 21, 2024
ロイターによると、今回の決議案はアメリカが提案し、中国やロシアを含む122カ国が共同提案したものとなっているものの、その交渉には3カ月を要したとのこと。アメリカの交渉担当者は、中国やロシア、キューバなどの一部の国と「多くの白熱した会話」があったことを認め、「その他の問題について我々と意見が合わないことが多い国と積極的に議論を行った」と述べています。
アメリカの国際連合大使であるリンダ・トマス=グリーンフィールド氏は「AI技術に私たちを倒置させるのではなく、AI技術を倒置する国際社会の機会と責任があります。AIは人間性と尊厳、安全と安心、人権と基本的自由というレンズを通して開発・展開されるべきだということを再確認しましょう。国家内および国家間のデジタルギャップを解消し、AI技術を利用して持続可能な開発に関する共通の優先事項を推進することに尽力しましょう」とコメントしました。
国連総会の規模でAIに関する決議が採択されたのは今回が初めてですが、複数国間の国際的なAI協定としては、2023年11月に日本を含む28カ国が署名したブレッチリー宣言や、同年11月にアメリカとイギリスが共同で策定した「安全なAIシステム開発のためのガイドライン」が存在します。